皆既日食が見られる地点の日食(日本) 2009年7月22日

 2009年7月22日に日本のトカラ列島などで起こる皆既日食で、本場となるトカラ列島周辺での日食の見え方です。代表の8地点として、皆既日食が見られる種子島の門倉岬、屋久島の湯泊、トカラ列島の中之島、諏訪之瀬島、悪石島、小宝島、奄美大島のアヤマル岬、喜界島を選びました。

日食の開始、最大食、終了となる時刻

 先の8地点における日食の開始時刻、最大時刻、終了時刻などを下の表へまとめました。皆既食の開始時刻と終了時刻ですが、皆既日食観測の際には1秒刻みでの精度を必要とされるケースが多いため、つるちゃんの日食ソフトは使用せず、月縁補正が行われた詳細予報を掲載しています。その他の時刻や数値は「つるちゃんの日食ソフト」を使用しています。

観測地 開始 最大 終了 皆既食
※月縁補正あり、つるちゃんの日食ソフト使用せず
時刻 高度 時刻 高度 食分 時刻 高度 開始時刻 終了時刻 継続時間
種子島 門倉岬 09時37分42秒 51.5度 10時58分47秒 68.5度 1.002 12時23分11秒 79.9度 10時57分48秒 10時59分45秒 1分57秒
屋久島 湯泊 09時36分59秒 51.1度 10時57分59秒 68.1度 1.009 12時22分28秒 80.0度 10時56分01秒 10時59分52秒 3分51秒
中之島 09時35分55秒 50.3度 10時56分53秒 67.5度 1.027 12時21分38秒 80.3度 10時53分51秒 10時59分54秒 6分03秒
諏訪之瀬島 09時35分38秒 50.1度 10時56分39秒 67.4度 1.035 12時21分31秒 80.5度 10時53分27秒 10時59分45秒 6分18秒
悪石島 09時35分28秒 50.0度 10時56分31秒 67.3度 1.038 12時21分29秒 80.7度 10時53分20秒 10時59分37秒 6分17秒
小宝島 09時35分00秒 49.7度 10時56分03秒 67.1度 1.029 12時21分09秒 80.9度 10時52分58秒 10時59分01秒 6分03秒
奄美大島 アヤマル岬 09時35分41秒 50.2度 10時57分15秒 67.9度 1.008 12時22分44秒 81.7度 10時55分21秒 10時59分05秒 3分44秒
喜界島 09時36分09秒 50.5度 10時57分56秒 68.3度 1.003 12時23分32秒 81.9度 10時56分57秒 10時59分06秒 2分09秒

日食が見える位置

 下の絵は悪石島で太陽が見える位置を示したものです。9時30分過ぎ頃に真東の方向で日食が始まります。このときの太陽高度は既に50度もあって、空の中ほどよりもやや上側に見えます。太陽はその後、上方向へ駆け上がり、高度67度で最大食を迎えます。その後も太陽高度は上がり続けて、日食が終了する12時21分頃は南中直前ということもあって、高度は81度にも達します。
 
悪石島における太陽位置

日食の始まり

 観測地点によって若干の違いはありますが、今回の日食では月は太陽に対して天頂方向(頭の真上)から地面の方向へ月が近づいてきます。先の8地点で日食の開始時刻が最も早いのは小宝島の9時35分00秒で、最も遅いのは種子島門倉岬の9時37分42秒です。
 
トカラ列島付近での欠け始め

9時40分

 下の絵は9時40分のようすです。各地で既に日食が始まり、専用の減光フィルターを通すと、肉眼でも太陽の上側がちょっぴり欠けていることがわかります。しかし、食分はわずかに3%から7%程度で、まだまだこれからです。
 
9時40分

10時00分

 10時になるとだいぶ日食らしくなってきます。黒い月は太陽の中心がある下側方向へ移動しており、欠け方がだいぶ大きくなりました。各地の食分はだいたい30%前後ですから、まだまだこれからが本番。皆既まであと50分少々あります。
 
10時00分

10時20分

 皆既まで残り30分ちょっとになりました。月は太陽の半分以上を侵食してきています。相変わらず太陽の上側が欠けていて、下側に残った太陽が輝いています。この時点で太陽から届く光の量はいつもの半分ほどしかありませんから、多くの方が周りが少し暗くなったことに気づくでしょう。
 
10時20分

10時40分

 皆既日食まであと15分ほど。食分は80%を超えて月は三日月のように細くなり、皆既日食に向けた緊張が高まってきます。空もだいぶ暗くなって、太陽から西側へ40度ほど離れたところにある金星を見つけられることでしょう。ここからは、いよいよ皆既日食へ向けてカウントダウン開始です。
 
10時40分

最大食、皆既日食!

 下の絵は各地における最大食の頃の様子です。トカラ列島を中心とした各地で皆既日食となり、黒い太陽を拝むことができます。太陽のまわりをコロナが取り巻き、幻想的な雰囲気を味わうことができるでしょう。下の絵で食分が最も大きいのは悪石島の1.038で、次が諏訪之瀬島の1.035。以下は、小宝島、中之島、屋久島の湯泊、奄美大島のアヤマル岬、喜界島、種子島門倉岬の順です。

 また詳しい計算では、皆既日食継続時間が最も長いのは諏訪之瀬島の6分18秒。次に長いのは月の本影に最も近い悪石島で、1秒差の6分17秒。中之島と小宝島はともに6分3秒で、これら4地点では6分を超えるような、非常に長い皆既日食になります。
 
最大食のようす

11時00分

 最大食をわずかに過ぎた11時のようすです。8地点では全て10時59分台に皆既日食が終了しますから、下の絵の11時では食分が1を切って、ちょうど皆既日食が終了した頃です。太陽は非常に細くて、もしかするとダイヤモンドリングが見えている地点があるかもしれません。これからは時間の経過とともに、太陽はもとの姿に戻っていきます。
 
11時00分

11時20分

 日食も後半戦になりました。日食の前半とは逆に、今度は太陽の上側が光る格好に変わっています。各地の食分は75%前後で、太陽の直径の4分の3が月に隠された状態です。太陽は三日月形をしており、普段の日食ではなかなかお目にかかることのできないような、大きく欠けた日食状態が継続しています。
 
11時20分

11時40分

 皆既日食終了から40分が経過しました。太陽は月によって、まだ半分くらい隠された状態です。太陽高度は75度に達し、頭の真上近くで日食が起こっているような感覚です。太陽が半分も欠けるような日食は頻度的にそれほど多くありませんから、残った日食タイムを十分楽しみましょう。
 
11時40分

12時00分

 皆既日食の余韻が冷めやまないまま1時間が経ちました。気がつけば太陽は残り4分の1を残してすっかり回復しており、太陽が欠けた方向も真下ではなく左下方向に変わってきました。日食の残りもだいぶ少なくなって終盤が近づきます。
 
12時00分

12時20分

 日食もいよいよ終盤です。最も欠けた状態の喜界島でも4%が欠けているにすぎません。更に食分が小さい地点では、肉眼だと目を凝らさないと欠けていることに気がつかないでしょう。
 
12時20分

日食の終了

 夢の皆既日食も全て終了。何もなかったかのように、太陽はいつもの輝きを取り戻しました。トカラ列島を中心としたこの地域では、12時21分から12時23分の間に終了します。
 
トカラ列島付近での日食の終了

関連リンク
  主要8都市の日食
  中国で見る皆既日食