アルデバラン

 アルデバランは、おうし座の中にあるオレンジ色をした1等星です。初冬の頃、東の空からおうし座が昇ってきます。下の星図では東から南東にかけて、オリオン座の上あたりに見えています。また、すばるの下の方という言い方もできるでしょう。

星名 学名 星座 バイヤー符号 フラムスティード番号 赤経 赤緯 実視等級 絶対等級 距離 スペクトル型
アルデバラン Aldebaran おうし座 α星 87番 04h35m55s +16゜30’33” 0.99等 −0.57等 67光年 K5

アルデバランの位置を示した星図

オレンジ色の1等星

 アルデバランはオレンジ色をした1等星です。上の星図ではもう一つ、ぎょしゃ座の1等星カペラも同じくらいの高度で見えています。カペラも黄色をしていて紛らわしいですから、見間違えないようにしなければなりません。
 
 しかしよく見ると、カペラに比べてアルデバランの方が少し暗い目です。カペラは0等星ですが、アルデバランは1等星なので見分けはつきます。それからアルデバランの方がオリオン座に近くにあります。方角や他の星座との位置関係にも注意しましょう。

牛の目の星

 星座絵を見るとアルデバランは、牡牛の目のところに位置しています。このことから英語ではブルズ・アイ、つまり牛の目とよばれています。また、古代イスラムで発展したアストロラーベとよばれる天体観測器具には、おうし座α星がアイン・アッ・サウルと刻まれいます。これは、牡牛の目という意味だそうです。

後に続く星

 アルデバランはアラビア語のアッ・ダバラーンからきていますが、ヨーロッパ風に読むとアル・ダバランとなります。アラビア語では追いかけるもの、後に続くもの、従者などを意味しています。これは、すばる(プレアデス星団)の後から昇ってくることから、このように名づけられたのではないかと考えられています。日本でも東北地方では、すばるの後星(あとぼし)とよばれています。

アルデバラン食

 アルデバランは天の黄道近くに位置しています。このため時おり月によって隠されるアルデバラン食が起こります。食を起こす1等星としては最も北寄りに位置しており、食が起こる境界近くにあります。このためアルデバラン食のシーズンが始まると、地球全体でみると4年近く続きますが、時期を過ぎるとパッタリ起こらなくなります。

おうしの顔とヒアデス星団

 アルデバランの近くには、小さな星がV字型に並んでいるのが目につきますが、これはヒアデス星団と呼ばれる大きな星団です。アルデバランを含めたこのV字型が、おうしの顔の部分になります。
 
 しかし、アルデバランは見かけ上、ヒアデス星団と同じ方向に見えているだけで、ヒアデス星団の一員ではありません。アルデバランまでの距離は67光年であるのに対し、ヒアデス星団までの距離は150光年ほど離れています。

巨星

 アルデバランの直径は太陽の44倍、質量は太陽の2.5倍あります。星全体が大きく広がって不安定になっており、0.75等から0.95等の間で不規則に明るさを変える変光星です。赤外線で観測するとガスが太陽系の3倍もの範囲に広がっていることがわかっています。