11月の星空 夏・秋・冬の星座

 11月ともなると夜間はかなり冷え込むようになってきます。おまけに夜露もついて、天体観測にはつらい季節が近づいてきました。防寒対策はしっかりとして、途中で退散、なんてことにならないようにしましょう。

注)このページの星空の様子は11月15日21時を基準としていますが、下の日時でもほぼ同様の空を見ることができます。また、東京以外でも日本国内であれば、見え方にそれほど違いはありません。

   10月15日23時
   11月 1日22時
   11月15日21時
   11月30日20時
   12月15日19時

西の空

 西の空では、さすがに11月ともなると、夏の星座は見える星座が限られてきました。へびつかい座とそれを取り巻くへび座、ギリシャ神話第一の英雄であるヘルクレス座など、先月までかろうじて見えていた夏の星座はすっかり見えなくなってしまいました。夏のシンボルの夏の大三角も、今月になると高度が下がってきてきましたが、まだどうにか見えています。

 かわって、西の空へと少しずつ移動してきたのは秋の星座です。南西の空では、上半身がやぎで下半身が魚という、代わった姿に描かれているやぎ座が低い位置に見えます。さらに、その上方にはみずがめ座が見えますが、こちらもだいぶ西寄りに移動してきました。西空の天高くには、秋のシンボルであるペガススの四辺形で有名なペガスス座が見えてきましたが、この時期のペガススは、天馬が空をまっ逆さまに駆け下りてくるように見えます。

11月15日21時 西の空

南の空

 南の空では、秋の星座がどっかりと腰をすえています。南西の空には星座占いにもでてくる黄道12星座のやぎ座やみずがめ座が見えています。高度20度くらいの低い位置には秋の唯一の1等星であるフォーマルハウト(みなみのうお座)が寂しげにポツンと光っていますが、これらの星座は皆、先月よりもだいぶ西の方へと移動しています。南から南東にかけてはうお座やくじら座があるのですが、いずれも明るい星が少ないだけに、形がいまひとつハッキリとわからないかもしれません。

11月15日21時 南の空

うお座

 ペガススの四辺形の南から南東にかけて、3等星から5等星くらいの小さな星たちがウネウネとつながっていますが、これがうお座です。暗い星ばかりで大変なのですが、暗い空の下で見ると星の並びをたどりやすくて、以外と簡単に、ひもでつながれた2匹の魚の姿が浮かび上がります。しかし、明るい都会の夜空からは望むべくもありません。

 ギリシャ神話では、愛と美の女神アフロディーテとその子エロスが、テュホンという怪物に襲われた時に、親子で手をつないで川へ逃げ込んだ姿だといわれています。

北の空

 11月の北天ではカシオペア座が南中し、高度が一番高くなっています。北東の空ではペルセウス座も高度を上げてきていてますが、ペルセウス座が空高くまで上ってきたのを見ると、秋もそろそろ終盤が近づいたなあと思います。ペルセウス座、カシオペア座、ケフェウス座にかけて流れる秋の天の川は、この時期が最も見やすくなります。

 北の空の星座といえば、北斗七星を思い浮かべる方も多いと思いますが、11月も先月に引き続いて地平線に近い位置にいるため、見えにくい状態となっています。しかし、21時でなく前後へ2、3時間ほどずらしてやれば、なんとか見ることができます。また、北の地方へ行くほど北極星の高度は高くなるので、それにひきつれて北斗七星の高度も高くなります。北海道あたりで見る北斗七星は周極星となり、7つの星全てが地平線下へ沈むことはありません。一方、沖縄の那覇まで南下すると、一番高度が低くなった時には7つの星全てが地平線下へと沈んでしまうので、北斗七星を全く見ることができなくなってしまいます。

11月15日21時 北の空

東の空

 東の空では、冬の星座が次々と上ってきて顔を見せ始めています。おうし座やぎょしゃ座は高度が30度付近にまで上がってきているので人目につきやすくなります。地平線近くからは冬の星座の代名詞ともいえるオリオン座が見えてきましたし、北東の空の低い場所からはふたご座も上ってきました。冬の星座が東天に勢ぞろいするのも間近といった感じです。

11月15日21時 東の空

おうし座

 東天の中ほど付近には有名な星の集団、すばるが見えています(上の絵では真東の高度50度弱付近にある小さな緑色の丸印)。すばるは普通の視力の人なら6〜7個の星が見える散開星団で、プレアデス星団(M45)とも呼ばれています。すばるは星座だと勘違いされる方もおられるようですが、実際にはおうし座の一部です。おうし座にはだいだい色の1等星アルデバランがありますので、こちらもおうし座のよい目印となるでしょう。

 ギリシャ神話では、おうし座はフエニキア王の娘エウローペをさらった時に大神ゼウスが化けた立派な牡牛だということです。

 おうし座にはかに星雲(M1)という星雲があります。これは昔星が超新星爆発を起こした残骸です。天体望遠鏡で見ると、佐渡島のような形に見えるユニークな星雲です。

ぎょしゃ座

 北東の空にも黄色もしくはだいだい色に見える1等星がギラギラと輝いていますが、これはぎょしゃ座のカペラです。この時期はおうし座のアルテバランとほぼ同じ高度に見えていますので間違わないようにしてください。カペラは正確にいうと0等星なので、1等星のアルデバランより1ランク明るく見えています。付近にはカペラをひとつの頂点とする五角形が見つかりますが、これがぎょしゃ座になります。あまりきれいな五角形ではないのですが、なかなか印象に残る五角形です。

 昔、アテネのアリクトニウス王によって発明された馬車が(戦車のように使ったそうです)星座にされたのがぎょしゃ座だということです。

天頂の空

 9月の初めごろなら東天の低い位置に見えていたアンドロメダ座ですが、11月になると天頂付近にまで上り詰めています。高度が低い位置では、地球の大気によって光が吸収される上に、光害を受けやすいのですが、天頂付近ならそれらの影響が小さくてすみます。そういった意味で、有名なアンドロメダ大星雲を一番美しく見ようと思えば、天頂付近にやってくるこの時期が最適でしょう。空が暗い場所なら、肉眼でもボーッとした小さな光の塊を捉えることができますし、双眼鏡があればその迫力ある姿にウットリすることでしょう。

 北の空ではカシオペア座が南中して高度が最も高い状態にあります。また、北東の空からはペルセウス座が高度60度付近まで上ってきました。また、南から南東の空高くにはうお座やおひつじ座が見えています。天頂方向も秋の星座でいっぱいですね。

11月15日21時 天頂の空

<恒星の凡例> <星雲・星団の凡例>
大きさにより1等星から6等星までを分類しています。 銀河、散開星団、球状星団、散光星雲、惑星状星雲、超新星残骸などを分類しています。