日本で起こる皆既日食を見たいけど、トカラ列島をはじめとする国内の島は競争率が高くて厳しそう。そんなあなたにオススメしたいのが中国です。トカラ列島の6分台という長い皆既継続時間にはおよびませんが、たとえば上海でも5分間皆既が継続し、立派に皆既日食を観測することができます。観測地を選べば6分に迫る5分50秒台だって可能です。北京オリンピックの時のように、中国というと大気汚染が心配という方がおられるかもしれませんが、大都市から少し離れたらだいぶマシ。中国は検討の余地、大いにアリですよ。
2009年の皆既日食はトカラ列島を中心に日本で見ることができますが、なにも日本だけでしか見られないというわけではありません。実はお隣の中国でも、5分以上も継続する皆既日食を楽しむことができます。下の絵は中国東部を通る皆既帯を示したものです。上海や杭州、湖州、武漢などの都市を通っていることがわかります。
日本のトカラ列島では6分を超えるような長い皆既継続時間となる場所もありますが、中国ではそれよりも少し短めとなります。しかし、下の絵からわかるように皆既継続時間が5分を超える地点も多く、特に中国東岸(海上)の中心線付近では5分57秒と6分に肉薄しています。また、一見中心線から外れているように思える上海でも5分間ほど継続します。したがって、観測地点を選べば世紀の皆既日食といわれる日食を十分に楽しめることがおわかりいただけるでしょう。
次の表は中国東部における主な観測地点での皆既継続時間の目安です。位置が少しずれると継続時間も違ってきますから、あくまで参考にということでご使用いただければと思います。
観測地 | 皆既継続時間 |
---|---|
上海市 | 5分00秒 |
上海市 金山区 | 5分54秒 |
平湖市 九龍山 | 5分54秒 |
嘉興 | 5分50秒 |
湖州 | 5分47秒 |
杭州 | 5分19秒 |
安吉 天荒坪 | 5分39秒 |
池州 | 5分38秒 |
武漢 | 5分25秒 |
日本国内の皆既帯が通るのは小さな島だけということもあって、どこも受け入れが大変で、ハードルが高い状況です。そんな中、日本から距離が近くて比較的容易に行くことができる中国は、有力な観測地の候補であることがわかります。今回の皆既日食では上海も皆既帯に入るなど、中国の大都市が皆既帯に入ります。皆既継続時間は5分台とトカラ列島の6分にはおよびませんが、それでも魅力的な皆既継続時間です。それになんといっても、受け入れ体制の面で国内とは比べ物にならないほど器が大きくて余力があります。
そんなこともあって、今続々と中国への皆既日食ツアーが企画されています。条件が良いものからドンドンと席が埋まっていく状態が続いていますが、新しいツアーが出たところでパッと予約すればなんとかなるでしょう。現在は満席であっても2次募集が開始されたり、新コースが設定されることも多く見受けられますから、各社の募集状況をこまめに確認しましょう。なお、中国ツアーでは皆既日食を快適に観測するために、宿泊施設や食事、観光もさることながら、次のような点に注意されると良いでしょう。
・観測地として見通しがよい広い敷地が確保されているか
・観測機材の持ち込みは可能か
・観測地はツアー客だけの限定か。落ち着いて観測や写真撮影ができるような状況か
・近くにトイレや休憩施設はあるか → 場所によっては40度前後まで気温が上がります
・前日などに観測地の下見ができるか
・観測地へ移動する場合、スケジュール的に問題ないか
・観測地は主催社側で下見がされているか
・建物の中(ガラス越し)や遊覧船から観測するような場合もあるので注意する
・晴天率を考慮する → どこも似たような状況のようですが・・・
・大都市は大気汚染が激しいので考慮する
・標高が高い所や水辺の近くは霧やモヤが出やすいこともあるので考慮する
・主催社は過去に皆既日食ツアーの実績があるか
大小さまざまな旅行会社から中国ツアーが企画されていますから、インターネットで検索していろいろと比較・検討してみてください。