2002年出現結果の速報をご覧ください。
昨年のしし座流星群は日本で大ブレイクして、1時間に最大で約5000個もの流星が見られました。いやいや、すごかったですねぇ。さて、今年のしし座流星群はどうなるのでしょうか。しし座流星群のおさらいをしながら、今年のしし座流星群の最新情報をお届けしましょう。
下の画像をクリックして流星雨を体験しよう!(ちょっと、しょーむないかも)※現在開発中の新図法によるしし座流星群です。どう、なかなかカッコいいでしょ。 |
しし座流星群
普通、流星といえば、いつ、どこに、どういう方向から飛んでくるのか予想がつかないものです。ふと空を見上げた時に空を流星が横切って、「あっ、流れた!」と驚きをもって叫んだりするのが普通です。
ところが年間を通してある時期になると、特定の決まった方向から流星が飛んでくるように見える場合があり、これを流星群と呼んでいます。飛んでくる方向に見える星座の名前をとって「何々流星群」といいます。今回はしし座の方向から流星が飛んでくるように見えるのでしし座流星群と呼ばれています。母彗星
流星群は彗星(母彗星と呼ばれます)に関係していると言われています。彗星が撒き散らしたチリが、地球に飛び込んできて、地球の大気との摩擦によって発光して流星となります。しし座流星群の母彗星は33年周期で太陽の周りを回っているテンペル・タットル彗星と呼ばれる彗星です。
ダスト・トレイルと流星雨
母彗星が回帰するごとに、彗星から放出されたチリ(ダスト)は、細いチューブ状のダストの帯を形成し、ダスト・トレイルと呼ばれています。この中を地球が通過すると、ダストがたくさん地球に飛び込んできて、流星雨となるのです。
輝かしい歴史
しし座流星群ほど輝かしい歴史を持つ流星群は他にありません。1799年の大出現では「天が流星で埋め尽くされた」といわれていますし、1833年と1866年には一晩に20万個もの流星が飛んで、人々が「世界が火事だ」と泣き叫んだと伝えられています。
1999年:ヨーロッパで流星雨
3年前の1999年には、ヨーロッパでピーク時に1時間に換算して約5000個の流星雨が見られました。 この時NHKのハイビジョンカメラによって航空機から流星雨が撮影されました。また、この年はアッシャー氏によって初めてピーク時刻の予報がなされた年であり、ほぼ予想通りの時刻にピークを迎えて、皆が大変驚かされました。
2000年:1時間あたり数百の出現、ピーク時刻は的中
2年前の2000年は流星雨にはならなかったものの、1999年に引き続いてピーク時刻の予報が的中し、しし座流星群の極大時刻が予報できる時代になったことを確信させる年となりました。
2001年:日本で流星雨
昨年のしし座流星群は、アッシャー氏の予報通り日本で流星雨となりました。1時間での流星数は最大で約5000個に達し、1時間に1000個以上の出現が4時間以上も続きました。しかも、明るい流星が多かったのも特徴です。
2001年岡山市内でのアッシャー氏による講演会にて
アッシャー氏
しし座流星雨の予言者の張本人であるアッシャー氏の公演中に、昨年つるちゃんが撮影。顔に似合わず(?)クリアで透明感のある声が印象的。
ダスト・トレイル
2001年の地球の軌道とダスト・トレイルの関連図。1866年と1699年のダスト・トレイルによって、日本に流星雨がもたらされた。
2001年の観測結果
つるちゃんの2001年しし座流星群がブレイク!をご覧ください。
また、兵庫県の住江氏(つるちゃんの星仲間)による昨年のしし座流星群の観測結果を、つるちゃんが編集したものを下の表に掲載しました。あの感動を今一度、思い出してみましょう。今年もこうなることに期待!
