2025年1月12日に火星が地球へ最も近づきます。
火星はおよそ2年2ヶ月ごとに地球へ近づきますが、その距離は毎回異なります。下のグラフは20年間にわたる火星の視直径の変化を表すグラフです。地球との距離が近いほど火星は大きく見えますが、グラフを見ると今回は視直径があまり大きくなりません。左から2つ目の山の高さが低いですね。このことから火星が地球にあまり近づかないことがわかります。今回を含めて今後3回の接近は、いわゆる「小接近」なのです。
20年間にわたる火星の視直径変化グラフ |
火星が地球に最も近づくのは1月12日の22時37分で、距離は9,608万Kmです。今後最も接近する大接近は2035年9月11日に起こり、この時は5,691万Kmまで近づきます。今回はおよそ1.7倍も遠いことになります。
太陽系の軌道図で確認しましょう。火星の軌道はひしゃげた楕円ですから、地球と火星の接近距離はその都度違います。今回はかなり遠い位置で接近が起こることがわかります。
地球と火星の位置関係 |
次に、21時ごろに火星が見える位置を示した星図をご覧ください。火星はふたご座とかに座の境界付近にあり、東の空の中ほどに見えます。明るく光る赤い星が見つかれば、それが火星です。明るさは-1.3等ですから、付近のどの星よりも明るく輝き、ふたご座の形を崩してしまいそうです。
1月12日21時 東の空で赤く光る火星 |
星座に対する動きを見てみましょう。現在、かに座とふたご座の境界付近にある火星は、地球に接近する前後でいったん後戻りするような動きを見せています。これは、太陽を回る速度が速い地球が、遅い火星を追い越す時に見られる一時的な現象です。逆行と呼ばれるこの現象は、昨年12月8日から2月24日まで続きます。
星座に対する火星の経路 |
天体望遠鏡をお持ちの方は、ぜひ火星に望遠鏡を向けてください。3日間隔で2時、21時の模様の見え方を用意しました。火星の模様はよく見える側と見えない側がありますから、下の図を参考にしてください。最も濃い模様の大シュルティスは、2時なら1月5日から9日ごろ、20時なら2024年12月25日から29日が見やすくなります。この時期は火星の北半球が見やすくなっていますので、大きくなった白く輝く北極冠を観測できるでしょう。
模様の見え方(2時) |
模様の見え方(20時) |