見られるかな、金星食 2019年8月1日の早朝 〜条件悪い〜

東日本と北日本で金星食

 金星食といえば、2012年8月14日に全国で見られました。それから7年後となる2019年8月1日の早朝に、東日本と北日本で金星食が見られます。しかし今回は金星が地平線下にある時間帯がメインです。金星の出となる時刻が早い東日本や北日本でのみ、月の暗部から出現するところだけが見られます。といっても出現時刻における月の高度は、東京の場合で1度しかありません。そのうえ日の出が8分後にひかえており、条件としては最悪といっても過言ではありません。

東京の場合だと東北東の超低空に見える

外合から12日前の悪条件

 2019年の金星は、8月13日に太陽と同じ方向へやってくる外合となります。したがって金星食から数えて外合まで、たったの12日しかありません。ですから金星の太陽からの離角は3.8度しかなく、必然的に条件が悪くなります。先にも書きましたように日の出直前の出来事となってしまいますし、月齢は29.0ですから新月目前です。月の輝面比は0.00ということで、光っている部分は0.5%もありません。日の出直前にすっかり明るくなった超低空で、糸のように細い月を短時間で見つけられるか怪しいものです。

 北海道など北の地域では、出現時刻における月と金星の高度は高くなり、こちらの面では条件が良くなります。しかし、日の出時刻が早くなり、日の出後の現象となります。太陽のすぐ近くで極めて細い月を見つけるのは難しいことですし、ひとつ間違えば太陽を導入して失明につながりかねない危険な行為です。観測そのものをおすすめすることができません。

各地の見え方

 下の図は日本各地において、月に対する金星の動きを図示したものです。全国的に4時40分前後に出現を迎えます。高度などの数値は4時35分の値です。高度がマイナスの箇所では、まず見ることができません。高度がプラスの箇所でも基本的に高度が低く、実際にはかなりな難物でしょう。

月に対して金星が移動する経路(数値等は4時35分の値)

主要8地点から見た金星食
※この図では上側が北になっています。肉眼で見た場合は天頂方向が上となりますので見え方が異なります。
関連記事
  2012年8月14日 条件が良い金星食