火星が見える位置 2016年5月1から6月30日

 地球が自転や公転をしているため、全ての恒星は日付や時刻によって見える位置が違います。また、あなたが地球上のどこから見るかによっても見える位置が違います。さらに、火星をはじめとした惑星は、恒星に対して位置を変えていきます。したがって火星が見える位置を知るためには、日付と時刻を決める必要があります。

 ここでは、東京から21時に見た場合に、5月1日から15日間隔で火星が見える位置を紹介します。

5月1日

 5月1日の21時ごろですと、東京では南東の低い位置に見えます。火星は地平線から昇ってきたところですから、南東の方角が開けた場所でご覧になってください。また、西の地域ほど火星が昇る時刻が遅れます。例えば福岡ではまだ昇っていませんので、もう少し時間を遅らせてご覧になってください。火星は独特の赤い色をしている上に、-1.5等と非常に明るく光ります。低い位置で赤く光る星が見つかれば、それが火星です。

5月16日

 5月1日から半月がたつと、火星はだいぶ見やすい位置に上がってきます。明るさも-1.9等まで明るくなりました。火星の真下には、さそり座の赤い1等星アンタレスがありますし、さらにその左方向には土星もあります。火星とアンタレスの距離は7.2度、アンタレスと土星の距離は7.8度です。アンタレスを頂点とする二等辺三角形の形に並んでいますから、いっしょにご覧になってください。

5月31日

 今日は火星が地球に最も近づいて中接近となる日です。およそ7500万Km離れた赤い惑星に思いを馳せましょう。
 21時に火星は南東から南の空に見えます。明るさは-2.0等まで明るくなりました。半月前と比べると、さそり座のアンタレスから少し遠ざかったことがわかります。

6月15日

 地球最接近から半月がたちました。同じ21時でも半月前と比べると、だいぶ南寄りに見えています。半月前と同じ位置で見たいと思ったら、見る時刻を1時間早める必要があります。これはもちろん、地球が太陽の回りを公転しているためです。
 明るさは-1.7等と少し光度が落ちてきました。それでも火星が非常に明るいことに変わりはありません。

6月30日

 6月末になると、21時に火星は真南よりも西側に見えるようになります。明るさは-1.4等まで落ちました。最接近の頃は0.50AUだった距離が0.57AUと少しずつ遠ざかってきている上に、太陽光が斜めから当たるようになって、火星が光らない陰の部分ができてきたのでしかたがありません。