12月1日0時、1月1日22時、2月1日20時
おうし座の見え方 |
おうし座付近の星図 |
おうし座を見つけるには、1等星アルデバランを目印にするのが手っ取り早いでしょう。オリオン座の北西に位置し、オレンジ色に輝いているので、すぐにそれとわかります。お隣の星座、ぎょしゃ座にあるカペラもオレンジっぽい色をしていますが、よく見るとこちらは黄色です。オリオン座との位置関係に注意すれば、カペラと見間違えることはないでしょう。アルデバランは冬のダイヤモンドをつくるメンバーのひとつです。
おうし座は古くは紀元前3000年頃のシュメール時代にまでさかのぼります。当時は「天の牡牛座」とよばれ、上半身だけでなく、背中にコブがある牛の全身が描かれていました。おうし座はトレミーの48星座に含まれており、黄道十二星座の一つでもあります。
おうし座の牡牛はフェニキア王の娘、エウローペをさらうために大神ゼウス自身が化けた牡牛(おうし)です。さすがにゼウスが化けただけのことはあって、雪のように真っ白な毛でおおわれた立派な牡牛でした。エウローペをさらった牡牛は王女を乗せたままフェニキアから海を渡ってクレタ島へたどり着きました。そして、ゴルテュンの泉のそばで大神ゼウスとエウローペは結婚したのだそうです。
おうし座の中には、ぼ〜っと光る星の集まりが見えます。これが有名なプレアデス星団で、日本ではすばると呼ばれています。星に興味がない人でも曲のタイトルや車を作る会社名などで知っている人も多いことでしょう。普通の視力の持ち主なら、月のないよく晴れた夜に6〜7個の星が見え、ギリシャ神話では7人の姉妹に見立てられています。目のいい人なら10個以上の星が見えるそうです。双眼鏡で見てみますと、数十個の星が実に美しく見えます。そして、星たちが薄い霧のようなベールに包まれている点に注意してください。実は生まれたての星団の星たちは、まだ苗床のガスにつきまとわれているのです。
なお、おうし座のすばるは、6つの星が糸で統べた(すべた)ように集まっており、「統べる星(すべるほし)」を意味しているのだそうです。すばるの呼び名は「七つ星」というストレートなものもありますが、「鈴なり星」「はごいた星」など、地方によって様々な名前で呼ばれています。関西では「すわり星」「すわい」「つばる」「すまり」「すもり」「すわり地蔵」「六地蔵」などがあります。これに対して関東では「六つら星」「むずら」「おもつらさま」などと呼ばれています。
アルデバラン付近は牡牛の顔の部分にあたります。この顔の輪郭に沿ってV字型に小さな星が並んでいます。これがヒアデス星団です。ヒアデス星団はVの形が釣鐘に似ていることから、日本では「つりがね星」と呼ばれています。散開星団としては地球から最も近く、140光年の距離にあります。双眼鏡でもあれば、視野いっぱいにひろがったヒアデス星団の美しさを満喫できます。
※「つるぷらが描く珍しい天文現象」の中にある10光年まで近づいて見るヒアデス星団では、ヒアデス星団に10光年まで接近した場合のヒアデス星団の見え方を再現しています。一度ご覧ください。
ζ星の北側で1054年に超新星爆発が起こり、金星のように明るい星が突如として現れました。なんとこの星は、真昼でも肉眼で見えたそうです。しかしその後は次第に暗くなり、2年後には肉眼で見えなくなってしまいました。この付近を天体望遠鏡で観測すると、その時の残骸が見えます。佐渡島のような形をした「かに星雲」です。星雲は爆発のなごりで今でも秒速1300kmというとてつもない速さで膨張しています。また、星雲の中心部には中性子星のパルサーがあるといわれています。
秋も深まってきた10月中旬から11月下旬頃にかけておうし座流星群が活動します。極大は不明瞭ですが11月上旬頃とされています。おうし座流星群は北群と南群に分かれていますが、どちらも1時間に1、2個程度の出現数です。ゆっくり流れるのが特徴で、時おり火球が飛んで話題になります。
※「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「流星群の見え方」ではおうし座流星群の出現イメージを表示できます。