アイソン彗星の見つけ方

 ここでは11月から12月にかけて見ごろとなるアイソン彗星の見つけ方を紹介します。基本的に夜明け前、11月は東南東から南東の方角に見え、12月は東から東北東の方角に見えます。明け方にアイソン彗星が見える位置もご覧ください。

 明るくなるのは太陽に最も近づく11月29日をはさんだ数日間です。しかし太陽の近くに見えるため、彗星が大増光してくれないと、観測するのは難しいでしょう。実際に観測できるのは、11月23日頃までと12月5日頃以降で、明るさは4等台から5等台が中心です。ですから、空が暗い場所から観測しないと肉眼で見つけるのは難しく、双眼鏡が必要になると考えておいた方がよいでしょう。双眼鏡を使って彗星観測に挑戦のページも参考にしてください。

 アイソン彗星を見つけるにあたっては、月明りの条件も大切です。11月18日が満月ですから、11月後半は月明りの影響を受けてしまいます。しかし、12月前半は12月3日が新月ということで、月明りの影響を受けずにすみます。しかも近日点通過後ということで、大彗星に大化けしている可能性もあります。いろいろな意味で12月上旬に期待が高まりますね。

※アイソン彗星は近日点通過時に崩壊し、以降は観測できなくなりました。

日別の説明へのリンク

11月16日 11月18日 11月23日 11月26日

12月1日 12月3日 12月5日 12月7日 12月11日 12月14日 12月18日 12月21日

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11月16日

 すでに金星軌道よりも内側に入ったアイソン彗星は、明るさを増してきています。この日、予報では6.1等ということで、肉眼でも見える肉眼彗星まであと一息です。残念ながら、まだ肉眼では見えませんので、双眼鏡を使って観測しましょう。夜明け前、東京で4時30分頃ですと、アイソン彗星は東南東の空に見えます。4時49分から空が明るくなり始めますから、あまりのんびりしてられません。

 この日、アイソン彗星はおとめ座の1等星スピカの上側に見えますから、まずスピカを探しましょう。東南東の低い位置に見える最も明るい星を見つけたら、それがスピカです。スピカから上の方へ6.8度離れた位置にアイソン彗星がありますから、双眼鏡の視野を上方向へ移動させてください。7倍の倍率なら同一視野で見えるか見えないかギリギリのところでしょう。ぼんやりして、とらえどころのない光の塊が見つかれば、それがアイソン彗星です。上の方へ尾が伸びているかも確認しておきましょう。

 この日の月齢は12.3で、東京での月の入り時刻は4時37分です。以降は明け方に月が残るようになり、月明りの影響を受けるのが残念です。

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11月18日 −観測のオススメ日

 この日の見ものはなんといっても、アイソン彗星がおとめ座の1等星スピカへ近づいていることでしょう。下の星図のように4時30分の場合ですと、両天体の間隔は0.8度と、1度を切るところまで大接近しています。残念なのは今日は満月ということで、少なからず月明りの影響を受けてしまいます。

 アイソン彗星の明るさは5.6等ということで、2日前に比べて0.5等も明るくなりました。とはいえ、まだまだ肉眼では苦しい明るさです。でもこの日は1等星のすぐ隣にありますから、双眼鏡を使えば簡単にアイソン彗星を見つけられるでしょう。この日は絶対にオススメですよ!

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11月23日

 このところアイソン彗星の高度がドンドン下がっています。太陽への最接近が11月29日にひかえており、太陽に近づく速度を速めているからです。星図の時間も50分遅い5時20分としました。そうしないと、アイソン彗星が東の空から、まだ昇ってきていないからです。下の星図を見ると、おとめ座のスピカから大きく下の方へ離れており、たったの5日間で大きく移動したことがわかります。

 この日の目印は、-0.6等で光る水星です。-0.6等といっても薄明中での話ですから、明るく見えるわけではありません。アイソン彗星はこれよりも5等近くも暗いわけですから、水星が見つけられないようだと、その日の観測はあきらめた方がよさそうです。水星を双眼鏡の視野に入れて、右の方へ真横に5度ほど視野を動かすと、アイソン彗星がみつかります。尾の向きが右上方向に変わってきた点も確認しておきましょう。

 東京で5時20分ですと、空が明るくなり始める4時51分からすでに30分ほど経過しています。このため拡散した彗星の姿は見づらくなっています。おまけに月齢19.3という半月よりも太い月が、空の高い位置にあります。明るさの方は4.2等と明るくなりましたが、条件的には悪くなった感じがします。薄明が進む前に、できるだけ早く見つけたいですね。

