火星が地球に最接近、火星を見よう 2012年3月6日
小接近となる火星
昨年からジワジワと地球との距離をつめていた火星ですが、2012年3月6日、ついに地球へ最接近します。2012年はいわゆる小接近の年にあたりますから、地球との距離は0.6737AU(天文単位)となっており、近年では最も遠い位置での接近です。世紀の大接近と騒がれた2003年と比較すると、今回は1.8倍も距離が離れています。
火星の最接近日 | 地球との距離(AU) | 備考 |
2001年6月22日 | 0.4502 | |
2003年8月27日 | 0.3727 | 大接近 |
2005年10月30日 | 0.4641 | |
2007年12月19日 | 0.5893 | |
2010年1月28日 | 0.6640 | |
2012年3月6日 | 0.6737 | 小接近 |
2014年4月14日 | 0.6176 | |
2016年5月31日 | 0.5032 | |
2018年7月31日 | 0.3850 | 大接近 |
2020年10月6日 | 0.4149 | |
2022年12月1日 | 0.5445 | |
2025年1月12日 | 0.6423 | |
2027年2月20日 | 0.6779 | 小接近 |
2029年3月29日 | 0.6472 |
楕円軌道と距離の関係
地球と火星の接近距離が一定でない理由は、下に示した太陽系の様子をご覧になれば一目瞭然です。地球は太陽を中心とした円に近い軌道を描いています。一方、火星の軌道の場合は太陽がその中心からズレており、ゆるい楕円軌道を描いています。このため、軌道上で太陽に最も近づく点(近日点)と、最も遠ざかる点(遠日点)における太陽との距離は、差が大きくなります。今回は太陽から最も遠い遠日点付近で地球と接近しますので、おのずと地球との距離も遠くなるのです。
太陽系の様子
しし座に見える火星
火星は今、しし座に見えます。しし座は春を代表する星座ですから、3月頃は真夜中にかけて高度が高くなってきます。火星は−1.2等と非常に明るい上に特異な赤色をしていますから、その気になって夜空を見上げれば、誰でも簡単に見つけることができます。下の星図のように20時頃でしたら、東の方角に見ることができます。
2012年3月6日20時 しし座に見える火星と移動経路
天体望遠鏡で天体観測
天体望遠鏡をお持ちの方は、天体望遠鏡を火星に向けてみましょう。2012年の場合、火星の視直径は最大でも13.9秒しかありません。ちょっとしょぼい接近ですが、観測好機であることに違いはありません。特にこの時期の火星は北半球側が地球を向いています。最接近の頃、火星では夏至に近づいています。天体望遠鏡を使えば、北極冠が溶けて次第に小さくなっていく様子を観測できるでしょう。
また、火星の表面模様にも注目しましょう。表面模様は淡いだけに倍率は高い方が良いのですが、口径の大きさや気流の状態にもよります。過剰倍率にすると見え方がグッと悪くなりますから、倍率を上げすぎないように注意しましょう。
火星の模様は濃い側と薄い側があります。口径の小さな望遠鏡を使って薄い側の火星を眺めていても、表面模様をあまり観測することができません。最も濃い模様は大シュルティスで、これなら小口径の望遠鏡でも観測することができます。22時頃に大シュルティスが観測しやすくなるのは3月18日から24日の1週間です。また、最接近となる3月6日の場合だと、22時頃ならアキダリアの海やオーロラ湾が見やすい位置にきています。これらも比較的濃い模様ですから、ぜひ狙ってみてください。
22時頃に見える火星の模様
火星から見た地球
ここで変わった星図をお見せしましょう。火星から地球の方向を見た星図です。下のように、地球は太陽と同じ方向に見えていますね。今、火星から見た地球は内合を迎えており、太陽に近いため観測することができません。このページ最初に出てきた太陽系の様子をご覧いただければ、なんとなく理由を理解していただけるでしょう。
星図では地球の移動経路も表示しました。地球から見た火星の移動経路と、なんとなく似ていませんか。移動する相手側から自分を見ると、移動の仕方は完全に逆になるのですから、なんとなく似ているのも当然でしょう。
火星から見た地球は太陽と同じ方向に見える
※「つるちゃんのプラネタリウム フリー版」で[別の惑星モード]にすると、同様な星空を描くことができます。
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