１１月７日−冬の大三角に突入１１月に入っても引き続きハートレー第２彗星は天の川に沿って南下します。地球との最接近や近日点通過という大きなイベントも終わり、地球や太陽から次第に遠ざかっていきます。それとともに彗星の動きは小さくなり、明るさの方も次第に暗くなっていきます。とはいえ、まだまだ肉眼彗星であることは健在で、観測好機が続きます。
１１月７日−冬の大三角に突入 ９月にカシオペア座から始まったハートレー第２彗星の星座間移動は、１１月に入るとふたご座からいっかじゅう座へ移ります。あまりなじみのない星座かもしれませんが、冬の大三角の中に位置するちょっとマイナーな星座です。彗星の移動とともに、少し遅い目の時間にならないと観測に適した高度まで上がってこなくなります。
下の星図は１１月７日０時頃の夜空を描いたものです。といっても特にイベントがあるわけではありません。土曜日から日曜日にかけての深夜ということで観測しやすい方が多いことから、この日の見つけ方を紹介することにします。この日は前日が新月であることから、月明かりの心配がありませんので助かります。
前置きはこれくらいにして、東から南東の空を見上げてみましょう。南東の空の中ほどあたりには、有名なオリオン座が斜めに傾きながら昇っています。ここで、オリオン座の三つ星を地平線の方向へ延長しましょう。すると、ひときわ明るくギラギラと輝く星が見つかります。これはおおいぬ座のシリウスという星で、全天で一番明るい恒星です。オリオン座の左端に見える赤い１等星ベテルギウスとシリウスを結んだ直線を一つの辺として、左側に正三角形を描いてみてください。先の辺と反対側の頂点の位置に１等星が光っていますが、これはこいぬ座のプロキオンという星です。そして、これら３つの星を結ぶと冬の大三角が出来上がります。
冬の大三角がわかったところで、最後に見つけた１等星プロキオンからハートレー第２彗星をたどりましょう。彗星はプロキオンから右上方向へ７度強ほど離れた場所にあります。７倍くらいの低い倍率の双眼鏡でも同一視野におさまるかどうかといったぐらい離れていますから、プロキオンの右上方向を慎重に探してください。
この頃の彗星は５等台前半を維持していますから、双眼鏡を使えば十分に見つけられる明るさです。空が暗い山間部などでは肉眼でも確認できるでしょう。また、付近に明るい星雲や星団はありませんから、他の天体と見間違えることはありません。
１１月７日０時の位置 |
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１１月１４日−プロキオンとシリウスの中間 １１月中旬になるとハートレー第２彗星の動きも緩やかになってきます。１１月７日から１週間がたちましたが、位置がそれほど大きく移動しているわけではありません。下の星図をご覧ください。先週と違っているのは、ハートレー第２彗星が冬の大三角の外へ出たことぐらいでしようか。でも明るさの方は落ちてきて、５等台半ばから５等台後半ぐらいと予想されます。理想的な条件が整わないと、肉眼で見つけるのは次第に難しくなってきます。
１１月１４日のハートレー第２彗星の見つけ方ですが、今週も先週使った冬の大三角を使いましょう。三角形の一番下側の辺に注目してください。プロキオンとシリウスの中間点付近に彗星が見えますので、だいたいの見当をつけて、エイッと双眼鏡を振り向けましょう。ポイントは、冬の大三角からやや外側にあることと、２星の中間点よりもややプロキオン寄りにあることです。一発で視野に入らなくても、付近で双眼鏡をグルグル動かすと見つかります。
１１月１４日０時の位置 |
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１１月２１日−さらに南下 先週からさらに１週間がたちました。ハートレー第２彗星は引き続き天の川に沿ってさらに南下しています。地球との距離は０．２３ＡＵで、地球と最接近した頃の倍の距離まで遠ざかりました。彗星の明るさも６等級で、肉眼での観測はそろそろ難しくなってきました。
下の星図は１１月２１日０時頃、南東の夜空です。ハートレー第２彗星は１週間前と比べてそれほど大きく移動しているわけではありませんが、冬の大三角からさらに遠ざかりました。付近に明るい星はなく、唯一いっかくじゅう座のα星が左隣にあるくらいでしょうか。しかし４等星ですから、都会の夜空では全く約に立ちません。そんなわけで、今週もやはりプロキオンとシリウスの２星との位置関係から、およその見当をつけて双眼鏡を振り向けるしかなさそうです。あるいは、おおいぬ座のβ星（２等星）からシリウスへ向けた直線距離をそのまま３倍ほど延長してみるのもよいでしょう。
今後もハートレー第２彗星は暗くなっていきますが、それでも彗星としては明るくて観測しやすい状態が続きます。明るくなった周期彗星をどこまで観測することができるか、こころゆくまで天体観測を続けていただきたいと思います。
１１月２１日０時の位置 |
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