皆既日食を日本で見るために

 日本のトカラ列島で起こる皆既日食を見たい! そう思うのはあたりまえですが、今回は気軽にというわけにはいかない面もあります。ここではどうすれば日本で皆既日食を見ることができるのかをお教えします。

トカラ列島

 実際に皆既日食を見るためには当然現地へ行くしかないのですが、トカラ列島の場合、これが結構大きな問題となります。それというのも、トカラ列島へのアクセスは週2便運行される定期船「フェリーとしま」しか交通手段がありません。しかも、もともとトカラ列島全体の人口は650名ほどで、多くの観測者を受け入れるのは到底不可能です。そのため、宿泊施設があるとかないとか以前の問題として、水、食料、電気、トイレといったライフラインが確保できるかすら危ぶまれるような状態です。
 
 そんなこともあって、トカラ列島については近畿日本ツーリスト以外の旅行会社がツアーを組むことは許されていないのが現状です。近畿日本ツーリストのツアーは3月末時点で2次募集まで終了しており、3次募集が行われているところですが、先のような理由から相当な受益者負担が課せられるようで、旅費も高額なものとなっています。

屋久島

 トカラ列島以外となれば、まず思いつくのは島全体が皆既帯に入る屋久島でしょう。受け入れ人数は4500名で、この人数を超えない範囲で島として対応するようです。屋久島では1月末に「屋久島皆既日食予約センター」が開設されましたが、残念ながら2月末に受付は終了しています。その後の対応はホームページでお知らせされるそうです。
 
 屋久島では島全体が皆既帯に入るといっても島の北部は北限線に近く、皆既継続時間は短く1分台しかありません。しかし、南部の方へ行けば3分50秒台ということで、4分に迫る皆既日食を楽しむことができます。さらに、屋久島といえば雨がよく降るイメージがありますが、晴天率の面からも南部の方がおすすめです。飛行場やフェリー乗り場は島の北側にありますから、南部へ行くには移動手段が必要になります。しかし、今となっては現地でレンタカーを調達するのは非常に困難でしょう。

種子島

 屋久島がだめなら隣の種子島はどうでしょうか? 種子島では宿泊施設2400名、テント1000名の合計3400名程度を受け入れる予定です。受け入れ窓口となるのは種子屋久ツーリストで、島への足と宿泊をセットにしたツアーを販売する形となります。
 
 種子島は島の南端部だけが皆既帯に入ります。残念ながら飛行場やフェリー乗り場付近は皆既帯に入りませんから、到着後に島の南部まで移動する必要があります。しかしながら、他の島と同様に今から独自にレンタカーなどを調達するのは難しいでしょう。
 
 3月10日から種子屋久ツーリストの募集が始まりましたが、4月上旬現在では一次募集は終了しました。

奄美大島

 奄美大島では島の中部を南の限界線が通っています。名瀬付近でもどうにか皆既日食が見れなくもありませんが、北のアヤマル岬まで行けば3分44秒の継続時間となるだけに、できるだけ島の北側へ移動したいところです。
 
 普段から観光ツアーなども設定される奄美大島ですから、トカラ列島と比べて行きやすいように思われるかもしれませんが、それでも6800人ほどの受け入れ体制しかありません。奄美大島へのアクセスは船と飛行機を合わせても1日で2300人程度とみられますから、これだけみても現地へ行くだけで大変な状態であることがうかがえます。実際、宿やレンタカーは数年前から予約でいっぱいだそうで、今から自力で渡島するのは難しいでしょう。
 
 近畿日本ツーリストと奄美エーストラベルが共同でツアーを企画し、奄美市としてはこれに委ねているようです。4月6日から募集開始しています。

船からの観測

 今までの記事を読んでいただいておわかりのように、日本の陸地で皆既日食を観測するのはかなり大変です。それならば海上では? ということで、船上から観測するツアーも登場しています。普通の客船から豪華客船まで、何種類かあるようです。どうしても見たいという方は一考されてみてはいかがでしょうか。


関連リンク

皆既日食の継続時間地図
皆既日食が見られる地点の日食(日本)
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