ぎょしゃ座

天頂付近にくる日時のめやす

1月1日23時、2月1日21時、3月1日19時

ぎょしゃ座の様子(11月・東の空)

ぎょしゃ座の見え方

ぎょしゃ座の見え方

ぎょしゃ座付近の星図

ぎょしゃ座付近の星図

五角形の星座

 ぎょしゃ座の目印は、なんといっても黄色い1等星のカペラを1つの頂点とした五角形でしょう。真冬の空高くおうし座の上方を見上げると、少しつぶれた形をした五角形がすぐ目にとまります。この五角形がぎょしゃ座のトレードマークです。中国では「五車」、日本でも「五つ星」「五角星」などと呼ばれていました。ぎょしゃ座は紀元前2000年頃のバビロニア時代から存在し、トレミーの48星座の一つとなっています。

馬車を操る御者

 ぎょしゃ座は漢字で書くと馭者座となります。これは、ぎょしゃ座がエレクトニウスというアテネ3代目の王様が馬車を操る姿だと言われることからきています。エレクトニウスは足が不自由であったため、馬を使って動かす戦車のようなものを発明しました。彼はこれを使って戦場をかけめぐり、大活躍したのだそうです。そんなこともあって、ぎょしゃ座の五角形はギリシャで「手綱をとる者」を意味するヘニオクレスと呼ばれいます。つまり、1等星カペラが馭者で、残りの4星を車とし、カペラの近くにおる小さな三角形を手綱に見立てたのです。

ヤギを抱いた老人

 一方、フラムスチード星図に描かれたぎょしゃ座を見ると、老人が母ヤギと二匹の子ヤギを抱いた姿が描かれています。これは、古代メソポタミアの遺跡に刻まれた星座の彫刻に、ヤギを抱く老人の姿が描かれていたように、ぎょしゃ座は古くからヤギを抱く老人に見立てられていました。さて、あなたはどちらに見えますか? 残念ながらつるちゃんには五角形の星座にしか見えません・・・。

おしゃれな男性

 またアラビアでは、スーフィーの「星座の書」の中で、おしゃれな男性像が描かれています。α星のカペラが男性の左肩、β星のメンカリナンが男性の右肩に位置します。アラビアでカペラは、「おしゃれ」を意味する言葉があてがわれています。

天頂を通る星座

 観測地の緯度にもよりますが、東京あたりの緯度からだと、ぎょしゃ座はほぼ頭の真上を通過します。天頂付近は空気が澄んで見やすくなりますが、長時間見上げていると首が痛くなってしまいそうです。

1等星カペラ

 ぎょしゃ座には1等星のカペラがあります。カペラは全天で最も北寄りに位置する1等星であるため、冬を迎える前から北東の空で輝き始めます。カペラは1等星よりも明るい0等星に分類されますから、他の1等星よりもひときわ明るく黄色に光ります。ですから、ぎょしゃ座を探す際には、まずカペラを探すようにするのが正解です。なお、カペラは冬のダイヤモンドを形作る7つの星のひとつとなっています。

β星メンカリナン

 ぎょしゃ座の五角形の一番南に位置するβ星はぎょしゃ座のβ星ではなく、お隣の星座、おうし座のβ星です。ぎょしゃ座の本当のβ星は、カペラの東隣の2等星メンカリナンになりますので覚えておきましょう。

ε星は変光星

 ぎょしゃ座のε星アルマーズは明るさを変える食変光星として知られています。普段は3.0等の明るさですが、周期的に3.8等まで暗くなります。周期が27.1年と長い上に、食の期間が2年も続くというのはかなり特異です。主星の直径は太陽の100倍もある赤色超巨星であることがわかっていますが、伴星の正体ははっきりとわかっていません。

3つの散開星団 M36M37M38

 ぎょしゃ座には見やすい散開星団が3つあります。M36,M37,M38がそれで、これらは一列に並んでいます。双眼鏡でも星雲状に拡がった天体をすぐみつけることができます。冬の天の川の真っ只中にあるため背景には微光星も多く、双眼鏡や天体望遠鏡で付近を散策されると楽しいでしょう。

M36 M37 M38
M36 M37 M38