上海での日食観測 2009年7月22日

雷雨の天気予報

 つるちゃんはお忍びで中国の上海へ皆既日食を観測しに行ってきた。つるちゃん、皆既日食の初体験なるか? しかし、前週からの天気予報では、皆既日食の前日までは晴れだけど、当日は雷雨とのこと。え〜っ!?

曇り空からのスタート

 さて、皆既日食当日。上海は朝から曇り空。予想通りいやな雰囲気。観測場所は上海から車で1時間半ほどの地点なのでバスで移動する。案の定、途中で雨が降り出した。観測場所は学校のグラウンドだが、所々で水たまりができている。いきなりトーンダウンもいいところ。

そして雷雨に

 日食開始時刻になっても雲は切れる気配なし。しかし15%ほど欠けたところで、一度チラッと太陽の形が見えた。日食グラスなしで太陽の上側が少し欠けているのがわかる。ても、その後は最悪。ゴーッ、ドッドーン。雷雨だ!!! 屋根がある場所へすごすごと退散。屋根がある場所へ退散だなんて、ヤ〜ネ。なんてアホなことを言ってる場合じゃない。

コロナの撮影はあきらめて

 雷雨になった時点で日食そのものの撮影はあきらめ、日食による周囲の変化を写真に収めることに切り替えた。秒刻みに立てたスケジュール表が悲しい。きっちり予定を立てて撮影したわけではないので適当もいいところだが、下の写真がその様子。食が進むにつれて周囲が暗くなっていく様子がわかるでしょ。

皆既日食へ突入

 皆既日食になる5分前頃から雨がやんだ。しかし、晴れ間がのぞく気配は全くなし。シャドーバンドも本影錐も、ダイヤモンドリングもきっと厚い雲の中だろう。そんな中で周囲の光がどんどんと失われていく。5秒単位で空が暗くなっていく。次の瞬間、空が本当に暗くなった。皆既日食だ! 通常なら夕暮れ程度にまで空が暗くなると言われるが、今日は雲が厚いので本当に真っ暗。隣の人の顔を判別するのも難しい。周辺に設置されたネオン灯だけが異常に明るく感じられた。

再び普通の雨空に

 暗闇は長く続かなかった。空は再び明るさを取り戻して、先と同じようにまた雨が降り出した。ああ、皆既日食。夢の時間よ、さようなら。今回は皆既日食を直接見ることはできなかったけど、雰囲気を味わうことができた。「でも、いつか絶対に見てやろう。」と、心に誓って日本へ帰国した。

日食による周囲の変化(写真)

(1) 10:20 食分 0.80 大雨

大雨だからというわけではなく、食分が80%を超えると、誰もがまわりが暗くなったことがわかる。

背景に見えるのは学校の校舎。以下の画像(4)までは同じ絞り値と露出時間で撮影。
   
(2) 10:27 食分 0.89 大雨

先よりもさらに暗くなり、皆既日食を予感させる。
   
(3) 10:31 食分 0.95 小雨

雲が厚いため、もともと太陽光が届かないこともあり、夕暮れ程度の明るさしかない。次第に校舎の色が判別できなくなる。
   
(4) 10:36 皆既日食中、曇天

闇夜のように暗くなり、校舎についた電灯の光がかすかに写るのみ。肉眼では周辺に設置されたネオン灯の光だけが妙に明るく感じられる。移動する時は足元に注意を払わないと怖くて歩けない。
   
(5)10:37 皆既日食中、曇天 ※露出はオート撮影

肉眼では気づかなかったが長時間露出をかけると、地平線付近が360度夕焼けのように見える「日食焼け」の画像が映し出された。あるいはネオン灯の光の影響?
   
(6)10:36 皆既日食中、曇天、別のカメラ、別の方角

実際に見た感じに近い。誰が誰なのか判別がつかない状態。