2001年11月19日のしし座流星群の出現数推移(住江氏の観測結果)
昨年の出現数推移
既に0時台から5分あたりの出現数が30個を越えており、活発に出現していたことがうかがえる。ピークとなった3時台前半には、5分あたりで600個近くの流星が出現していて、カウントするのもさぞかし大変だったことだろう。
ピーク後も夜明け前にかけて、なだらかに高水準の出現を維持していることがわかる。
住江氏のプロフィール
日本流星研究会会員。つるちゃん曰く「流星観測の達人」。昨年の流星観測日数は197日、観測時間は811時間に及ぶ。また、昨年の観測流星数は44,452個にも昇り、不滅の日本記録を樹立。
しし座流星群では、1999年、トルコに遠征して流星雨を観測。2001年は、晴天率の高い中国での観測を予定していたが、「極大日は日本も晴れ」との情報で、出発当日ツアーをキャンセル!遠征費10万円全てを夜空のしし群に捧げる離れ業も行った。
ダスト・トレイル
下の写真をご覧ください。今年の場合、地球の軌道は1767年のダスト・トレイルと、1866年のダスト・トレイルの中を通過することがわかります。したがって今年のしし座流星群のピークは2回あることになります。
2002年の地球の軌道とダスト・トレイルの関連図(2001年アッシャー氏講演会より)
2002年の場合、地球の軌道は1767年と1866年のダスト・トレイルを横切る。この時、それぞれ第1ピーク、第2ピークとなる。ピーク時は残念ながら2回とも日本からは観測できない。
1767年よりも1866年のトレイルの方がダストの大きさが小さく、暗い流星が多くなる可能性がある、との指摘もある。ピークの予報
下の表からわかるように、先のダスト・トレイルを地球が通過するのは、日本時間で11月19日の13時前と19時半頃となります。そして、この時にしし座流星群は2回の大きなピークを迎えます。日本では輻射点のあるしし座が昇ってくるのは0時頃。ですから、日本からはいずれのピークも観測することはできません。うーん、残念!
2回のピークの最適な観測地は、1回目のピークがアフリカ西部とヨーロッパ、2回目のピークが北アメリカとなります。
ピーク/
ダスト放出年ピークの予報(時刻は日本時間) ライティネン氏 イエニスキンズ氏 マクノート氏/
アッシャー氏最適な観測地 第1ピーク
1767年(7公転前)19日 13:03
ZHR350019日 12:48
ZHR590019日 12:56
ZHR1000アフリカ西部/
ヨーロッパ第2ピーク
1866年(4公転前)19日 19:40
ZHR260019日 19:23
ZHR540019日 19:34
ZHR6000北アメリカ ※ZHRとは空の状態が最良で、輻射点が天頂にあると仮定した、理想的な条件下での流星出現数。当然のことながら、実際の出現数はこれよりも少なくなる。
※データは10月27日現在のもので、日本流星研究会による。月明かりの条件
流星観測に限らず、天体観測をする場合、常に考えておかなければならないのが、月明かりの条件です。
今年のしし座流星群がピークとなる11月19日には、月齢14の満月が一晩中夜空を照らしています。流星観測をするには最悪の条件といえるでしょう。たとえ、流星雨が見られたとしても、暗い流星は見ることができず、観測できる流星の数が激減してしまうのは避けられません。
このことは、日本に限らず、アメリカで見てもヨーロッパで見ても、条件はどこでも同じです。つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレットの中にある月齢カレンダーで、月の出没時刻などを確認しておきましょう。
日本での見え方
日本で最も出現数が多くなると考えられるのは11月19日の未明です。しかしながら、ピーク時に日本からしし座流星群を観測できないことは先に書いたとおりです。したがって、日本から見た場合、例年くらいの出現数で終わってしまう可能性もあります。その場合は1時間あたりで20個程度の出現となり、流星雨にはほど遠い状態です。
しかし、アメリカやヨーロッパで見られる流星雨の余波を受けて、出現数が増加することは十分に考えられます。この場合、夏のペルセウス座流星群をしのぐ出現数となるかもしれません。
いずれにしても、備えあれば憂いなし。大出現してもいいように、準備だけは整えておきたいものです。
先の話はあくまでも予報にすぎません。予報では流星のもととなるダストの分布状況を正確に反映しておらず、ピークの時間帯がずれ込み、日本がピークに当たる可能性も絶対にないとはいえません。
