2020年6月21日の夕方、全国で大きめの部分日食が見られます。特に沖縄地方では、太陽が80%以上も欠けて三日月形になり、大きな日食となります。
ところで昨年は、1月6日と12月26に部分日食が2度起こりました。今回はその半年後です。1年半という短い期間に日本列島で3度も部分日食が見られるのは珍しいことです。
また、今回は夏至の日という特定日にあたります。日本で夏至の日に日食が見られるのは、1901年から2200までの300年間で、今回一度だけです。
日食特設サイト「日食ナビ」では 2020年6月21日の日食 について詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください!! |
この日食は台湾などで見られる金環日食に伴うもので、日本全国で見られます。下の日食図を見ると、日本は金環帯の北側にあります。南へ行くほど金環帯に近づきますので、南の地域で大きく欠けることがわかります。また、日本は日食帯の東端に近くにありますので、夕方に見られます。しかし、ピンク色のエリアにかかっていませんから、始めから終わりまで全経過を観測することができます。
日食が見える地域 |
提供:NASA
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東京駅(以下、東京と表記)の最大食分は0.47です。概ね太陽視直径の半分が欠けるといったところでしょうか。
東京での開始
東京は16時11分に月の半影に入り、部分日食が始まります。欠け始めは太陽の下側からです。
23分後の16時34分に食分が0.25となり、4分の1が欠けて見えます。相変わらず下側が欠けていますが、欠ける方向は少しずつ左の方へズレでいきます。
日食の前半
※最大食(右下)を基準に9分間隔でさかのぼる
東京での最大食
東京では17時10分に食分が0.47となり、日食はピークを迎えます。日食グラスを通して観察すると、太陽の左下が大きく欠けて見え、日食らしさが楽しめるでしょう。太陽高度は19.7度で、少し西に傾いてきました。
最大食のころ
日食が見える位置
東京での終了
最大食から34分後の17時44分になると、再び食分が0.25となり、4分の1が欠けた状態まで戻ります。太陽が欠ける向きは左側へ移ります。
さらに20分後、18時4分に東京は月の影から抜けて、太陽は完全に丸い形を取り戻します。これで、1時間53分におよんだ部分日食は終了です。このとき、太陽高度は9.8度と10度を切っています。低い位置で見えづらいですから、西から北西方向が開けた場所から観測するようにしましょう。
日食の後半
※最大食(左上)を基準に9分間隔で描画
日本の主な8地点(札幌、仙台、東京、金沢、大阪、広島、福岡、那覇)における日食の開始、最大食、終了のシミュレーション画像を用意しました。
各地の開始
太陽の下側から月が接することで、部分日食が始まります。8地点で開始時刻が最も早いのは那覇と福岡で15時59分台、最も遅いのは仙台と札幌の16時12分台です。他の地点の開始時刻は、この範囲におさまります。
主な8地点で日食の開始
各地の最大食
最大食の頃は各地とも、太陽の左下が欠けた状態になります。沖縄の那覇では食分0.84と大きく欠けて、太陽が三日月のようになります。他の地域でも比較的大きく欠け、食分は福岡で0.62、大阪0.54、東京0.47、札幌0.29 などとなっています。
また、最大食となる時刻は、最も早いのが札幌の17時1分で、最も遅いのが那覇の17時17分です。東京、大阪、広島、福岡では、17時9分台か10分台で、あまり差がありません。
最大食のようす
各地の終了
太陽の左か左上で月が太陽に接し、部分日食が終了します。8地点のうち終了時刻が最も早いのは札幌の17時46分で、最も遅いのは那覇の18時23分です。両地点の差は37分あり、終了時刻は地点によって差が広がります。
太陽高度は東京で9.4度と10度を切るなど、各地点とも15度以下と低くなっています。
終了のようす
先に出てきた8地点に名古屋、高知、鹿児島を加え、11地点の欠け方と日食の時刻を一覧にしました。観測される際の参考にしてください。
観測地 欠け方 最大
食分始まり 最大食 終わり 札幌 0.290 16:12:47 17:00:59 17:45:51 仙台 0.400 16:12:07 17:07:11 17:57:37 東京(駅) 0.470 16:11:17 17:10:12 18:03:40 名古屋 0.511 16:08:00 17:10:08 18:06:05 金沢 0.481 16:07:21 17:08:20 18:03:27 大阪 0.538 16:06:23 17:10:18 18:07:39 広島 0.577 16:02:23 17:09:31 18:09:21 高知 0.586 16:04:09 17:10:59 18:10:31 福岡 0.618 15:59:42 17:09:33 18:11:23 鹿児島 0.666 16:00:47 17:12:04 18:14:48 那覇 0.837 15:59:39 17:16:42 18:23:12
台湾では金環日食が見られます。中心線が通る嘉義市では、食分が0.994と 1に近いですから、非常に細い太陽リングが見られます。最大食は17時14分(日本時間)ごろで、継続時間が1分にも満たない短い金環日食です。ここまでリングが細いと空が暗くなりますので、地平線近くにある金星も余裕で見えるでしょう。
本来であれば日食ツアーが組まれ、多くの日本人が台湾で観測に臨むところでしょう。しかし、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら実際に観測できる人はごく限られてしまいそうです。
嘉義(台湾)での最大食※時刻は日本時間 |
嘉義で金環日食が見える位置※地平線近くには金星も |
次に日本で見られる日食は 2023年4月20日 本州南岸と南西諸島で小さな日食のページで紹介しています。しかし多くの地域では、10年後に見られる2030年6月1日の北海道金環日食まで、日食を見ることができません。
※このページのシミュレーション画像は、自作フリーソフトつるちゃんの日食ソフト(Windowsパソコン用)を使って、ΔT=69.2秒を入力して計算したものです。緯度と経度と標高が正確に一致する場合、シミュレーション画像内に表示された時刻は概ね5秒以内の精度です。限界線近くなど条件によっては30秒ほどずれる可能性もあります。 |