2018年ウィルタネン彗星の見つけ方

 2018年のウィルタネン彗星は、21時ごろなら南から北東の方角に見えます。11月はまだ高度が低いですが、日を追うごとに高度が高くなって条件が良くなります。また、12月中旬頃には3等台となり、近年見られなかった明るい彗星になります。
 
 ここでは双眼鏡で簡単に見つけられそうな11月21日から1月5日まで、東京から見たウィルタネン彗星の見つけ方を5日間隔で紹介します。星図の時刻は21時に固定しました。星図を見る際、日によって観測時間に注意する必要はありません。

解説した日付

11月21日  11月26日  12月1日  12月6日  12月11日
 
12月16日  12月21日  12月26日  12月31日  1月5日

11月21日

 夜の21時ごろに南の空をご覧ください。比較的低い位置にウィルタネン彗星があります。すでに5.5等まで明るくなっており、市街地からでも双眼鏡を使えば見つけられる明るさです。
 
 しかし、明るくて目印になる星が周囲になく、探しづらそうです。くじら座の2等星デネブカイトスから丁寧に星をたどるか、エリダヌス川の流れる向きが変わる付近から、およその見当をつけて探すくらいしか手がありません。
 
 この日は2日後に満月を控えた大きな月があります。明るい月の光によって、淡い彗星は見づらくなってしまうのが残念です。

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11月26日

 5日が経ちました。ウィルタネン彗星はやや上方へ移動しましたが、大きく位置を変えたわけではありません。明るさは5.0等と少し明るくなりました。
 
 エネダヌス座に近づいてきましたから、エリダヌス川の小さな星たちが見えるような恵まれた観測場所なら、見つけるのは難しくありません。しかし市街地だと、24度も離れたデネブカイトスからたどるしかありません。
 
 今日も月齢18.8の大きな月が19時29分から昇っていますので、少なからず月明かりの影響を受けてしまいます。月が昇る前の早い時間帯を狙うのも一考です。

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12月1日

 ウィルタネン彗星は4.5等と、だいぶ明るくなりました。この明るさだと、空が暗い場所なら、肉眼で見つけるのも難しくありません。とはいえ、光害が多い場所では、やはり双眼鏡の助けが必要です。
 
 5日前と比べると、また少し高度が上がりました。右側へ27度離れたところにある、くじら座の2等星デネブカイトスと同じくらいの高さに見えますので、この星を基準に双眼鏡を横にスライドさせると見つけやすいでしょう。
 
 昨日が下弦で、翌日0時59分まで月が昇ってきません。これから当分の間はこの時間帯、月明かりの影響を受けませんので、彗星観測にオススメの期間となります。

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12月6日

 さらに5日がたって、ウィルタネン彗星は上方へ移動しました。地球との最接近を10日後に控え、明るさも4.0等まで明るくなりました。双眼鏡を使うと市街地からでも楽に見える明るさです。
 
 相変わらず明るい星の少ない領域を通過しており、探すのに苦労します。彗星から相当離れていますが、オリオン座の三つ星と、さらに上方に見えるオレンジ色をした1等星アルデバランとの位置関係から、およその見当をつけるしかありません。空が暗くてエリダヌス座が見えるような場所では、エリダヌス川が蛇行する曲がり角にありますから、探すのは簡単です。

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12月11日

 ウィルタネン彗星はおうし座に入ってきました。高度も60度にせまり、長く見上げていると首が痛くなりそうです。オレンジ色の1等星アルデバランから21度離れていますが、星数が多い領域ですから、一つずつ星をたどっていけば、彗星にたどり着けるでしょう。この辺りと思うところで、モヤッとした雲の切れ端のような天体を探してください。明るさも3.6等と明るいですから、双眼鏡を使えば見落とすことはありません。
 
