西日本を中心に部分日食 2010年1月15日

 2010年1月15日に日没帯食となる部分日食が見られます。残念ながら今回の日食が見られるのは、西日本だけに限られてしまいます。2009年7月には日本で46年ぶりに皆既日食が起こり、日本列島は大いに沸くはずでした。しかし、全国的に天候に恵まれず、涙を飲んだ方も多かったのではないでしょうか。そういう意味で、幸い今回見られる地域の方は、前回のうっぷんを晴らしていただきたいと思います。

2010年1月15日に見られた部分日食のようす 完全に露出オーバーですが、右下が欠けている太陽がどうにか確認できます。食分は浅いものの、日食グラスを使うと、日食中であることがハッキリわかりました。この直後に雲の中へ突入してしまいました。

日食はなぜ起こる

 日食は太陽、月、地球がこの順で一直線に並んだ時、地球が月の影の中に入ることによりに起こります。ですから日食は新月の時にしか起こりません。詳しくは日食情報のページをご覧ください。

日食の見え方

 2010年1月15日の部分日食は夕方に起こります。関東地方よりも北の地域では始まりが日没後になってしまうので、見ることができません。西の地域ほど日没時刻が遅くなるので、その分だけ遅い時刻まで観測することができて有利です。

 東京では16時48分に欠け始めるのですが、このときの高度は−0.4度。日の入りはその2分ほど後で食分は0.03ですが、実質的に観測するのは無理でしょう。

 東京よりも西に位置する大阪では16時47分に日食が始まります。このときの高度は3.3度。日の入りはその20分あまり後のことで、食分は0.29ですから、どうにか欠けた様子を観測することができるでしょう。さらに西に位置した福岡だと、始まりは16時46分。高度は7.8度あって少し余裕があります。日の入りとなる17時33分の食分は0.58ですから、半分以上も欠けた太陽を観測できて、日食らしさを味わうことができるでしょう。
 

※クリックで日本各地の日食データを開きます。

欠けたまま沈む太陽

 先にもお話したように、今回の日食は太陽が欠けたまま沈むのが特徴です。日本全国、観測可能な全ての地点でこのことが言えます。下の絵は福岡の場合です。太陽と月の位置を30分間隔で表示したもので、空の背景は17時30分の様子です。夕焼けの中で欠けたまま沈んでいく太陽。きっとこの上なく神秘的で印象に残ることでしょう。運良く観測することができる西の地域にお住まいの方は、ぜひ観測していただきたいと思います。
 
 実際に観測される際には、できるだけ西から南西方向が地平線まで見渡せるような、視界が開けた場所から観測するようにしてください。視界をさえぎる遮蔽物があると、一番肝心の日の入り頃が見れなくなってしまいます。
 
 もうひとつ注意していただきたいのは、太陽の下側から欠け始めることです。日の入り時刻まで太陽を観測できるかと思いきや、日の入り時刻だと太陽が欠けた部分は地平線下になってしまっているので、実際には観測することはできません。ですから、日の入り時刻よりも少し前に終了となってしまいます。
 

日食の経過

 下の絵は日本の主な8地点での日食開始時刻における太陽と月の位置関係です。あわせて太陽に対する月の経路も紫色で示しました。各地点とも太陽の真下からやや右側の位置から欠け始めることがわかります。高度がマイナス値になっている札幌、仙台では日食開始となる前に日の入りとなります。東京も高度がマイナス値ですが、かろうじて日の入り前です。でも実際に観測するのは無理でしょう。
 
 余談になりますが、札幌の月の経路をよく見ると、太陽の中心近くを通っています。太陽と月の位置関係だけからいうと、実は地平線下15度のところで金環食となるのですが、実際に観測することはできません。
 

 下の絵は各地点での日の入り時刻における太陽と月の位置関係を示したもので、最大食のようすです。日の入りが遅くなる西へ行くほど大きく欠けることがわかります。
 

日食データ

 主な観測地点での日食の始まりと最大食の予報値を下表へあげておきました。各地点とも最大食は日の入り時刻としましたので注意してください。その他の地域ではどのように見えるのかを表にまとめた日本各地の日食データ 2010年1月25日もご覧ください。

観測地 始まり 最大食(日の入り)
時刻 高度(゜) 時刻 食分
東京 16:48 -0.4 16:51 0.03
名古屋 16:48 2.0 17:03 0.20
大阪 16:47 3.3 17:10 0.29
広島 16:46 5.8 17:23 0.46
福岡 16:46 7.8 17:33 0.58

外国では金環食

 今回の部分日食は、アフリカ大陸中央部からケニア、インド洋セイシェル諸島、モルディブ諸島、インド南端、スリランカ、ミャンマー、中国の重慶、南陽、青島を金環帯が通る金環食に伴うものです。この日食では金環食が最大で11分8秒も継続します。これを超える金環食は3043年(11分35秒継続)まで起こらないというから驚きです。食最大地点での金環帯の幅は333Kmもあり、食分は0.919。それだけに極太の太陽リングが見られます。なお、2012年には日本でも金環食を見ることができますので、こちらも大いに期待しましょう。
 
 旅行会社からはケニア、モルディブ、ミャンマー、中国雲南省、青島など各方面へ金環食ツアーが予定されていますから、興味がある方はインターネットで検索されてみてはいかがでしょうか。
 

日食グラスを使おう

 太陽を肉眼で直視するのは失明の恐れがあって非常に危険です。太陽を減光しようのページで解説していますので、ぜひご一読ください。みなさんに安心して日食観測をしていただくため、当サイトでは専用に作られた日食グラスをおすすめしています。その名の通り、日食を肉眼で見るために開発されたものですから、安心して太陽を観測することができます。
 
※日食グラスは双眼鏡や天体望遠鏡には使用できません。また、肉眼観測用として使用される場合でも注意事項をよくお読みください。