コンパクトデジタルカメラ

 最近最も普及しているカメラといえばコンパクトデジタルカメラでしょう。これを使って日食撮影する場合の注意点をまとめました。

コンパクトデジタルカメラの例コンパクトデジタルタルカメラの特徴

 コンパクトデジタメカメラは安価なのが魅力です。既にお持ちの方も多いことでしょう。コンパクトで持ち運びにも便利ですから、いろいろな局面で活躍します。

 そんなコンパクトデジタメカメラは、画素数だけを見ると、デジタル一眼レフカメラと比べても遜色ないように思われるかもしれません。しかし機能面で省略されていたり、劣っている部分が少なからずあります。受光体のサイズがまず挙げられますが、あえてここでは触れないでおきます。

 機能面ではフィルターを装着できない、マニュアル露出がない、マニュアルフォーカスがない、といった制限があることが多くなっています。このあたりを踏まえて、コンパクトデジタメカメラならではの注意点を紹介します。

フィルターについて 

 日食撮影では太陽光を数千分の1から数万分の1まで減光する必要があります。その対策としてデジタル一眼レフカメラの場合はNDフィルターを取り付けます。しかし残念ながら、コンパクトデジタルカメラにこれらのフィルターを取り付けることはできません。取り付け用のネジ穴がない上に、取り付けるためのアダプターも販売されていないからです。NDフィルターをレンズの前面に手でかざして撮影するか、フィルターを装着するアダプターを自作するしかありません。

日食メガネを使ってコンデジで太陽を撮影した写真 NDフィルターを取り付けられないのなら、日食メガネのフィルター部分をコンパクトデジカメのレンズ前面にかざして撮影したらどうなるか。そのような簡単なやり方で試写してみたのが右の写真です。画質はザラザラ感が強くて全体的に赤みがかっています。観賞用の写真としてはとても耐えられませんが、それでもどうにか太陽の形がわかります。

 撮影する際は、日食メガネのフィルター部をレンズへ確実に密着させないと、レンズに周囲の明るい光が入ってしまってきれいに写りません。手持ちは意外と難しいので、あらかじめフィルター部を切り取ってレンズ前面にテープなどで貼り付けておいた方が確実でしょう。

 なおこの方法は、正規の正しい使い方ではありません。これによる機材の破損やご自身の負傷など、当サイトでは一切の責任を負いかねます。くれぐれもご自身の判断でなさっていただきますようにお願いいたします。

ピントが合わない場合の設定変更

 コンパクトデジタルカメラでそのまま撮影すると、太陽にピントが合わないことがあります。これは、カメラ側で顔認識をしたり、広い範囲にピントを合わせる設定になっているからです。ですから測距点を画面中央の狭い範囲に限定する「スポット」などの設定に変更してください。

それでもピントが合わないことがあります。この時はシーンに応じた撮影モード設定で、遠くを撮影する時に用いる「無限遠(∞マーク、数字の8の字を横倒しにした形)」または「空撮」「風景」などに設定しましょう。これで太陽にピントが合うようになります。

測光方式を変更

 コンパクトデジタルカメラに限らずデジタルカメラ全般にいえることですが、もし変更が可能でしたら測光方式を変更してください。

 通常はカメラ側で画面全体のバランスを考えて露出時間を割り出します。ところが日食撮影の場合は中央部にまばゆい太陽があります。このため中央部と周辺部の明暗差が大きくなりすぎて、適切な露出時間にならないケースが多くなります。そこで、画面中央部の狭い範囲だけを測光するように設定を変更するのです。「中央スポット測光」が最適ですが、なければ「中央重点測光」などに変更します。なお、作者が使用する安価なコンパクトデジタルカメラには、測光方式を変更する機能がありませんでした。

露出補正

 ここまで変更しても露出がうまく制御できないことが多々あります。その場合には露出補正機能を使います。EVという値を変更しましょう。太陽が暗く写る場合はEV値をプラス側へ変更し、明るく写る場合はマイナス側へ変更します。


つるちゃんのプラネタリウム 日食撮影