大きな半影部分月食 2012年11月28日

 2012年は6月4日に部分月食が起こりましたが、天候に恵まれなかった地域も多かったようです。あれから半年近くがたった11月28日は、半影部分月食が起こります。半影月食が起こるのは2009年2月9日の半影月食2009年7月7日の半影月食以来、3年ぶりのことです。しかし、半影月食の場合は肉眼でハッキリ観察するのは難しいでしょう。

2012年11月28日の半影月食 最大食頃の写真

半影月食の写真
提供:ブン太郎さん(23:32撮影)

東京で見る半影月食

最大食の頃の欠け方
※実際には肉眼できれいに欠けて見えるわけてはありません。

1.半影月食とは

 半影月食は月食の種類の一つです。月が地球の影の中に入ると月食が起こりますが、地球の影には二種類あります。一つは本影とよばれる影で、太陽の光が届かない領域です。この中に月が入ると、いわゆる月食が起こります。このとき月は欠けて見えます。

 もう一つは半影とよばれる影で、太陽の光が一部届いている領域です。月が地球の半影の中に入った状態は、半影部分月食とよばれます。月が半影の中に入っても、一見しただけでは月が欠けていることには気づきません。なぜなら、影に入った部分にも太陽光が一部届いているからです。月面全体が光っているため、肉眼でパッと見ただけでは月食が起こっていることに気づかないのです。しかし半影による食が進むと、本影に近い側が少し暗くなっているのがなんとなくわかります。

2.地球の影を通る月の経路

 下の図は2012年11月28日に起こる月食の際に、月が地球の影を通る移動経路を示したものです。今回は地球半影の南側を月が通過していきます。一般の地図とは違って、東西が逆になっています。薄い黄色の領域は地球の半影で、太陽の光が一部届いています。この中に入っても肉眼で月が欠けていることは、ほとんどわかりません。一方、赤い丸は地球の本影ですが、今回は半影月食ということで、月が本影を通ることはありません。

月が通る経路と地球の影

地球本影の北の端を月が通過していく

3.月食の経過

 下表に時刻などを示します。今回の月食では、食の最大時刻は23時33分です。このことは観測地を問わず、全世界で共通です。日本では月が南中する頃に最大食となることから、極めて良い条件で見ることができます。といっても半影月食ですから、肉眼で全経過を追うのは難しいでしょう。

半影食の始まり  11月28日 21時12.6分
食の最大  11月28日 23時33.0分
半影食の終わり  11月29日  1時53.4分
半影の最大食分  0.942

4.最大食頃に注目

 半影による最大食分が0.942ということで、かなり地球の本影に近いところまで月が近づきます。したがって本影に近い側は太陽光の当たり方が少なくなるため、肉眼で見ても少し暗くなっていることがわかるかもしれません。このことは写真で撮影するとわかりやすいでしょう。最大食となる23時33分頃、月の上側に注目してみてください。

5.次回の月食

 次回の月食は、2013年4月26日に起こる部分月食です。しかしこの時は、全体の2%しか欠けない小さなものです。その次は2014年4月15日ですが、これも全体の4分の1ほどしか欠けない部分月食です。皆既月食は2014年10月8日まで起こりません。このときは20時前ごろに皆既となりますから、子供さんでも見やすい月食として話題になりそうです。なお、次回の半影月食は意外と先で、2016年3月23日になります。

次回の月食 2013年4月26日 関東以西で小さな部分月食

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