今年2011年の9月後半から10月前半にかけて、45P/本田・ムルコス・パジュサコバ彗星(本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星)が明るくなります。この彗星は1948年に日本人の本田実氏と他2名によって発見されました。公転周期が5.25年の周期彗星で、今回は12回目の回帰となります。
本田・ムルコス・パジュサコバ彗星の軌道 |
今回は8月15日6時26分に本田・ムルコス・パジュサコバ彗星が地球へ0.0601AU(約900万Km)まで近づきます。このとき彗星は6等級まで明るくなります。地球に近づいた彗星としては、シュワスマン・ワハマン第3彗星が2006年5月に地球へ0.067AUまで接近したのを思い出しますが、今回はそれを上回る接近となります。
このように地球へ大接近するのですが、この頃の彗星は南半球からしか観測できない大マゼラン星雲の近くにいます。したがって北半球からは条件が悪くて全く観測することができません。
大接近した頃のようす |
その後彗星は北上してきて、日本から観測できるようになるのは9月後半からです。この頃の明るさは7等台半ばから7等台後半ぐらいではないかと思われます。彗星は9月28日に太陽へ最も近づいて近日点通過となりますが、地球からの距離が遠ざかるのでそれほど明るくならず、8.3等とむしろ暗くなってしまいます。そして10月上旬には明るさが9等台まで落ち込みます。
そんなことを考慮すると、9月のできるだけ早い段階で彗星が明るいうちに見ておかれるのが一番良いと思います。
本田・ムルコス・パジュサコバ彗星の経路 |
北上を続けていた本田・ムルコス・パジュサコバ彗星は9月中旬頃から観測できるようになってきます。下の星図は9月15日4時、東京から見た東天のようすです。彗星の明るさは7.7等と推定されますから、天体望遠鏡を使えば観測できる明るさです。高度が低いこともあって、双眼鏡の場合は空が暗い場所からでないと観測は難しいでしょう。位置的にはしし座の前足付近に見えますから、およその見当をつけて探してください。
この日、天文薄明が始まるのが東京の場合では3時56分です。この後、東の空はドンドン明るくなってきますから、彗星の高度が上がってくるのと、空が明るくなって見づらくなるのとの戦いです。
本田・ムルコス・パジュサコバ彗星は次第に高度を上げてきます。明るさはやや暗くなっており、9月25日の場合は8.1等です。天体望遠鏡なら問題ありませんが、小型の双眼鏡だと空が暗い場所でないとかなり苦しい明るさです。
この日、彗星はしし座の1等星レグルスに近づいています。月も近くにいるので目印になって探しやすいですが、月の光が少し邪魔になるかもしれません。1等星のレグルスを見つけてから右下方向を探すのがよいでしょう。
10月5日の彗星高度は9月25日とほとんど変わりません。位置がやや南より(右側)へ移動したのは10日前と少し違っています。ただ地球との距離が、0.69AUから0.91AUと急速に遠ざかったため、明るさの方は8.7等と暗くなります。月明かりがないので10日前よりも観測はしやすいでしょう。
今後彗星は高度を変えずに少しずつ南より(右側)に移動していきます。しかし明るさがドンドンと暗くなっていきます。10日後の10月15日は9.7等で、小望遠鏡の観望期も終盤を迎えそうです。
本田・ムルコス・パジュサコバ彗星のデータを「天文ソフト つるちゃんのプラネタリウム」へ登録すると、彗星の動きをシミュレーションすることができます。次の方法でデータを設定してください。ソフトは当サイトの[トップページ]−[ダウンロードとご購入]−[つるちゃんのプラネタリウム フリー版]からダウンロードすることができます。ここではプログラムがすでにインストールされていることを前提に、データ設定方法を紹介します。
1.プログラムを起動
まず、「つるちゃのプラネタリウム」を起動して適当な画面を表示します。
2.彗星データ設定
下のようにメニューバーより[ツール]−[オプション]−[彗星データ設定]を選択します。
3.本田・ムルコス・パジュサコバ彗星データの入力 ・・・光度パラメータが少し変わりました。
[彗星データ設定]画面で、左下にある[次へ]ボタンを何回か押して、空行のあるページを表示します。次に、下のように本田・ムルコス・パジュサコバ彗星の行を追加入力してください。このとき、左端のチェックボックスへチェックを入れるのを忘れないようにしましょう。入力完了後[OK]ボタンを押すと、データ登録は完了です。
彗星データ登録時にエラーが出る場合、次のことをお試しください。 (1) プログラムをいったん終了 (2) 「つるプラ」のプログラムアイコンを右クリック (3) 「管理者として実行」を選択 (4) あとは同じ操作 |