おうし座流星群は11月上旬から中旬にかけて極大となる小さな流星群です。北群と南群の二つに分かれており、ときおり明るい火球が流れて楽しませてくれます。
2024年のおうし座流星群は、南群の極大が11月5日、北群の極大が11月12日ごろと予想されています。といっても出現数が少ない上に、1ヶ月半にわたってダラダラと長く続く流星群ですから、あまり極大日を気にする必要はありません。それでは、2024年おうし座流星群の条件を確認しましょう。
おうし座流星群のうち、極大が早く訪れるのは南群です。極大となる11月4日から5日にかけての夜は、5日0時の月齢が3.1で三日月です。おうし座流星群の輻射点が高くなる時間帯は月がありませんので、月の条件は最良です。
次に、おうし座流星群の北群です。こちらは南群よりも極大が1週間ほど遅くなります。極大となる11月11日から12日にかけての夜、12日0時の月齢は10.1です。東京では1時32分に月が沈みますので、これ以降は月明りなく観測することができます。しかしそれまでは、丸みを帯びた大きな月明かりの影響を受けますので、条件的にはまずまずでしょうか。
おうし座流星群は過去に母彗星から放出されたダストの帯に近づくことがあり、一昨年はその年でした。当時は火球が例年よりも増加しましたが、今年は近づきませんので全体的に穏やかでしょう。
ここまで2024年の観測条件を紹介しました。極大はあまりハッキリしませんから極大日にとらわれず、前後数日間で観測が可能な日に観測するのが良いでしょう。それから、おうし座流星群は流星の出現数が少ない流星群です。気長に流れ星が流れるのを待ちましょう。おうし座流星群の特徴とされる火球でも現れてくれないかなあと、祈りつつ・・・。
おうし座流星群(南群)の出現イメージ |
おうし座流星群(北群)の出現イメージ |
以降では、おうし座流星群について詳しく解説していますのでお読みください。
おうし座流星群は11月上旬から中旬頃を極大とする流星群です。同じ時期に南群と北群が活動します。輻射点の位置が南側にあるか北側にあるかによって、二つの群に分けられています。一般には総称で、おうし座流星群とよばれることも多いのですが、2009年の国際天文学連合(IAU)によって、おうし座南流星群、おうし座北流星群が正式名称となっています。
おうし座流星群は活動期間が長いのが特徴です。南群も北群も、10月15日から11月30日にかけて、1ヶ月半にわたって活動します。
流星群は流星のもととなるチリを撒き散らす母彗星が存在します。おうし座流星群の母彗星はエンケ彗星(2P/Encke)です。エンケ彗星といえば最も短い公転周期を持つ彗星として知られています。その周期は3.3年しかありませんから、これまでに何度も公転しているはずです。そのためチリの帯の幅が広がっており、活動期間が長くなっていると考えられています。
おうし座流星群は出現数が少なく、極大日もはっきりしません。高原状になだらかなピークが続きますから、「11月上旬から中旬にかけてが極大」という表現が適切かもしれません。しかしあえて言うなら、南群と北群では極大日が異なります。年によって違ってきますが、北群は11月5日か11月6日、南群は1週間ほど遅くて11月12日か13日が極大日となります。
おうし座流星群の流星は、おうし座の方向から飛んでくるように見えます。おうし座といえば冬の星座ということで、季節的にはだいたいマッチしています。おうし座は真夜中に南中することから輻射点が一晩中見え、観測時間を長くとることができます。日付が変わる頃に輻射点が高い位置まで上がってきますから、真夜中ごろに条件が最も良くなります。流れ星自体は全天に流れますから、どちらの方角が良いというのは特にありません。
流星のもととなるチリが地球に飛び込んでくる速度は対地速度とよばれますが、おうし座流星群は対地速度が遅いのが特徴です。つまり、南群は秒速27Kmで、北群は秒速29Kmで地球へ飛び込んできます。これは流星としては遅いものですから、流星もゆっくりと流れます。また流星の色はオレンジ系が多くなっています。
流星の出現数は少ないものです。南群、北群ともに1時間ありに最大で5個程度しかありません。南群の方が北群よりも出現数は若干少なめとも言われています。両方合わせて1時間に10個も見られればラッキーですから、流星観測者は気長に待つ覚悟が必要です。しかし、秋は年間を通して最も多く散在流星(流星群に属さない流星)が見られる季節です。おうし座流星群以外の流れ星が見られる確率が高くなり、ドキドキ感が増します。
少ない出現数にもかかわらず、おうし座流星群に人気があるのは、時おり明るい火球が出現するからでしょう。といってもバンバン火球が流れるわけではありませんから、流星の出現以上に気長に待つ必要があります。
2015年は通常の年よりも火球が多く出現すると予報されていましたが、実際に前年と比べて数倍の規模で火球が出現しました。また、おうし座流星群全体の出現数でみても、例年よりも多い目となったようです。
おうし座流星群の母彗星はエンケ彗星です。公転周期が3.3年と短くて古い彗星だけに、流星のもととなる物質は、軌道上にまんべんなく分散しているはずです。しかし、木星との共鳴によって流星物質の密集部分ができます。この密集部分が地球へ近づくと、火球が多く見られると考えられています。
この考え方でいくと、2022年、2025年、2032年におうし座流星群の火球が多く出現すると予報されています。特に2032年は極めて条件が良く、61年ぶりの火球大出現となるかもしれません。(といっても爆発的に見られるわけではありません。)
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