昇ってきた冬の星座 2002年12月

 12月ともなると、宵の時間帯といえども寒さが厳しくなってきます。寒がりのつるちゃんにとっては厳しい季節の到来で、観測はほとんどできないでしょう。でもこのページを読んでいる皆さんはがんばって観測してくださいね。
 

12月の星空(全体)

12月の星空(全体)

 西の空を見てみますと、先月までは西の空でがんばっていた夏の大三角も、さすがに12月ともなると半分沈んでしまっています。かわって秋の星座が西の空の大部分を占めてきました。大きな四角形のペガスス座やアンドロメダ座をはじめとし、みずがめ座、うお座など、秋を代表する星座は皆、西の空に傾いてきました。ただひとつ、くじら座だけはまだ南の空付近に南中してがんばっています。

12月の星空(北の空)

12月の星空(北の空)

 しかし、北の空の天高くにはW字型で有名なカシオペア座や勇者のペルセウス座が陣取っています。これを見て秋の名残りを感じるのは、つるちゃんだけでしょうか。

 

12月の星空(東の空)

12月の星空(東の空)

 さすがに12月ともなると、東の空は冬の星座でいっぱいになってきました。先月紹介したおうし座やぎょしゃ座などは21時頃でも高度が50度に達し、これからは見上げるのにだんだんとつらくなってきます。

エリダヌス座

 オリオン座の西側から南西側(おおまかに言ってオリオン座の右側)にかけて、小さな星がウネウネと曲がりくねりながら南の地平線へと落ちていっています。この付近がエリダヌス座になります。エリダヌスは川であり、その流れ着く先には、日本からは見えませんがアケルナルという1等星があります。アケルナルは「川の果て」という意味です。
 華やかな冬の星座にあっては、あまり目立たない存在ですが、長−い川の流れにも注目してみましょう。

オリオン座

 冬の星座でまず目に付くのは、鼓の形をしたオリオン座です。この時期のオリオン座はまだ横向きに寝そべった形で東の空から昇ってきているところです。オリオン座には1等星が2つと2等星が5つもあり、大変豪華な構成です。おまけに三ツ星を真ん中にして、四角形が取り囲むようにきれいに星が配置されていますから、人目をひくのも当然でしょう。

 オリオン座の1等星ベルギウスが赤い色をしているのに対して、0等星リゲルをはじめとして他の星々は白か青白い色をしているのも特徴的です。
 2つの1等星の色は非常によい対比をなしているので、日本では赤いベテルギウスを平家星、白いリゲルを源氏星と呼んだりしています。

 三ツ星の南側には有名なオリオン大星雲(M42)があり、空の暗い場所では肉眼でもぼんやりと見えています。双眼鏡や天体望遠鏡で観測すれば、鳥が羽を拡げたような美しい姿を捉えることができます。

 ギリシャ神話では、オリオンは名高い狩人です。ところが、オリオンは狩が得意なことを自慢するあまり、大神ゼウスの妻であるヘラの反感を買ってしまい、ヘラの仕向けたさそりによって刺し殺されてしまいました。このため、さそり座が昇ってくる頃になると、オリオンはこそこそと西の空へ沈んで行くのだそうです。

うさぎ座

 オリオン座の南にはうさぎ座という、かわいらしい星座があります。あまり明るい星はないのですが、星をていねいにたどると、確かにオリオンの足元で飛び跳ねるうさぎの姿が浮かび上がります。うさぎ座には特にギリシャ神話は伝えられていませんが、狩人オリオンが追った獲物として描かれた星座ではないかと言われています。