かに座

南の空で高度70度付近に南中する日時のめやす

2月1日0時、3月1日22時、4月1日20時

かに座の様子(2月・東の空)

かに座の見え方

かに座の見え方

かに座付近の星図

かに座

春の星座のトップバッター

 かに座は冬の星座であるふたご座のすぐ隣にあります。そんなこともあって早春の夜、春の星座としては真っ先に見え始める星座です。

 かに座の姿は文字どおり蟹(かに)の姿に描かれています。しかし、中にはザリガニのような姿に描かれていることがあります。また、古代エジプトではスカラベと呼ばれる大きな昆虫の姿とされていたり、チベットでは大きなカエルだと考えられました。

 かに座は特に明るい星があるわけでもなく、とらえどころのない寂しい星座です。最も明るい星でも3.5等星といいますから、都会の夜空からだと、「お化けがに」の姿を思い描くことはおろか、かに座の星を一つも見つけられないかもしれません。黄道十二星座のひとつに数えられるわりにはさえない星座といえます。

お化けガニ

 かに座の蟹は、ギリシャ神話でアミモーネの沼に棲む大きな「お化けがに」として登場します。ヘルクレスがヒドラ(うみへび座)と戦う最中、ヘルクレスを憎む女神ヘラによって放たれました。しかし、ヘルクレスによって一瞬のうちに踏み潰されてしまいました。これを記念してヘラによって蟹は天に上げられ、星座になったのだそうです。

プレセペ星団(M44)プレセペ星団(M44)

 いまひとつさえないかに座ですが、田舎の暗い夜空のもとで、星座の中央付近を見てみましょう。ちょうどふたご座カストルポルックスししの大がまの中間あたりです。何かモヤモヤした小さな雲のようなものが見えますが、これはプレセペ星団(M44)という大きな散開星団です。

 肉眼ではどんなにがんばってもボーッと光る光の塊にしか見えません。そこで古代ギリシャでは、人が生まれた時に魂が天から舞い降りる出口だと考えられていました。また古代中国では「積尺気(ししき)」と言われていました。これは、死体から現れる妖気だと考えらたことによるもので、かに座自体も「鬼宿」という星座名だったのです。いずれにしても夜空にボーッと光の塊が浮かぶさまは、古代の人々にとって相当不気味な存在であったことがうかがえます。

 19世紀前半イギリスでは蜜蜂の巣に見立ててビー・ハイブと呼んでいました。プレセペとは蜂の巣という意味です。

 そんなプレセペ星団が小さな星の集まりであることを発見したのはガリレオです。ガリレオは手製の小型望遠鏡を使って、30個ばかりの星の集まりであることを発見しました。私たちも双眼鏡でのぞいてみると、多数の星の集まりだとわかり、ハッと息をのむほどの美しさです。さらに天体望遠鏡で観測すると100個あまりの星が見えて、それはもう感動ものです。特に中央付近に見えるオレンジ色の星が美しさを際立たせているように思います。

 プレセペ星団は天の黄道近くに位置するため、ときおり惑星が近づいて話題となります。当サイトでは天体観測ガイドのコーナーで随時取り上げますので、注意してご覧いただきたいと思います。

M67

 かに座にはもう一つM67という大きな散開星団があります。α星のすぐ西にありますから探しやすいでしょう。天体望遠鏡を使うと視野全体に80個ほどの星が見えます。比較的粒がそろっているのでとても美しい眺めです。