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11月26日

 いちおう11月26日を紹介しますが、実際にアイソン彗星を見つけるのは難しいのではないかと思います。厳しい条件であることを覚悟の上で挑戦してください。近日点通過が近づくとともに、アイソン彗星が予想以上に増光してくれた場合は、この限りでありませんが・・・。

 星図の時間は、3日前よりもさらに40分遅い6時ちょうどです。それでもアイソン彗星の高度は3.2度しかありません。3日前よりもさらに太陽に近づいており、太陽への最接近が3日後にせまっているのを感じさせます。明るさが2.7等まで明るくなったといっても、日の出が27分後にひかえており、見つけるのは骨が折れるでしょう。

 見つける際は、この日も水星を頼りにしてください。この時間帯にいきなり水星を探し始めても、空の明るさに負けてしまって苦しいですから、もう少し早い時間帯から探して位置を確認しておくのが賢明です。偶然ですがこの日、水星(-0.7等)は土星(1.1等)に0.4度まで大接近していますから、こちらも見ておきましょう。

 これから先のアイソン彗星は、太陽から非常に近い位置にやってきます。よほど明るくならない限り、しばらく観測するのが難しくなります。次に観測できるのは、12月に入ってからになりそうです。

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12月1日

 アイソン彗星が太陽に最接近してから2日後となる12月1日の場合です。さすがに太陽から近くて、実際に彗星が見られるか怪しいものです。しかし尾が発達した場合は、頭部が地平線下にあっても、尾だけが観測できる可能性があります。彗星本体が昇ってくる前から東南東の低空に注目しましょう。

 下の星図は6時10分に東京から東南東の方向を眺めたようすです。日の出が22分後にせまっており、空はかなり明るくなっています。おまけにアイソン彗星は超低空で、高度は1.2度しかありません。いくら明るさが1.9等といっても、周囲の明るさに埋もれてしまって、実際に見つけるのは難しいでしょう。太陽に超がつく大接近した直後だけに、アイソン彗星が爆発的に明るくなっていることに期待したいところです。

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12月3日

 12月1日から2日が経ちました。わずか2日ですが、アイソン彗星の高度が確実に上がってきています。下の星図は6時ちょうど、東南東方向のようすです。時刻は10分だけですが早くなりました。それにもかかわらず、アイソン彗星の高度は1.2度から3.9度と、確実に高くなっています。

 しかしながら明るさの方が3.3等とだいぶ暗くなってしまいました。薄明は5時3分から始まっており、すでに57分が経過。日の出は6時34分と、34分後にひかえています。厳しい条件であることに変わりはありません。この日も水星を目印にして、地平線付近を丹念にさがしましょう。もしかするとフワッと頼りない姿をしたアイソン彗星が見つかるかもしれません。

 ここで朗報をひとつ。今日は新月ということで、これから当分の間は月明りに悩まされずにすみそうです。

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12月5日

 さらに2日が経ちました。アイソン彗星は太陽からどんどん遠ざかってきており、水星の軌道付近までやってきました。それとともに見かけ上も太陽から離れつつあり、高度が上がってきます。高度が上がると日の出前に、より早い時間から観測できるようになります。言い換えると、空が暗いうちから観測を始めることができて有利です。

 星図の時刻も20分早まって5時40分です。わずか20分の違いですが、空の明るさが違っています。薄明中であることに変わりありませんが、彗星の明るさが4.0等と明るくないだけに、この20分の違いは大きいでしょう。高度も4.1度と低いですが、これから時間の経過とともに高くなってきます。双眼鏡を使えば存在だけなら、どうにか確認できるのではないでしょうか。

 この日は目印になるものがありませんから、大まかに見当をつけて、地平線近くをていねいに探すしかありません。見える位置は2日前よりも北より(見かけ上は左側)へ移動しているので注意してください。

 それから、この時間帯は数分の違いでも、彗星の高度と空の明るさが違います。たとえ最初に見始めた時に見えなくても、しばらくねばっていると、条件が整って見えるようになることがよくあります。あきらずにがんばって、ねばり強く探してくださいね。

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12月7日

 またまた2日が経ちました。アイソン彗星はだいぶ左の方へ移動し、東の空に見えるようになりました。星図の時刻は5時30分と10分早くなっており、その分だけ空が暗い状態で観測できます。また、高度も6.2度となっており、4.5等の彗星を双眼鏡で見つけるのも、だいぶ条件がゆるくなりました。要するに、がんばって探せば見つけられるようになってきたということです。

