2009年7月22日に皆既日食が日本のトカラ列島などで見られますが、ここでは中国から見た場合の見え方を紹介します。皆既日食ツアーの中で観測予定地とされている8地点を代表として選びました。
代表8地点における日食の開始時刻、最大時刻、終了時刻などを下の表へまとめました。時刻やその他の数値は、すべて「つるちゃんの日食ソフト」を使用しています(現地時間へ手修正しています)。月縁補正は行われていませんので、皆既食開始と皆既食終了時刻は数秒ずれることがありますから注意してください。
※旅行会社が採用している緯度、経度、標高の正確さやデルタT値の違い等の理由により、皆既日食ツアーで公表されている数字とは多少異なる場合があります。
観測地 | 開始 | 最大 | 終了 | 皆既食 ※月縁補正なし、つるちゃんの日食ソフト使用 |
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時刻 | 高度 | 時刻 | 高度 | 食分 | 時刻 | 高度 | 開始時刻 | 終了時刻 | 継続時間 | |
上海 余山観測所 | 08時23分02秒 | 40.1度 | 09時38分48秒 | 56.2度 | 1.024 | 11時01分08秒 | 72.6度 | 09時36分05秒 | 09時41分31秒 | 5分26秒 |
上海 月湖掘塑公園 | 08時22分58秒 | 40.0度 | 09時38分42秒 | 56.1度 | 1.024 | 11時01分01秒 | 72.6度 | 09時36分00秒 | 09時41分26秒 | 5分26秒 |
小洋山島 | 08時24分02秒 | 41.0度 | 09時40分30秒 | 57.4度 | 1.037 | 11時03分24秒 | 73.9度 | 09時37分32秒 | 09時43分29秒 | 5分57秒 |
湖州 大湖畔 | 08時21分36秒 | 38.8度 | 09時36分48秒 | 54.9度 | 1.031 | 10時58分51秒 | 71.5度 | 09時33分57秒 | 09時39分40秒 | 5分43秒 |
平湖 余新鎮中学校 | 08時22分22秒 | 39.6度 | 09時38分04秒 | 55.8度 | 1.038 | 11時00分32秒 | 72.5度 | 09時35分09秒 | 09時41分01秒 | 5分52秒 |
嘉興 高中学校 | 08時22分23秒 | 39.6度 | 09時38分04秒 | 55.8度 | 1.037 | 11時00分29秒 | 72.4度 | 09時35分08秒 | 09時41分00秒 | 5分52秒 |
安吉 | 08時20分55秒 | 38.3度 | 09時36分01秒 | 54.4度 | 1.031 | 10時58分08秒 | 71.3度 | 09時33分10秒 | 09時38分53秒 | 5分43秒 |
武漢 全民健身活動中心 | 08時14分56秒 | 32.4度 | 09時26分42秒 | 47.8度 | 1.033 | 10時46分16秒 | 64.6度 | 09時23分59秒 | 09時29分26秒 | 5分27秒 |
下の絵は上海 余山観測所で太陽が見える位置を示したものです。時刻の表示は日本時間になっていますので、現地時間に直す場合は1時間を引いてください。例えば10時36分1秒とあるのは、現地時間で9時36分1秒になります。
現地時間で8時23分に真東の方向で日食が始まります。中国は日本よりも西側に位置しますから、その分だけ日食も早く始まります。しかも時差が1時間ありますから、それだけ太陽高度は日本で見る場合よりも低くなります。上海
余山観測所の場合だと、欠け始めの太陽高度は40度くらいです。
その後太陽は上方向へ駆け上がり、高度56度で最大食を迎えます。日本の場合よりも10度ほど高度が低いので、首が痛くならずに助かります。その後も太陽高度は上がり続けて、日食が終了する頃には73度に達します。
注: 画像の中で表示された時刻は日本標準時刻です。現地時間とは1時間の時差がありますので注意してください。
(以下の画像、すべて同様)
観測地点によって若干の違いはありますが、太陽に対して天頂方向(頭の真上)から地面の方向へ月が近づいてきます。このあたりは日本の場合と特に違いはありません。先の8地点で日食の開始時刻が最も早いのは最も西に位置する武漢で、8時14分56秒(現地時間)です。逆に最も遅いのは最も東に位置する小洋山島で8時24分2秒です。
だいぶ日食らしくなりました。黒い月は太陽の中心がある下側方向へ移動して、太陽の上側が欠けています。まだ4分の1から3分の1が欠けたにすぎませんから、まだまだこれからが本番です。
皆既まで残り30分ちょっとになりました。月は太陽の半分以上を隠してきました。相変わらず太陽の上側が欠けていて、下側に残った部分が輝いています。この時点で太陽から届く光の量はいつもの半分ほどしかありませんから、多くの方が周りが少し暗くなったことに気づくでしょう。
多くの場所で皆既日食まであと15分ほど。西に位置する武漢ではあと4分です。食分は80%前後で月は三日月のように細くなり、だんだんと緊張が高まってきます。空もだいぶ暗くなって、太陽から西側へ40度ほど離れたところにある金星を見つけられることでしょう。ここからは、いよいよ皆既日食へ向けてカウントダウン開始です。
下の絵は各地における最大食の様子です。中国東部の各地で皆既日食となり、コロナが黒い太陽を取り巻きます。日本のトカラ列島よりも20分ほど早い皆既日食となります。食分が最も大きいのは、最も東側に位置して中心線に近い小洋山島の1.037で、悪石島の1.038に肉薄しています。各地で5分台半ばから5分台後半という、近年としては長い部類に入る皆既継続時間となります。
日食も後半戦になりました。日食の前半とは逆に、今度は太陽の上側が光る格好に変わっています。各地で太陽の直径の4分の3が月に隠された状態です。太陽は三日月形をしており、普段の日食ではなかなかお目にかかることのできないような、大きく欠けた状態が継続しています。
皆既日食終了から40分が経過しました。太陽は月によって、まだ半分くらい隠された状態です。太陽が半分も欠けるような日食は頻度的にそれほど多くありませんから、残った日食タイムを十分楽しみましょう。
皆既日食の余韻が冷めやまないまま1時間が経ちました。気がつけば太陽は残り4分の1を残してすっかり回復してきました。太陽高度も70度近くまで高くなり、見上げていると首が痛くなりそうです。日食の残りもだいぶ少なくなって終わりが近づきます。
夢の皆既日食も全て終了。何もなかったかのように、太陽はいつもの輝きを取り戻しました。月は太陽の真下からやや左側を通り抜けていきます。最も早く日食が終了するのは武漢の10時46分16秒で、最も遅く終了するのは小洋山島の11時3分24秒です。