ハートレー第2彗星が秋の星座を通過 2010年10月前半

 2010年10月前半のハートレー第2彗星は秋の天の川に沿って移動します。明るさも増してきて観測好機の到来です。明るい星や星団と接近するなど、見ものもありますよ。

10月1日から2日−カシオペア座α星シェダルに接近

 夜空に不慣れな方にとって、小さく淡い彗星を広い夜空から探し出すのは容易なことではありません。しかし、近くに馴染みのある星座や明るい星があると話は簡単です。そんな願ってもない好条件が、10月1日から2日にかけて起こります。これを見逃さない手はないでしょう。

 9月下旬から次第にカシオペア座の方向へ移動してきたハートレー第2彗星は、10月1日から2日にかけて、カシオペア座のα星シェダル(2等星)に近づきます。彗星の明るさも6等付近まで増光してきており、肉眼彗星となるのも目前です。しかも、月が夜半過ぎまで昇ってきませんから、絶好の観測日和となるでしょう。

 下の星図は20時頃の夜空です。北東の空を見上げると、すぐ目にとまるのはW字型で有名なカシオペア座です。カシオペア座ならわかるよ、という方も多いのではないでしょうか。ハートレー第2彗星はそのすぐ近くにあります。W字を90度回転させた形を上からたどり、2番目の星を双眼鏡の視野へ入れてください。彗星はこの星から10月1日の場合で1.5度、2日の場合で1.7度ほどしか離れていませんから、双眼鏡の同一視野で観測することができます。α星の少し右側または右下側を探すと、ぼんやりした光の塊が見つかると思います。これが目的のハートレー第2彗星です!
 

10月1日の位置


10月2日の位置

10月8日から9日−二重星団に接近

 秋の天の川を移動中のハートレー第2彗星は、10月8日から9日にかけて、今度はペルセウス座の二重星団へ近づきます。二重星団はその名の通り、二つの星団が隣どおしに並んでいます。空が暗い場所からだと肉眼でも天の川が濃くなったように見えるほど明るく、双眼鏡で観測するとため息が出るくらいに美しい天体です。そんな二重星団にハートレー第2彗星が近づくのですから、ぜひとも天体観測したいところです。

 20時頃北東の空を見上げると、空の中ほどにカシオペア座が見つかります。その少し下あたりに双眼鏡を向けましょう。空が十分暗い場所からだと、天の川が部分的に濃くなって見えるあたりです。すると、あっと驚くほど美しい二重星団が視野に飛び込んできます。その右上側から下側あたりに、ぼんやりしたハートレー第2彗星が見つかります。でも、写真で見るようなドカーッと尾を引いた美しい姿を思い浮かべていると、見過ごしてしまいますよ。ごく小さな雲の切れ端が夜空に浮かんでいるのを想像して探すようにしましょう。

 下の星図ではハートレー第2彗星のすぐ左下、またはすぐ左上に描かれた緑色の丸印が二重星団の位置になりますので参考にしてください。 

10月8日の位置


10月9日の位置

10月13日−ペルセウス座α星ミルファクの近くを通過

 ハートレー第2彗星は10月8日から9日にかけてペルセウス座の端にある二重星団と接近しました。その後はペルセウス座の星たちに近づきながら、さらに移動を続けます。この間、いろいろな星に近づきますが、10月13日にはペルセウス座のα星ミルファクの近くを通過します。下の星図のように20時頃、2等星のミルファクは、カシオペア座からみて下方向からやや右側に見えますので(星図ではαと表示)、肉眼でもすぐに見つけることができます。

 一方の彗星はこの頃5等級まで明るくなっています。空が十分暗い場所からだと、肉眼でも見つけることができるかもしれません。たとえ肉眼で見つけられなくても、街明かりの激しい場所でない限り、双眼鏡を使えば見つけることができるでしょう。ポイントは20時頃にミルファクを双眼鏡の視野へ入れてから、左の方へ少しだけ視野をずらすことです。20時頃だと高度がほぼ同じ高さに見えるので簡単です。

 この日の月齢は5.7で、半月手前の月明かりが少し気になります。しかし、位置的に離れていますので影響は少なくてすみそうです。また、月の光が気になる方は、月が沈んでから観測するのもいいですね。東京での月の入りは21時17分です。
 

10月13日の位置

ハートレー第2彗星の観測を始めよう 2010年9月下旬
ハートレー第2彗星と冬の星座、観測絶好機に 2010年10月下旬
ハートレー第2彗星が地球へ最接近 2010年10月21日
まだまだいけるハートレー第2彗星 2010年11月

   つるちゃんのプラネタリウム トップページへ戻る ハートレー第2彗星へ戻る