パンスターズ彗星の明るさ

 パンスターズ彗星は近日点通過の頃に最も明るくなります。うまくすると明るさは-1等に達するかもしれないと言われていましたが、その後は増光のペースが鈍り、実際には2等前後となりそうです。下のグラフは「つるプラ シェア版」を使って、パンスターズ彗星の明るさの変化を表した光度曲線です。

当初予想されたパンスターズ彗星の光度曲線(半年間)
光度曲線

 ここからは、どのように明るさが変わっていくのか、月ごとにみていきましょう。

2013年1月

 2013年の年初の明るさは8等台です。しかし太陽に近づくにつれて、パンスターズ彗星は加速度的に明るさを増していきます。順調に増光が進めば1月下旬には6等台半ばで、肉眼彗星になる日も近いでしょう。アマチュアが使う天体観測用の双眼鏡や天体望遠鏡を使うと、条件が整えば楽に観測できるでしょう。実際には1月中旬に8等級、下旬は7等級でした。

2月

 2月に入ると6等を超えて肉眼彗星となります。そして2月中旬には5等、4等と次々に突破し、急激に増光します。そして2月下旬には、3等級に達するでしょう。しかしこの頃は、まだ南半球寄りに彗星が見えますので、日本からは観測することができません。実際は2月初めは6等級、中旬には4等級まで増光し、下旬には3等級に達しました。

3月

 その後3月上旬には2等級の明るい彗星になります。そして近日点を通過する3月10日頃には、当初予想された-1等にはおよびませんが、1.8等まで明るくなると予報されています。残念なことに、この頃の彗星は太陽の近くに位置しており、観測が少々難しいかもしれません。双眼鏡や天体望遠鏡を使うと、うまくすれば日没後の夕空で、パンスターズ彗星の姿を見つけることができるかもしれません。

 近日点通過後は次第に明るさが落ちていきます。その反面、彗星が見やすい位置にやってきて観望期を迎えます。3月下旬には4等前後まで暗くなりますが、しかしそれでも彗星としては明るい部類です。双眼鏡があれば尾が伸びた彗星らしい姿を観察できるでしょう。空が暗い場所からだと肉眼でも確認できそうですが、光害の激しい都会から肉眼で見つけるのはとても無理な話です。

4月

 4月に入ると太陽から遠ざかってくることから、パンスターズ彗星の光度もどんどんと暗くなります。月初は4等台半ばだったのに、月末には一気に7等前後まで落ち込みます。4月の後半は田舎の暗い夜空でも、肉眼で観測するのが難しくなるでしょう。双眼鏡を使っても都会からの観測は、そろそろ見納めが近づいた感じです。

5月

 5月もパンスターズ彗星はどんどん暗くなります。5月末には9等まで暗くなってしまいます。こうなると肉眼はおろか、双眼鏡でも次第に観測が難しくなります。しかし天体望遠鏡ならまだ大丈夫です。どこまで観測できるか挑戦してみてください。

3ヶ月間の光度曲線
3ヶ月間の光度曲線を拡大

初ものは期待できない?

 軌道の特徴のページで書きましたように、パンスターズ彗星はオールトの雲からやってきて、今回初めて太陽に接近する彗星です。このような彗星は一般に太陽へ近づいても活動が活発化せず、あまり明るくならないと言われています。2004年のリニア彗星やコホーテク彗星がそのいい例です。順調にいけば上で書いたように明るくなってくれるのでしょうが、そうはいかない可能性もあります。

 2013年1月以降、当初の予報よりも暗い目で推移したのはその兆候でした。3月初旬現在で言えることは、2等級まで明るくなるだろうということです。過度の期待は禁物ですが、過度に悲観する必要もありません。

 つるちゃんのプラネタリウム パンスターズ彗星