北極星

天の目印となる北極星

 星座を探すとき、どんなベテランの人でも、まず方角を知らなければなりません。夜空の星座たちは、季節や時間が違えば見える位置や方向が違ってくるので、特定の星座を使って方向を知ることは難しくなります。

 しかし、北極星だけは違います。北極星は地球の自転軸の延長方向にあるため、季節や時間によらず、いつも真北の方角に見えます。ですから北極星を目印にすれば、いつでも方角を知ることができるのです。みなさんも北極星の見つけ方を覚えておくと何かと便利ですよ。

北極星の見つけ方

 北極星の明るさは2等星ですから、多少の光害がある都会でもたやすく見つけることができます。下に3つの方法を書きましたが、北斗七星またはカシオペア座からたどる場合、季節によって星座の位置が変わるため、北極星の見つけ方も多少違ってきますから注意しましょう。見つけ方を示した季節ごとの星図をのせておきましたので参考にしてください。

(その1)緯度から推測する

 北極星は観測地の緯度と同じ高度に見えます。沖縄で25度、鹿児島で30度、大阪や東京で35度、青森で40度くらいを目安にしてください。

(その2)北斗七星からたどる

 ひしゃく形をした北斗七星は小学校の教科書にも登場する有名な星です。この北斗七星が作るひしゃくの部分の先端にある2星を使って、その長さを5倍ほど先の方向へ延長すると北極星が光っています。
 注:北斗七星は星座ではありません。おおぐま座の一部の明るい星7つを指して北斗七星と呼んでいます。

(その3)カシオペア座からたどる

 北斗七星と同様にW字型をしたカシオペア座も有名な星座ですが、カシオペアのWを使っても北極星を探すことができます。Wの字の端の2辺を延長した直線の交点から、Wの字の真中の星の方向へ5倍ほど延長すると北極星が見つかります。


冬の場合
北斗七星またはカシオペア座からたどる

春の場合
カシオペア座は見えにくいので、北斗七星からたどる

夏の場合
北斗七星またはカシオペア座からたどる

秋の場合
北斗七星は見えにくいので、カシオペア座からたどる

日本での呼び名

 日本では北極星はさまざまな名前で呼ばれてきました。代表的なものとして「子の星」、「北の一つ星」、「一つ星」があります。

北極星の本当の姿

(こぐま座の一部)

 北極星も星座の一部で、こぐま座という星座に属しています。ギリシャ神話では先に登場した北斗七星のあるおおぐま座と親子関係にあります。「四季の星座」にあるこぐま座を参照してください。

(2重星)

 北極星を天体望遠鏡でのぞいてみましょう。18.3秒(1秒=3600分の1度)離れたところに9等星の青白い色をした小さな星がくっつていることがわかります。6cmくらいの小望遠鏡では光度差が大きいのでわかりづらいかもしれません。この2重星は偶然同じ方向にあるだけの2重星です。

(連星)

 先の星とは別に北極星は30年周期の分光連星です。残念ながら2星の距離が近すぎるので、天体望遠鏡で見ることはできません。

(変光星)

 北極星は1.87等星から2.13等星の間で明るさが変化する変光星でもあります。周期は3.97日と短いのですが、変光幅が小さいので熟練した人でないとなかなかわからないかもしれません。

(明るい星)

 北極星の明るさは2等星と比較的明るいのですが、その距離は431光年もあります。それでいて2等星ですから大したものです。例えば、太陽を北極星の距離まで遠ざけたとすると10等星にしかなりません。また、仮に太陽からもっとも近い恒星であるリギルケンタウルスの距離(4.4光年)まで北極星を近づけたとすると、北極星は−9等星と半月並みの明るさで輝き、地球の北半球に闇夜はなくなってしまうことでしょう。

(交代する北極星)

 北極星が交代する話を知っていますか。現在北極星が天の北極付近に見えるのは偶然で、北極星は交代しますす。これは歳差と呼ばれる現象によるものですが、興味のある方は以下で解説していますので参照してください。

 ・歳差運動
 ・12000年後の日周運動
 ・キリスト時代のはくちょう座の十字架


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