夏・秋・冬の星座が同時に見られる 2002年11月

 11月ともなると夜間はかなり冷え込むようになってきます。おまけに夜露もついて天体観測にはつらい季節が近づいてきました。防寒対策はしっかりとして、楽しい天体観測をするようにしましょう。つるちゃんの天体観測も、寒さのため今月限りでしばらくお休みかな。
 

11月の星空(全体)

11月の星空(全体)

 11月の宵の空は夏と秋と冬の3つの季節の星座が同居しています。西の空にはこと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブで形作られた夏の大三角ががんばっています。夏の大三角の中央には天の川が見えるのですが、さすがにこの季節になると高度が低くなってきて、少し見えにくくなってきました。天の川をたどりながら、北の空へ目を移していくと、ケフェウス座やカシオペア座、ペルセウス座などの秋の星座が目にとまります。さらには東の空の方向へ冬の天の川が続いていくのですが、冬の天の川はたいへん淡いので、高度が低いこの時間帯に見るのはちょっと難しいかもしれません。

 続けて天頂(頭の真上)付近、上の全球プラネタリウムの絵では円形の中央付近には、秋の大四辺形をもつペガスス座やお隣のアンドロメダ座が目につきます。

11月の星空(南の空)

11月の星空(南の空)

 続いて南の空を見てみますと、秋の星座がどっかりと腰をすえています。南西の空には星座占いにもでてくるやぎ座やみずがめ座が見えています。高度20度くらいの低い位置には秋の唯一の1等星であるフォーマルハウト(みなみのうお座)が寂しげにポツンと光っています。南から南東にかけてはうお座やくじら座も見えていますが、いずれの星座も明るい星が少ないだけに、形がいまひとつハッキリとわからないかもしれません。

 次は東天を見てみましょう。今月からは冬の星座が登場してきました。

11月の星空(東の空)

11月の星空(東の空)

ペルセウス座

 北東の空高くを見上げると、秋の星座のしんがりをつとめるペルセウス座が見えています。ペルセウスといえば秋の星座の勇者です。ペルセウスがアンドロメダ姫を救った話は有名ですが、髪が蛇でできていてその目にみつめられると石にされてしまうという、メドゥサ・ゴルゴンを退治したのもペルセウスです。

 ペルセウス座のベータ星はアルゴルと呼ばれています。この星は3日弱の周期で2.1等から3.4等の範囲で明るさを変える変光星です。上の絵では高度60度付近に見える2つの2等星のうち、右側の星がアルゴルです。アルゴルの意味は悪魔の星。昔は星は不変なものと考えられていただけに、アルゴルの明るさが変わるのは気味悪がられたそうです。実際には2つの恒星が回り合っていて、日食のような現象をひき起こすために見かけの明るさが変わります。
 

カシオペア座

 カシオペア座が真北付近で南中しています。カシオペア座といえばW字型で有名ですが、今はM字型に見えていますので注意してください。この位置では、北極星はカシオペア座の真下方向に見えることになります。月ごとの星空の中にある11月の星空でも確認してみてください。

おうし座

 東天の中ほど付近には有名な星の集団、すばるが見えています。すばるは普通の視力の人なら6〜7個の星が見える散開星団でプレアデス星団(M45)とも呼ばれています。すばるは星座だと勘違いする人もおられるようですが、実際にはおうし座の一部です。おうし座にはだいだい色の1等星アルデバランがありますので、こちらもおうし座の目印となるでしょう。

 おうし座にはかに星雲(M1)という星雲があります。これは昔星が超新星爆発を起こした残骸です。天体望遠鏡で見ると、佐渡島のような形に見えるユニークな星雲です。

ぎょしゃ座

 北東の空にも黄色の1等星がギラギラと輝いていますが、これはぎょしゃ座カペラです。この時期はおうし座のアルテバランとほぼ同じ高度に見えていますので間違わないようにしてください。カペラは正確にいうと0等星なので、アルデバランより1ランク明るく見えています。付近にはカペラをひとつの頂点とする五角形が見えますが、これがぎょしゃ座になります。あまりきれいな五角形ではないのですが、なかなか印象に残る星座です。

 ぎょしゃ座やおうし座の下にはオリオン座やふたご座も地平線から顔を出してきており、冬の星座が勢ぞろいするのも間近です。