明け方に皆既月食 2018年7月28日

 2018年7月28日は、1月31日に続いて皆既月食が見られます。
 
 7月28日の皆既月食は夜明け前に起こります。地域によって月没時刻や日の出時刻が違いますから、観測地によって月食がどこまで見られるか異なります。
 
 このため皆既月食が見られる地域もありますが、部分月食で終わってしまう地域もでてきます。本当は最大食分が1.6を超える深い皆既月食なのですが、夜明けを迎えて月が沈むことで、最大食を楽しむことのできる地域は限られます。

 全国的にどの地域も月没が近くて月の高度が低いですから、南西から西の方角が開けた場所から観測するようにしましょう。



皆既月食が見られる地域

 下に示した月食が見られる地域の図(月食図)をご覧ください。日本付近を見ると U2 と U3 の線が通っています。
 
まず、北日本を通る U2 です。この線の右側では、皆既月食となる前に月が沈んでしまいます。逆にこの線の左側では、皆既月食が開始する時刻に月は沈んでいません。しかし月没が迫っていたり日の出を迎えることから、実際に皆既月食が見られる地域は、月没や日の出が遅い西の地域に限られます。
 
 次に U3 です。この線よりも右側のエリアでは、皆既月食が終わる前に月が沈んでしまいます。言い換えると、皆既中の状態で月が沈みます。日本では多くの地域が U2 と U3 に挟まれており、皆既中に月が沈む月没帯食となることがわかります。

月食図(NASA提供)

月食の時刻表

 今回見られる皆既月食の時刻を表にまとめました。本影による部分食の始まりは7月28日の3時24分、皆既の始まり4時30分、皆既の終わり6時14分、本影による部分食の終わりは7時19分などとなっています。

半影食の始まり  7月28日  2時13.1分
部分食の始まり      3時24.2分
皆既の始まり 4時30.0分
食の最大 5時21.7分
皆既の終わり 6時13.5分
部分食の終わり 7時19.3分
半影食の終わり 8時30.4分
最大食分  1.613

月の経路

 下の図は、月が地球の影を通過する経路を示したものです。最大食の頃は本影(赤い丸のエリア)へ完全に入り込み、皆既月食であることがわかります。今回は地球の影の中心近くを通るため、皆既継続時間が2時間43分もあり、最大食分も 1.6 を超える大きな皆既月食となります。

地球の影を通る月の経路(赤道座標系)

月が地球本影(赤い円)を通ると月食になる。皆既は1時間17分。

欠け方

 月食の魅力の一つは、月が少しずつ欠けていくのを観察できることです。

欠け方

 下の画像は10分ごとに月が欠ける様子を示したものです。欠け始めは月の左上で、3時24分に始まります。地球の影がかかった部分が欠けて見え、影は次第に月の中心方向を覆っていきます。ちょうど半分欠けるのは3時57分です。
 
 時間の経過とともに月は細くなり、右下側に細く光った領域が最後まで残ります。これが4時30分になくなると、いよいよ皆既月食が始まります。しかし北日本では月が沈んでいますし、日の出時刻を考慮すると、実際に見ることができるのは、日の出が遅い西の地域に限られるでしょう。

月食の欠け方

場所によらず同じ割合で欠ける

 日食と違って月食では、時刻が同じなら地球上のどこから見ても、欠ける割合が同じです。欠ける方向は異なりますが、日本国内ではそれほど大きな違いはありません。

見える位置

 今回の皆既月食は南西から西の方角の低い位置で見られます。主な観測地点における月の高度および、日の出時刻を一覧表にまとめました。
 
 月食は低い位置で始まり、食分0.5くらいまでは全国で見ることができます。しかし皆既の始まりは、月没が早い札幌では見ることができません。また東京では、月の高度が2.5度しかない上に日の出が15分後にひかえており、条件的には最悪です。
 
 また、最大食時に月が昇っているのは九州など一部地域に限られます。皆既の終わりにいたっては、先島諸島の一部を除いてほとんどの地域で月が沈んでおり、見ることができません。

観測地 月の高度(度) 日の出
始まり
3:24
食分0.5
3:57
皆既始
4:30
最大食
5:22
皆既終
6:14
札幌 8.1 3.3 -1.8 -10.3 -19.2 4:20
仙台 11.2 6.1 0.6 -8.5 -18.0 4:35
東京 13.5 8.1 2.5 -6.9 -16.6 4:45
名古屋 15.6 10.4 4.8 -4.5 -14.2 4:58
金沢 14.9 9.8 4.3 -4.8 -14.4 4:56
大阪 16.9 11.7 6.1 -3.2 -13.0 5:05
広島 19.0 13.9 8.4 -0.8 -10.5 5:17
福岡 20.8 15.7 10.3 1.1 -8.6 5:27
那覇 27.6 22.1 16.2 6.3 -4.1 5:53

東京で月食が始まるころの位置

皆既月食の楽しみ方

 今回の月食を次のような点に注意して楽しみましょう。

色の変化は皆既月食ならでは

 皆既月食中に見られる月の色は普段と違います。食分が小さいうちは気づきませんが、食分が0.5を超えたあたりから何となく色あせてきて、その後は次第に赤味を帯びてきます。そして、皆既となる頃はオレンジ色や赤銅色、または赤黒い色などに変化し、なんとも言えない美しさです。
 
