アイソン彗星の明るさ

 2013年11月から12月にかけて、アイソン彗星が明るくなります。特に近日点通過となる11月29日には、金星をしのぐほど明るくなります。現状では難しいですが、予想以上に増光してくれれば、日中でも太陽の近くで観測できるかもしれません。以前の予報では、過去に現れた大彗星や、もしくはそれ以上の大彗星になる可能性があると思われていましたが、そこまで明るくなるのは難しいようです。

近日点通過の前

 下のグラフはアイソン彗星の光度曲線です。アイソン彗星が肉眼彗星となる5等台に達するのは、当初、2013年10月末とみられていました。しかし、現在の予報では11月中旬頃です。11月24日には3等台へ突入し、27日は2等級、28日は1等級に達するなど、日を追うごとに急激に明るくなります。しかし29日に近日点通過をひかえていることから、太陽へ一気に近づいて、観測条件としては急速に悪化します。

近日点通過

 普通の彗星なら、ここまでいけば万々歳です。しかしアイソン彗星の場合、増光はこれにとどまりません。近日点通過頃は太陽へ大きく近づくため、彗星の増光が加速します。太陽に最接近する29日には-6等級から-7等級に達するでしょう。これは三日月に相当する明るさですから、たいしたものです。当初の予報では、計算上-13.6等という、満月に比肩するほどの明るさになるはずでした。しかし現在、そこまで明るくなるのは難しいとみられています。

 いずれにしてもアイソン彗星は、明るくなるのが約束された彗星であると言えるでしょう。もっとも、これは計算による数字のお遊びであり、実際にどのくらいまで明るくなるかは、アイソン彗星が来てみないとわかりません。

近日点通過の前後、半年間の光度曲線
アイソン彗星の光度曲線

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アイソン彗星の光度曲線

近日点通過後

 近日点通過後は、アイソン彗星の明るさは一気に暗くなります。しかし、その暗くなり方は、近日点通過前に明るくなった時と比べると、少し緩やかなものです。これは、2013年12月27日にアイソン彗星が地球へ最接近するからで、太陽から離れていくことのマイナス要因を打ち消してくれるからです。

 それでは近日点通過後の明るさを調べてみましょう。マイナス等級を維持しているのは11月30日までです。素晴らしい彗星の姿を眺められるのは太陽にごく近い間だけで、短命といえそうです。そして、翌日の12月1日は2等級、3日は3等級、5日は4等級という具合に、目に見えてドンドン暗くなってしまいます。そして12月11日には5等級まで落ち込みます。さらに1月13日には6等級となり、肉眼彗星として観察できるのはこれが最後。以降は双眼鏡や天体望遠鏡が必要になります。
 

 つるちゃんのプラネタリウム アイソン彗星