重星(じゅうせい)

見かけ上、2つの星が接近して見える場合がありますが、これを2重星といいます。特に重力的に影響を及ぼしあっている場合は連星と呼ばれます。通常は明るい方の星を主星といい、暗いほうの星を伴星といいます。

 広い宇宙では2重星は特に珍しいものではありません。星が3つ以上接近している場合もあります。例えば有名なオリオン星雲を照らし出している中心星はオリオン座θ星で、トラペジウムといいますが、この星は小さな天体望遠鏡で見ると4重星に見えます。さらに詳しい観測では6重星であることがわかっています。

2重星の観測

観測時の注意点

 2重星を観測する場合、気流の落ち着いた日を選びましょう。気流が安定しないと、天体望遠鏡でのぞいた時の像がユラユラ揺れて星が分離しないからです。特に接近した2重星や、光度差の大きい2重星は見づらいものです。少しでも良い条件で観測するようにしたいものです。

有名なもの

 有名な2重星におおぐま座ζ星のミザールがあります。おおぐま座というとピンとこないかもしれませんが、北斗七星と言えばおわかりいただけるでしょうか。北斗七星の柄の端から2番目の星がミザール(2等星)ですが、ミザールをよく見てみると、そばに4等星のアルコルという星がひっついていることがわかります。このような星は肉眼でもそれとわかるため肉眼2重星と呼ばれています。このためミザールは昔、兵隊さんの目の検査に使われたそうです。
 実はミザールの方を望遠鏡で見てみますと、これまた2重星であることがわかります。アルコルはたまたま同じ方向にあるため、見かけ上2重星に見えているだけですが、こちらの方は連星です。
 望遠鏡で見る機会があれば、3つの星を見てみましょう。

色の対比

天体望遠鏡で2重星を観測する場合、色の対比が美しいものを見るのは格別です。例えば、はくちょう座β星のアルビレオは最も美しい2重星のひとつです。離角が大きいため小型の天体望遠鏡でも簡単に分離します。金色とエメラルド色の2つの星が寄り添う姿の美しさといえば、ため息がでるほどです。

分離の限界に挑戦

 望遠鏡の性能のテストをするのに、2重星が使われることがあります。つまり、接近した星を分離できれば、その望遠鏡の性能は良いことになります。逆に見えないと、レンズの位置が少しズレたか何かで、どこがおかしいのだろう、と悩むことになります。テスト星は天体望遠鏡の大きさ(口径)によって違ってきます。


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