 この日はへびつかい座のδ星(デルタ星、2.7等)に1度弱まで近づいています。双眼鏡を使って、なんとかこのδ星を視野に入れてください。δ星のすぐ上に、アイソン彗星か見つかるでしょう。尾が伸びているようすを確認できるかもしれませんよ。

 大事なことは、東の方角が開けているのはもちろんですが、街明かりなどの光害が少ない場所から観測することです。人工の光は天体観測には大敵で、特に彗星のような淡い天体は見づらくなってしまいます。月明りもない暗夜ですし、街中にお住まいの方は、できるだけ郊外へ出て観測したいところです。

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12月11日 −観測条件が整う

 12月7日から数えて4日が経ちました。星図のように東京の場合だと、5時10分でもアイソン彗星の高度が10度を超えてきます。ちょうどこの時間帯から空が明るくなり始めますから、どうにかギリギリ暗夜で観測できることになります。月齢は7.8ですから明け方には月明りもなく、何かと条件が整った感じがします。5.1等とだいぶ暗くなりましたが、双眼鏡を使えば多少の光害があっても問題ありません。ある意味、一番条件良く観測できるのがこの頃かもしれません。

 この日、アイソン彗星は真東の方角に見えます。東が正確にわからない方は、空の中ほどでオレンジ色に光る、うしかい座の1等星アークトゥルスを見つけましょう。アイソン彗星はここからほぼ真下方向に見えるはずです。大人が腕を伸ばして縦にした「げんこつ」が作る角度はおよそ10度と言われますから、地平線から縦のげんこつを一つ作りましょう。下の星図でアイソン彗星の高度は10.3度ですから、およその位置の見当がつくはずです。

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12月14日

 その後もアイソン彗星は太陽から遠ざかりつつあり、早くも金星軌道の近くまでやってきました。そのため見かけ上も太陽から離れてきて、高度が確実に上がっています。下の星図は4時40分と12月11日の場合よりも30分も早まりました。しかし高度は10.4度と、ほとんど変わりません。薄明が始まるのは5時11分ですし、月齢10.8の月も3時29分に沈みますから、完全に空が暗い状態で観測できます。明るさは5.3等ですから肉眼ではしんどいですが、双眼鏡の助けを借りれば、尾を長く伸ばしたアイソン彗星の姿が楽しめそうです。見え方は空の状態に大きく左右されますから、とにかく少しでも空が暗い場所から観測するようにしてください。

 この日の見つけ方ですが、アークトゥルスを最初に見つけるところまでは12月11日と同じです。しかし彗星が左方向へ移動していますから、今日はアークトゥルスから視線を大きく左ななめ下方向へ移動します。そして、半円形にグルリと星が並んだかんむり座の中央に位置する2等星のゲンマを見つけてください。アイソン彗星はゲンマからみて、大きく下側からやや右方向に位置しています。

 我ながら、だいぶ強引な案内ですね・・・。東の方角がわかっている方は、「真東からやや左側で、高度は縦に作ったにぎりこぶし1個分」 の場所を探したほうがわかりやすいかもしれません。

 今後は月明かりの影響を受けるようになりますから、できるだけこの頃までに一度は観測しておきましょう。

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12月18日

 最近のアイソン彗星は夜明け前の東天で高度が高くなってきました。位置的には見やすくなった反面、少しずつ光度が落ちています。おまけに今日は満月を1日過ぎたばかりの大きな月があり、淡い彗星を観測するには悪い条件です。この日の明るさは5.6等ということで、最高の条件下でも肉眼で見つけるのは難しいでしょう。

 東の方角で空の中ほどからやや低い位置に見える、ゲンマという星を見つけましょう。ゲンマはかわいらしい半円形に見える、かんむり座という星座の真ん中に位置する2等星です。星図のように東京で4時40分頃なら、アイソン彗星はゲンマから真下、10度ほどの場所に見えます。12月下旬に地球との最接近をひかえており、尾が長く伸びてきます。双眼鏡を使うと淡いながらも観測できるでしょう。

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12月21日

 3日前、かんむり座のゲンマの真下に見えていたアイソン彗星は、かんむり座の左下まで位置を変えています。このところ動きが大きくなっているのは、12月27日に起こる地球との接近が近づいているからです。といっても明るさの方は、太陽からの距離が離れてきたため5.8等まで暗くなり、肉眼彗星とよばれるのもあとわずかです。クリスマスが近づく中、アイソン彗星を見送りましょう。

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 つるちゃんのプラネタリウム アイソン彗星