2003年火星大接近徹底解説(その3)

 今回は火星大接近徹底解説の第3回目です。今年の火星大接近は、一生に1度見られるかどうかというくらいの超大接近となります。それを数値データから再度確認してみましょう。

大接近となる周期

 地球の公転軌道はほぼ円形であるのに対して、火星の公転軌道は少しつぶれた楕円形をしています。このため、火星がどの位置で地球に接近するかによって、小接近となったり大接近となったりすることは、火星大接近徹底解説(その2)で解説したとおりです。

 地球と火星は2年2ヵ月の周期で接近を繰り返しますが、大接近は15年か17年の周期でしか起こりません。さらに条件のよい大接近は79年、205年・・・と続きます。
 

5万7千年ぶりの大接近

 そんな火星大接近ですが、今回2003年8月27日の大接近は、なんと、紀元前55537年以来の大接近となるそうですから、実に5万7千年ぶりの接近ということになります(注:別の計算では、約6万年ぶりという話もあります)。最接近時の火星の赤道視直径は25.1270秒となり、25秒を超えています。前回の超がつくような大接近は79年前の1924年8月22日でしたが、この時の視直径は25.1185秒で、今回の大接近にはわずかにおよびませんでした。

一生に一度の大接近

 それでは、今後についてはどうかといいますと、284年後(=79年+205年)の2287年8月28日には赤道視直径が25.1584秒、その363年後(=79年×2+205年)の2650年9月3日には25.1751秒、さらにその79年後の2729年9月8日には25.1753秒となる大接近が起こります。

 今回の大接近は一生に一度あるかないかの超がつく大接近であるといえるでしょう。

大接近と火星の軌道

 下の表は、火星の視直径が25秒を超えるような大接近をまとめたものです。

年月日 距離(AU) 赤道視直径(秒)
1766年8月13日 0.373260 25.0906
1845年8月18日 0.373021 25.1067
1924年8月22日 0.372846 25.1185
2003年8月27日 0.372719 25.1270
2050年8月15日 0.374051 25.0376
2082年8月30日 0.373564 25.0702
2129年8月19日 0.373276 25.0896
2161年9月 4日 0.374586 25.0018
2208年8月24日 0.372794 25.1220
2287年8月28日 0.372254 25.1584

 過去に比べて2003年以降の方が、視直径が25秒を超えるような大接近が起こる回数が増加しているのは、火星の軌道の楕円が次第にきつくなってきているため、火星が太陽に近づく機会が増えてくるためです。

 火星の軌道も長い目で見ると、一定ではなく、微妙に変化しています。実際に、7万9千年ほどさかのぼると、視直径が26秒を超える時期もありましたし、2万6千年後には再び26秒を超える時期がやってくるそうです。「そんな過去や未来の話、ほんまかいな」って感じですが・・・。

8月27日以外でもすごいぞ

 2003年8月27日が大接近の日だからといって、8月27日だけしか火星を好条件で見られないというわけではありません。

   ・21世紀中で最大 --> 8月24日から8月31日
   ・15年前、1988年の大接近を超える --> 8月10日から9月13日

といった具合に、8月末をはさんだ前後2週間程度の間は、相当な好条件で火星を眺めることができるといえるでしょう。

火星と地球の動きを眺めよう

 「つるちゃんの3D太陽系」のシェア版を使って、地球と火星の動きをアニメーション化してみました。地球や火星はどんな動きをするのかな? 下のリンクをクリック!!

   地球から見た火星の動きを眺めよう(181KB)

   火星から見た地球の動きを眺めよう(176KB)