 月齢は4.2です。やや太い目の三日月は19時52分に沈んでおり、月明かりの心配はありません。しかし、今後は日を追うごとに、月明かりの影響を受けるようになります。
 
 地球との最接近を5日後にひかえ、ウィルタネン彗星の移動量が大きくなってきました。1日間隔で彗星の位置をプロットしましたので、観測される際の参考にしてください。

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12月16日

 今日はウィルタネン彗星が地球と最接近する日です。明るさは3.5等で、目一杯まで明るくなっています。見かけの大きさも大きくなり、空が暗い場所では肉眼でもぼんやりと小さな雲の切れ端のように見えるでしょう。
 
 夜の9時ごろ、南東の空を見上げてください。斜めに傾いて昇ってくるオリオン座が目にとまります。そのまま視線を上げていくと、オレンジ色をした一等星、アルデバランが見つかります。さらに天高く見上げると、小さな星がゴチャゴチャ集まったプレアデス星団(すばる)が見えます。

 ウィルタネン彗星は、アルデバランとすばるの間、すばる寄りにあります。双眼鏡を使って、すばるから左下方向へ視野をズラすと、難なく星雲状の天体が見つかるでしょう。これがウィルタネン彗星です!

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12月21日

 今日のコンディションは最悪です。満月を2日後に控えた大きな月が、ウィルタネン彗星の近くにあります。3.7等の明るさがあるとはいえ、条件の良い観測地でも、肉眼で見つけるのは大変かもしれません。
 
 北東の空を大きく見上げると、0等星の明るいカペラが目にとまります。双眼鏡でカペラを視野に入れましょう。右上方向へ7度移動させると、ウィルタネン彗星が見つかります。しかし月が明るいですから、いつもよりもだいぶ頼りない姿になっていることでしょう。
 
 この後ウィルタネン彗星は、12月23日にカペラに大きく近づきます。こちらも見逃さないでください。

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12月26日

 地球最接近から10日が経ちました。明るさは4.2等と、まだ4等台前半をキープしています。
 
 北東の空を大きく見上げてください。ウィルタネン彗星はぎょしゃ座の外れの方へ移動しました。カペラから8.8度離れていますので、7倍くらいの双眼鏡で同一視野とはいきません。ぎょしゃ座が作る五角形の一番下側に見えるβ星(1.9等)からだと、6.3度と少し間隔が狭くなります。いずれにしても彗星が明るいので、探す苦労はそれほどありません。
 
 東京では20時36分に、月齢19.2の丸みを帯びた月が昇ってきたところです。もう1時間早めて20時なら月明かりの影響を受けずにすむので、星図よりも早い時間帯に観測するのをオススメします。

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12月31日

 大晦日の夜、21時ごろに北東の空をご覧ください。ここへきて高度が下がってきており、空の中ほどにウィルタネン彗星があります。やまねこ座という耳慣れない星座にあるのですが、これといって明るい星がありません。
 
 ぎょしゃ座のカペラか、その右下にあるβ星(1.9等)からたどりましょう。カペラからは19度、β星からは15度離れています。7倍くらいの双眼鏡なら、視野2個分から3個分に相当します。明るさは4.8等と、ひと頃よりも明らかに暗くなりました。
 
 ウィルタネン彗星が北上してきたことで、一日中沈まない周極星として、一晩中観測できるようになります。月も翌日2時19分まで昇ってきませんから、彗星観測を十分楽しんでください。

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1月5日

 年が明けてウィルタネン彗星は、5.3等まで暗くなってきました。しかし、まだ肉眼彗星として健在です。
 
 21時ごろ北東の方角をご覧ください。空の中ほどにウィルタネン彗星が見えます。大晦日よりもぎょしゃ座から遠ざかり、北斗七星が作るひしゃくの先端と、カペラの中間付近までやってきました。
 
 肉眼彗星で見られるのもあとわずかです。翌日が新月で月明かりの心配もありませんので、地球から遠ざかるウィルタネン彗星をしっかり見ておきましょう。

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このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を多少改良したものを使用しています。計算精度の関係で位置に多少ズレがありますのでご了承ください。

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