1月1日23時、2月1日21時、3月1日19時
オリオン座の見え方 |
オリオン座付近の星図 |
オリオン座は鼓のような形をしていますが、これらの星は1等星2つと2等星5つで形作られており、非常に豪華です。オリオンの中央のベルト付近には2等星が3つ並んでいて、三つ星と呼ばれています。これらの形は非常に均整がとれており、全天でも屈指の美しい星座といえるでしょう。
オリオンは海の神ポセイドンの息子で、天下一の狩人として名声がとどろいていました。しかし、「私にかなうものなどこの世にいるものか」と高言してしまいました。これを聞いた大神ゼウスの妻である女神ヘラは、猛毒を持ったさそりをオリオンのもとへ差し向けたのでした。そしてオリオンはさそりにかまれ、毒がまわって死んでしまいました。そんなわけで星座になったオリオンは、今でもさそり座が昇ってくる季節になると、こそこそと西の空へ沈んでいくのだそうです。
オリオン座は古代から存在する星座です。紀元前1400年頃のバビロニア時代のメソポタミア地方では、「天の狩人座」として知られており、農業の神タンムーズの姿と考えられていました。また、古代エジプトでは三つ星を頭上に掲げたサフとよばれる男性に見立てられていましたし、デンデラの天体図では、オシリスという古代エジプトの神の姿が描かれました。また、紀元前750年頃に完成したといわれる古代ギリシャ時代の叙事詩の中では、星座としてオリオンの名が記されています。もちろんトレミーの48星座の一つです。
HSTによるベテルギウスの大きさ比較 |
オリオン座にはベテルギウス(α星)とリゲル(β星)という二つの対照的な1等星があります。一つの星座に二つの1等星があるのは、オリオン座以外ではケンタウルス座とみなみじゅうじ座だけしかありません。
まずベテルギウスは、赤色で恒星の一生の最後の段階を迎えつつある星です。表面温度は3000度で、その直径は太陽の700倍から1000倍の間で変化します。これにつれて明るさもマイナス0.1等星から1.2等星の間で変光する脈動星タイプの変光星です。太陽の直径の1000倍といえば、火星の軌道をすっぽり飲み込み、木星の軌道に達する大きさですから、大変なものです(右図)。
これに対してリゲルは表面温度が12000度もあって青白く輝き、誕生してから数百万年しか経っていない若い星の青色超巨星です。リゲルの放つ光の量は太陽の3万倍もあります。たとえば全天で最も明るいシリウス付近までリゲルをもってきたとしたら、半月より明るく輝くことになるのですから、非常な明るさといえるでしょう。
2つの星はその色の違いからベテルギウスを平家星、リゲルを源氏星とよんだりすることがあります。
オリオン座の中央には3個の2等星が並んでいます。2等星が三個も並ぶという豪華で目立つ星の配列だけに、この星座の特徴の一つになっています。これは三つ星(みつぼし)とよんで親しまれており、他にも三大星、三星様(さんじょうさま)という呼び名もあります。
オリオン座の三つ星の南には南北方向に並んだ小さな3つ星の並びがありますが、これは小三つ星と呼ばれています。この小三つ星の真ん中の星をよく見てみますと、なにやらモヤモヤとした小さな雲のように見えます。これが有名なオリオン大星雲です。オリオン大星雲は鳥が羽を広げたような形をしており、双眼鏡でも天体望遠鏡でも、それぞれ違った美しさを見せてくれます。
HSTによるオリオン星雲内部 |
天体望遠鏡でオリオン大星雲の中心付近を見ると、トラペジウムと呼ばれる4重星が見えます。オリオン大星雲はトラペジウムによって星間ガスが美しく照らし出されています。そして星雲の中からは次々と星が誕生しています。太陽もこのように、どこかの星雲の中で生まれたのでしょうか。
オリオン座流星群は10月10日頃から11月5日頃にかけて活動します。そして10月21日頃に極大となります。1時間あたりの出現数は15個とまあまあ出現し、明るい長経路流星が印象的です。透明度が良くなる時期ですから、徹夜覚悟で一晩中観測してみましょう。
※「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「流星群の見え方」ではオリオン座流星群の出現イメージを表示できます。