夏真っ盛りの夜、天の川のほとりにアルタイルが見つかります。アルタイルはわし座が作る鷲の頭に位置する1等星す。七夕伝説のとおり、彦星と織姫星が天の川を挟んで川のほとりに見えています。アルタイルは1等星ですが、0等星であること座のベガと比べると、少し暗い星であることがわかります。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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アルタイル | Altair | わし座 | α星 | 53番 | 19h50m47s | +08゜52’06” | 0.76等 | 2.21等 | 16.7光年 | A5 |
アルタイルは七夕の星の一つ、彦星として有名ですね。七夕伝説では、こと座のベガが織姫星とよばれるのに対し、アルタイルは日本では男性の尊称から彦星とよばれています。また中国では、牽牛星といいます。日本でも万葉集で牽牛の文字が出てくる詩があります。彦星は地方によって、うしかい星と言われますが、これは牽牛からきている呼び名です。
アルタイルは彦星として有名ですが、他には犬飼星(いぬかい星)という和名もあります。これは、アルタイルを挟んで4等星のβ星と3等星のγ星があり、これを犬と考えたのだそうです。
アイヌではアルタイルとβ星とγ星のことを、このように呼びます。アルタイルがお婆さんで暗いβ星は怠け者の兄、少し明るいγ星は働き者の弟だということです。
アルタイルはアラビア語ではアル・ナスル・アッ・ターイルといわれ、「飛ぶ鷲」を意味します。アラビアではわし座とこと座を合わせてアン・ナスライン、つまり「二羽の鷲」とよんでいました。
アルタイルは、こと座のベガ、はくちょう座のデネブとともに、夏の大三角を作っています。冬と春にも大三角がありますが、濃い夏の天の川を背景にした夏の大三角は、一番優雅で華やかに見えます。
アルタイルは自転が速い星として知られています。自転周期はたったの8.9時間。秒速240Kmもの猛烈なスピードで回転しています。太陽の自転周期が25.38日(対恒星)であることと比べると、その速さがわかるというものです。このためアルタイルは赤道部分が14%も膨らんだ楕円形をしています。
この星は誕生してから数億年程度しかたっていない若い星と考えられています。重さは太陽の1.8倍程度のため赤色巨星になりますが、35億年も先の話だということです。
アルタイルは4重星ですが、伴星はいずれも10等級以下の暗い星です。