春の星座がバッチリ、夏の星座も 5月

 5月になるとすっかり気候も良くなり、天体観測にはもってこいの季節となります。心ゆくまで星空を楽しんでみましょう。

5月の星空(全体)

 まず星空全体を眺めてみましょう。西の空にはわずかに冬のなごりの星座が見えています。ぎょしゃ座とふたご座です。特にふたご座のカストルとポルックスの明るい2星は、東天から夏の大三角が昇ってくる頃になってもまだ見えていて、不思議な感じがします。

 空の中ほどでは、ちょうど春の大三角が南中しています。まさに春の星座で空が埋め尽くされた、そんな感じです。大きなうみへび座も南天の空でゆうゆうと横たわっています。しし座はそろそろ西の空へ傾き始めました。北斗七星のあるおおぐま座も、この季節は見上げるのに首が疲れます。うしかい座のアークトゥルスもずい分と高くなりました。天高くにはつるちゃんの好きなかみのけ座も見えています。反対に、この季節にはカシオペア座は北の空スレスレにあるので、なかなか見つけることができないかもしれません。

 今度は夏の星座が顔を見せ始めた東天を見てみましょう。
 

5月の東の空

 東天からはボツボツと夏の星座が見え始めました。まだ少し季節的には早いのですが、今月からは夏の星座を紹介していきましょう。

てんびん座

 黄道12星座のひとつとして有名な星座ですが、てんびんの形を想像するのはちょっと難しいかもしれません。ひらがなの「く」の字を逆向きにした3星の並びしかわかりません。昔は下の方から見えてきたさそり座のつめの部分として描かれていたそうで、こちらの方が自然なような気がします。ギリシャ神話では、正義の女神アストレアが、人間の罪をはかるために手にしていた天秤だということです。

へび座(頭)

 へび座へびつかい座によって頭部と尾部の2つに分断されています。こんな変わった星座はへび座しかありません。分断されたうち、頭部の方から先に上ってきます。同じ時間に尾部の方を見ようと思うと、もう1、2ヶ月ほど待たねばなりません。
 へび座には大きくて見やすい球状星団M5があります。双眼鏡でも丸い星雲状に見えますが、天体望遠鏡をのぞく機会があれば、見逃さないようにしてくださいね。ヘルクレス座のM13と比べて見るのも楽しいでしょう。

ヘルクレス座

 12の困難な仕事を成し遂げたギリシャ神話の英雄として、ヘルクレス座はあまりにも有名です。そんなヘルクレスも星座として見ると、少し貧弱な感じがします。空が暗い場所でないと、その存在を確認することすら危ぶまれます。Hの字を少し拡げたような形を目印にしてください。
 ヘルクレス座には北天で最大の球状星団M13があります。小さな星々が球状にびっしりと集まって群れている様には感動せずにはおられません。ぜひとも天体望遠鏡でのぞいてみたい天体のひとつです。