2018年のウィルタネン彗星 46P/Wirtanen

 2018年の12月中旬にウィルタネン彗星(ビルタネン彗星ともいう)が、地球へ0.078AUまで近づきます。この前後に3等級まで明るくなり、肉眼彗星として楽しめそうです。

 ※1AUは地球と太陽間の距離に相当。およそ1.5億Km。

ウィルタネン彗星とは

 ウィルタネン彗星は、5.44年という短い周期で太陽の周りを回る短周期彗星です。太陽から最も離れる遠日点が木星軌道付近にある木星族の一つです。1946年に発見され、その後は回帰が毎回確認されています。
 
 近日点距離(太陽へ最も近づく近日点から太陽までの距離)は、1.055AU と 1 に近い上に、地球公転面に対する軌道の傾きが12度しかないため、近日点付近で地球に大きく近づく可能性があります。
 
 下の図は、「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」にある「つるちゃんの3D太陽系 プラグイン機能」を少し改良し、12月16日のウィルタネン彗星と地球の位置関係を示したものです。この日は地球とウィルタネン彗星が非常に接近していますね。しかも地球から見ると太陽と反対方向にあり、夜間に観測できて非常に好条件です。

ウィルタネン彗星と地球の位置関係

地球との距離

 ウィルタネン彗星は、12月16日に地球へ0.0777AU(1,162万Km)まで近づきます。この距離は、1950年以降に現れた彗星の中では10番目の近さで、歴代20位だそうです。
 
下の図は地球との距離変化を表したグラフです。12月上旬から下旬にかけて0.1AUを切っており、地球へ近づいた状態です。それからグラフではわかりませんが、12月12日に近日点通過し、太陽に1.0554AUまで近づきます。

地心距離

明るさ

 ウィルタネン彗星は、地球に最接近する12月16日ごろは、3等台半ばまで明るくなります。彗星はぼんやりしているため、恒星よりも見づらいですが、それでも空が暗い場所なら肉眼でも十分に見つけられる明るさです。街灯などで空が明るい市街地でも、双眼鏡を使えば楽勝でしょう。

日付 明るさ(等級)
11月11日
6.4
11月16日
6.0
11月21日
5.5
11月26日
5.0
12月 1日
4.5
12月 6日
4.0
12月11日
3.6
12月16日
3.5
12月21日
3.7
12月26日
4.2
12月31日
4.8
1月 5日
5.3
1月10日
5.9
1月15日
6.5

移動経路

 ウィルタネン彗星は冬の星座を背景にして、南から北へ北上する経路をたどります。下の星図は、ウィルタネン彗星の位置を2日間隔でプロットしたものです。12月上旬はエリダヌス座にあり、中旬はおうし座、下旬はぎょしゃ座へと移動します。特に中旬は地球へ近づくこともあり、一日あたりの移動量が大きくなります。

2日間隔の移動経路

見つけ方

 2018年ウィルタネン彗星の見つけ方では、双眼鏡で簡単に見つけられそうな11月21日から1月5日まで、東京から見たウィルタネン彗星の見つけ方を5日間隔で紹介しました。また、下の星図にある地球最接近となる日の場合は、ウィルタネン彗星の見つけ方(12月16日)で解説しています。ぜひご覧ください。
 
 このページを読んで、あなたもウィルタネン彗星を見つけてください!

12月16日(地球最接近の日)に見える位置を示した星図

彗星を見つけるためのコツ

 ウィルタネン彗星を見つけるためにはコツがありますので、何点か紹介します。 

空が暗い場所

 まず何をおいても、空が暗い場所から見ることです。彗星は淡い天体ですから、街灯やネオンサインなど人工の光は大敵です。見え方に大きく影響しますから、できるだけ人工の光が少なく空が暗い場所から観測するようにしてください。

南から北東が開けた場所

 観測時間を21時とした場合、11月から12月上旬は南の方角、12月中旬は南から東、12月下旬から1月上旬は北東の方角に見えます。彗星の高度はそこそこ高いですが、高いビルや木といった遮蔽物がない場所からご覧になってください。

丸くぼんやり光る

 恒星は点像に見えますが、彗星は淡くて広がりを持った天体です。光が拡散して丸くぼんやり光りますから、見え方に注意してください。尾はそれほど発達しませんが、短い尾が観測できるかもしれません。しかし肉眼で見た場合の印象は、少し楕円形に見えるというのが近いのではないでしょうか。長い尾を生やしたカッコイイ「ほうき星」をイメージして探すと、一生見つからないかもしれません・・・。

見える位置を予習

 夜空は広くて大きいですから、勘に頼って当てずっぽうで見ても、なかなか探し出すことができません。あらかじめ星の配列や位置関係などを予習し、彗星が見える位置をよく頭に入れておきましょう。

このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を多少改良したものを使用しています。計算精度の関係で位置に多少ズレがありますのでご了承ください。