ただひとつだけ言えることは、布団の中で眠っている人は、絶対に流星雨は見られないということです。早朝の冷え込む時間帯ですが、がんばって観測してみましょう。しし座流星群を観測する場合の主なポイントをあげてみます。
空が暗い場所へ
流星をたくさん見たいと思うならば、空が暗い場所へ行かなければなりません。夜間は自動販売機の光があるだけでもずいぶんと明るく感じます。都会の明るい空では明るい流星だけしか見ることができず、出現数は激減してしまいます。
月明かりを避ける工夫を
今年のしし座流星群の極大日には満月があります。しし座が高く昇ってくる明け方には、月は西の空へ傾くので、西の方角に高い山などがあるとよいでしょう。山がない場合でも、木や建物などの陰にはいるなどして、月明かりが直接視界に入らないようにする工夫が必要です。
視界が開けた場所
流星はしし座だけに見えるのではなく全天に流れます。ですから視界が開けた場所ほど流星を見ることができる確率が高くなります。月明かりを隠すための遮蔽物は必要ですが、それ以外はなるべく視界の開けた場所を選ぶようにしましょう。
時間と方角
輻射点が東の空から昇ってくる0時以降が観測の時間となります。特に輻射点が高く昇ってくる明け方近くが最も条件が良くなります。
次に見る方角ですが、流星は全天に流れるので、あなたが「ここ」と思う方角を見てみましょう。流星の飛び方
しし座流星群の流星は輻射点の方向、つまりしし座の中にあるししの大がま付近から飛んでくるように見えます。また、輻射点に近いほど流星の経路は短くゆっくり飛び、輻射点から離れるほど流星の経路は長くて速く飛びます。それから、理屈上では輻射点に近いほど流星は明るく、輻射点から離れるほど流星は暗くなります。もちろん平均すればの話です。
しし座流星群の流星の速度は「非常に速い」に分類されます。とても流れ星に願いを唱えている余裕はありません。本当に「あっ」と言う間の現象です。寝転んで見よう
流星を見るには寝転んで見るのが一番です。長時間見ていても首が疲れませんし、全天を見ることができるからです。
エチケット
周りには流星の写真を撮っている方もおられます。車のライトや懐中電灯などの光は流星写真には大敵で、空やカメラの方に光を当てるとせっかくの写真がパーになってしまいます。光を使う場合は一言声をかけるなど配慮しましょう。また夜間は小さな音でもよく響きます。当たり前のことですが、近所迷惑にならないよう、話し声などは控えめにします。
その他の注意点
11月ともなると夜間は相当に冷え込みます。特に地面に寝転んで見ていると、体を動かさない上に冷たさが地面から直接体に伝わってきます。さらに夜露もベトベトについてしまって最悪です。ですから真冬なみの防寒着やカイロなどを用意しておいた方が無難です。カイロも首用、胸用、腰用、足用、といった具合に複数個用意しておきましょう。
見る時間や方向によって出現イメージが変わってきます。次のリンクで確認してみてください。天頂方向は頭を北に向けて寝転がって見る場合を想定したものです。
「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「流星群」で出現イメージを確認しておきましょう。
雨が降ったら観測なんてできないじゃないか! きっと、そう思われるでしょうね。でも流星を観測できる方法があるんですよ。最も簡単な方法はFMラジオを使うことです。
1.普段は聞こえない、遠くの地域のFM放送局の周波数に合わせる
2.当然「サーッ」という雑音が聞こえますね
3.このままの状態で放置しておきます
4.流星が流れると一瞬だけ遠くの放送局の音声が聞こえる場合があります
これは高温になった流星の周りにできた電離層にFM電波が反射して、普段は聞こえない遠くのFM電波が、あなたのFMラジオへ届くためです。たいていの場合は一瞬だけしか聞こえませんが、たまに大流星が流れたりすると、数分間も聞こえ続ける場合もあります。そんなわけで、つるちゃんの住む兵庫県からでも、東京地区のFM放送をFMラジオで聞くことができるわけです。
全国ラジオ局一覧で適当な放送局を探してみましょう。ある程度出力の大きそうなメジャーな局を選ぶことと、放送終了時間に注意することがポイントです。
予報によると、残念ながら来年以降のしし座流星群は流星雨にはなりません。また、母彗星のテンペル・タットル彗星が次回に回帰する30年後も、彗星の軌道は地球の軌道から少し離れたところを通るので、流星雨はあまり期待できないとのことです。ですから、今年がしし座流星群の流星雨を観測できる最後の年となるかもしれません。海外へ遠征してみる価値があるかも?