火星(かせい)

地球のすぐ外側をまわる火星は燃えるように赤い星です。じっと見ていると不気味な感じがしないでもありません。西洋の名前もマース、軍人です。最も明るいときにはマイナス3等星近くになり、ひと目でそれとわかります。

火星には非常に薄いのですが大気があります。また、火星を天体望遠鏡で観測すると北極や南極付近に白い極冠が見え、季節とともに形や大きさが変わります。極冠は氷でできており、冬になると大きくなり、夏になると小さくなりみえなくなってしまいます。また自転周期も24時間37分と地球の場合と似通っています。
 このように火星は地球に最もよく似た環境を持つ惑星として注目され、火星人の存在が真剣に議論された時期もありました。しかし、現在では少なくとも高等な火星人はいないことがはっきりしています。そして、小さな微生物の火星人の存在も危ぶまれていますが、完全に否定されたわけではありません。

火星大接近時の太陽系火星の模様は細かく淡いので少しでも良い条件で観測しいたいものです。そうするとやはり地球に接近して見かけの大きさが大きくなった頃に見るのが一番です。ところで地球の公転軌道が円に近い軌道であるのに対し、火星の軌道はひしゃげた楕円の軌道を回っています。地球と火星は約2年2カ月ごとに接近しますが、公転軌道上の火星の位置によって距離が大きく異なります。最も遠い場合で約1億キロ、最も近い場合で約5千6百万キロ超ですから、火星の見え方も大きく違ってきます。接近の距離に応じて小接近、中接近、大接近といった言い方をします。

 右図は2003年の世紀の大接近時の太陽系の様子です。過去5万7千年ほどの間にこれほど接近した例はないそうです。

火星を見つけるためのポイント

赤く光る星
 ・火星のトレードマークは赤いその色です。
 ・明るさは火星との距離によって大きく違ってきます。
 ・接近している頃でマイナス1等星からマイナス3等星くらいです。
時期を選ぶ
 ・火星は2年2カ月ごとに接近します。接近の時期(衝)にあわせて探してみましょう。
 

火星観測のポイント

天体望遠鏡が必要
 ・火星は遠いところにあり表面模様は小さくて淡いものです。ですから詳しく観測するためには、高い倍率を出すことができる天体望遠鏡が必要です。
高い倍率で
 ・火星の模様は細かく淡いので、条件が許す限り高い倍率で見るようにしましょう。
見どころ
 ・極地方には氷でできた極冠があります。赤い火星の中で白く輝くのは印象的です。
 ・最も濃い模様は大シュルティスです。
 ・観測する時間帯を変えることにより火星の自転による模様の変化がわかります。
 ・季節によっても模様が変化します。
 ・砂煙と考えられる黄雲がみられる場合があります。ひどい時には火星全体を覆います。
注意点
 ・火星は模様がよく見える側とあまり見えない側があります。
天体望遠鏡で自分も火星を天体観測してみたいという方は、天体観測入門の中にある天体望遠鏡の選び方も合わせてご覧ください。



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