10月1日0時、11月1日22時、12月1日20時
カシオペア座の見え方 |
カシオペア座付近の星図 |
カシオペア座の星はW字型の配列をしており、小学校の教科書にまで登場するほどよく知られた星座です。しかし、天高く昇りつめた頃にはWではなくMを開いたような形に見えるので注意が必要です。日本付近の緯度ではカシオペア座は地平線に沈まない周極星となります。
カシオペア座は特徴ある形をしているだけに、紀元前1400年頃アッシリアの粘土に記された歴史ある星座です。日本では錨星(いかりぼし)、山形星などとよばれていました。
カシオペア座はエチオピア国王ケフェウスの王妃カシオペアが、椅子に腰掛けた姿だとされていますが、W字型からその姿を想像するのはちょっと無理があるように思います。アラビア語では、椅子に腰掛けた婦人を意味するザート・アル・クルシーとよばれています。
カシオペア座が作るWの形を逆さにしてみましょう。山の形に見えませんか。日本ではオシオペア座を山の形に見立て、やまがた星とよばれています。また、Wの形は船を停泊させるために使ういかりの形に似ていることから、いかり星とよばれることもあります。
おおぐま座の北斗七星から北極星を探す方法は有名ですが、カシオペアのWからも北極星を探すことができます。Wの字の端の2辺を延長した直線の交点から、Wの字中央の星の方向へ5倍ほど延長すると北極星が見つかります。「探そう・・・目印/惑星/惑星/星雲・星団」の「星空の目印を探そう」の中にある北極星も参考にしてください。
α星からβ星の方へ延長していくと、散開星団のM52があります。双眼鏡でもその星雲状に拡がった姿をとらえることができます。天体望遠鏡で低倍率で見てみますと、小さな星がキラキラと輝く美しい姿が浮かび上がります。カシオペア座は秋の天の川の中にあるだけに、他にも散開星団がたくさんあります。
今から320年ほど前にカシオペア座の方向、地球から約1万光年離れた場所で、超新星爆発が起こりました。残念ながら過去の爆発記録は残っていませんが、超新星残骸では最も若いもののひとつでカシオペア座Aと呼ばれています。右の写真はNASAのスピッツァー望遠鏡とチャンドラ衛星より提供される写真を合成したものです。直径は15光年ほどで、秒速4000キロメートルから5000キロメートルもの速さで広がり続けていると考えられています。
また1572年には、カシオペア座の中で超新星爆発(SN1572)が観測されています。これは天文学者ティコ・ブラーエによって発見され、観測されたためティコの新星とよばれています。彼は14ヶ月間にわたって肉眼でこの星を観測できたそうです。爆発の名残りとしてティコの超新星残骸は、今でもハッブル望遠鏡など、最新の観測機器を使って観測が続けられています。