3月1日0時、4月1日22時、5月1日20時
うみへび座の見え方 |
うみへび座(西側)付近の星図 |
うみへび座(中央)付近の星図 |
うみへび座(東側)付近の星図 |
ギリシャ神話に登場するうみへび座は海蛇ではなく、恐ろしいヒドラです。なにせ9つの頭を持ち、首を切り落とされるとそこから2つの首が生えてくるというとてもやっかいな化け物でしたが、ヘルクレスによって退治されてしまいました。ヘルクレスは首を切り落とすと松明(たいまつ)でジュッと焼いて、新しい首が生えてこないようにしました。そして、大きな穴を掘って生き埋めにし、その上に大きな石を乗せて退治できたのだそうです。
うみへび座は全天一の大きな星座です。なにしろ、東の空から頭が昇り始めてから、しっぽの先が昇りきるまでに7時間もかかってしまうのですから当然でしょう。そんなわけで、うみへび座の全体を見るためには、日付と時刻を選ばなければなりません。このページ上部に書いた「南中する日時のめやす」を参考にして一度ご覧になり、うみへび座の大きさを実感していただければと思います。
うみへび座は紀元前3500年頃のシュメール時代に作られた、古くからある星座なのだそうです。また、トレミーの48星座です。
うみへびの心臓に位置する2等星のα星はアルファード(またはアルファルド)です。その意味は「孤独なもの」ですが、確かに付近に明るい星はなく、うみへび座のひとつ星として輝いて見えます。
μ星の少し南には木星状星雲と呼ばれる惑星状星雲のNGC3242があります。明るさは9.4等で、天体望遠鏡で見ると円盤像に見えます。その見え方が木星に似ているため、木星状星雲と呼ばれています。小さいので倍率を高くして見るようにしましょう。
次ははM83です。M83はうみへび座のしっぽ付近にあります。明るさは10等級と暗い上に、南中高度が20度くらいしかありませんので、小望遠鏡ではちょっと苦しいかもしれません。しかし、空が暗くて透明度の良いときには結構よく見えて、いわれてみれば棒渦巻き型銀河なのかなあという気がします。
なお、M83は非常に活動的な銀河で、大質量星が大量に生まれるスターバースト現象が起きています。
うみへび座のR星は3.5等から11等まで明るさを変える変光星です。おもしろいのは、R星の変光周期が次第に短くなっていることです。18世紀はじめの変光周期は500日ほどありましたが、現在は385日ほどしかありません。これはR星が、星の一生の終わりが近づいており、星の表面から大量のガスが噴出しているためではないかと考えられています。