 皆既中の色は毎回異なり、オレンジ色から灰色までさまざまです。また、時間によっても変化しますから、色の違いを楽しんでください。

皆既中の明るさ

 皆既中の月の明るさは、本影の中心に近い側は暗くなり、端に近い側は明るくなります。また、時間の経過とともに刻々と変化していきます。
 
 それから皆既中の月の明るさは、毎回異なります。火山の爆発によって大気中に火山灰が大量にまき散らされたり、月が地球の影の中心に近いところを通ると、暗い月食になる傾向があります。
 
 昨年は3月にカムチャッカ半島、10月にコスタリカ、11月にバリ島で大規模な噴火がありました。また今年に入ってからも、フィリピンのルソン島やハワイ島でも大きな噴火がありました。前回2018年1月31日の皆既月食は普段よりも暗かったのは記憶に新しいところです。果たして今回の皆既月食の明るさはどうなるでしょうか?

暗かった1月31日の皆既月食
(読者のブン太郎さん撮影)

ぼやけた欠け際

 日食とは違い、月の欠け際はぼやけてはっきりしません。これは地球の大気によって太陽光が分散し、地球の影の境界がはっきりしなくなるためです。「大気を持った地球の影が月に映し出されているんだ」と思いながら欠け際を観察すると、大自然のドラマを感じます。

月食中、欠け際の写真

月食の欠け際はぼやけてハッキリしない

ターコイズフリンジ

 皆既月食中や皆既となる直前・直後に、狭い幅で青色や青緑色の部分が見られることがあります。これをターコイズフリンジ(またはブルーバンド、ブルーフリンジ)と言います。ターコイズフリンジは2011年の皆既月食の頃から注目され始めましたので、話題としては比較的新しいものです。
 
 地球大気上空にあるオゾン層を通過した光は青味がかった色をしており、これが月面上に投影されたのがターコイズフリンジです。地球本影の端のあたりに青味がかった帯が見られるか、確認してみましょう。写真撮影するとわかりやすいようですよ。

ターコイズフリンジの写真

下側が帯状に青みがかっている

双眼鏡や天体望遠鏡で観察

 皆既中の美しい月をじっくり観察しようと思ったら、やはり天体望遠鏡に勝るものはありません。といっても天体望遠鏡は大掛かりになってしまいますから、双眼鏡をお持ちの方はそれでもよいでしょう。
 
 肉眼で見た場合よりも大きく拡大されて細かい部分が見えますから、感動の度合いが違います。特に天体望遠鏡を通して見た皆既中の月は、同じ月面上でも場所によって色合いや明るさが違っているのがハッキリとわかり、格別なものがあります。肉眼よりも双眼鏡。双眼鏡よりも天体望遠鏡がオススメです。

見えないクレーター

 天体望遠鏡を使って欠け際を観測してください。いつものようにクレーターが見えるかと思いきや、ほとんど見ることができません。これは、月食中の月はあくまでも満月だからです。太陽光が月の正面から当たって影ができないため、クレーターが立体的に見えないのです。

半影月食がわかる?

 半影とは、地球が作る影のうち、太陽光の一部が届く影のことです。半影月食を肉眼で見てもなかなか気づきませんが、方法はあります。本影月食(いわゆる月食)が始まる少し前ごろ、欠け始める方向に注目しましょう。なんとなく薄暗くなっていませんか。これは半影月食になっている証拠です。

半影月食の写真

月食開始前、本影に近い
左下側が暗くなった例
 下の図は月食開始5分前、3時19分における月の位置を示したものです。本影は赤いエリアで、半影は薄い黄色で示されています。本影に近い月の左上部分と、まだ半影に入って間もない右下部分を見比べましょう。

月食開始の5分前(地平座標系)

本影に近い月の左上側が暗く見えるのを確認しましょう。

見る場所

 今回の月食は南西から西の低い位置で起こります。したがって、皆既月食をご覧になるときは周囲に高い木やビルなどがない場所を選んでください。
 
 それから昼間と違って夜間になりますので、身の安全には十分気を配って見る場所を選んでください。夜になると雰囲気が変わって危険な場所もあります。当日になって慌てないよう、あらかじめ夜間に下見をしておきましょう。

皆既月食の説明

皆既月食とは

 太陽と地球と月が一直線に並び、月が地球の影に入ると月食が見られます。ですから月食は必ず満月のときに起こります。
 
 地球の影は本影と半影の2種類あります。このうち本影は太陽の光が届かない領域で、ここへ月がスッポリ入ると皆既月食が見られます。皆既月食になると、淡く赤銅色に光る幻想的な月を見ることができます。

皆既月食の説明図

月が赤く見える理由

 皆既月食中の月は赤く見えます。
 
 太陽光が地球の大気を通過するとき、青い光は散乱されやすいため通過することができません。一方、赤い光は散乱されにくいため、屈折しながら大気を通過し、影の奥にまで到達します。このため、皆既月食の月は赤く見えるのです。詳しくは皆既月食中の月が赤くなる理由をご覧ください。

月が赤く見える理由の説明図
 

次回の皆既月食

 次回、皆既月食が見られるのは、夕方にきわどい皆既月食となる2021年5月26日です。しかし皆既継続時間が20分に満たず短いため、そちらの面では条件が良くありません。

※このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」に含まれる「つるちゃんの日食ソフト」プラグイン機能を使い、ΔT=69.2秒を入力して計算したものです。画像データは正確な予報と比較して、時間換算で10秒以内の誤差を含みます。