レナード彗星(C/2021 A1 LEONARD)

 レナード彗星は2021年の初めにレモン山天文台のレナード(Leonard)さんによって発見された新彗星です。2021年12月12日に地球へ0.23AUまで接近します。予報ではこの頃に4等台になり、うまくすれば3等台まで明るくなるかもしれないと期待されています。
 
 地球接近までは夜明け前に見え、その後は夕方に見えます。地球接近の前後は尾を伸ばしたレナード彗星を観測できるでしょう。しかし、年が変わる頃には南下して、日本からは観測しづらくなってしまいます。

レナード彗星の位置

 レナード彗星はいつも同じ位置にあるわけではなく、常に星座を移動しています。
 
 11月初め頃の位置は、おおぐま座にあります。12月に入ると動きを速めながら南東(星図では左下)へ進みます。地球へ近づく頃は短期間に大きく位置が変わります。これは地球へ近づく彗星の特徴です。地球へ最も近づく頃は、へびつかい座にあります。その後も南東へ移動しながらみなみのうお座に達し、動きが緩やかになります。
 
 別ページのレナード彗星の移動経路と星図では、星図とともに詳しい位置を紹介しています。

位置変化(3日間隔)

レナード彗星を見つけよう!

 難しい話は抜きにして、レナード彗星を見つけたいですね!
 そのためには日の入り後よりも日の出前がオススメです。といっても、朝も夕方も同時に見えるわけではありません。12月12日頃までは夜明け前、それ以降は日の入り後に観測することになります。実際に見える場所を別ページで紹介しましたので、ぜひご覧ください!
 
日の出前に見つけよう ※12月13日頃まで
 
日の入り後に見つけよう ※12月11日頃から

見つけるコツ

 うまく見つけるためにはコツがあります。見つけるコツのページで解説しました。参考にしてください。

日の出から1時間前に見える場所

 下の図は東京で日の出からちょうど1時間前に、見える場所を示したものです。夜明け前のレナード彗星は、基本的に真東に見えます。
 
 11月下旬から12月の最初は夜明け前の東天で動きが小さく、高度が50度を超えて見やすい位置にあります。しかし、12月上旬も後半になると、彗星は加速しながら一気に高度を下げます。地球と最接近する12月12日は、日の出から1時間前だと高度は7.9度しかありません。

日の出1時間前に見える場所(3日間隔)

日の出前のオススメ日 −12月10日

 見やすくてオススメな日を紹介しましょう。日の出前は12月10日の5時ごろを挙げたいと思います。この日はレナード彗星が4.6等まで明るくなっていますし、高度もそこそこあります。この8分後に薄明が始まりますので、暗夜で見られるギリギリの時間帯です。
 探す時はうしかい座の0等星アークトゥルスや、かんむり座の2等星アルフェッカからたどりましょう。彗星本体から左上へ伸びた尾にも注目してください。

12月10日5時 東の空

日の入りから45分後に見える場所

 下の図は東京で日の入り後にレナード彗星が見える位置を示したものです。先に出てきた図は日の出から1時間前でしたが、こちらは日の入りから45分後です。
 
 地球に最接近する12月12日頃から西の低空に見え始めます。その後は南西(図では左)へ移動しながら、ジワジワ高度が上がります。日の入り時点(45分後ではない)で高度が最も高くなるのは、12月19日頃で16.7度です。

日の入り45分後に見える場所

日の入り後のオススメ日 −12月18日

 夕方に見る一番のオススメ日は12月18日です。この日は金星に4.9度まで近づいています。金星は非常に明るいですから良い目印になります。しかも、ちょっぴりですが彗星の高度が上がっており、薄明が和らいだ時間帯に見ることができます。金星の左下を双眼鏡で探すと、4.6等のレナード彗星を見つけられるでしょう。左上へ伸びた短い尾にも注目です。
 
※西の地域ほど日の入りが遅くなります。例えば福岡では東京よりも43分遅くなりますので、時間をずらしてご覧になってください。

12月18日17時30分 南西の空

彗星情報

明るさ

 明るさを3日間隔で表にまとめました。11月下旬は8等級から7等級ですが、地球へ近づくにつれてドンドン明るくなります。6等に達して肉眼彗星となるのは12月4日です。
 
 その後も順調に明るさが増し、地球最接近の12月12日は4.2等に達します。別の計算ではこれよりも1等ほど明るい予報もあります。もし上振れすると、かなり見やすい彗星になるでしょう。
 
 残念ながらこの後は、暗くなる一方です。年が明けた1月2日に6等を切って、肉眼彗星ではなくなってしまいます。
日付 明るさ(等級)
11月24日
8.0
11月27日
7.5
11月30日
6.9
12月3日
6.2
12月6日
5.5
12月9日
4.7
12月12日
4.2
12月15日
4.3
12月18日
4.6
12月21日
5.0
12月24日
5.3
12月27日
5.6
12月30日
5.9
1月2日
6.1
1月5日
6.4
1月8日
6.7
1月11日
7.0
1月14日
7.3
1月17日
7.6
1月20日
7.9

光度曲線グラフ

距離

 太陽に近づくほど彗星の活動が活発になって明るくなりますから、太陽との距離(日心距離)は重要です。下の日心距離のグラフをご覧ください。1月3日に太陽へ最も近づき、近日点通過します。太陽との距離は0.62AUですから、太陽にすごく近づくわけではありません。その分、急激な増光は望めませんが、条件良く観測できる期間が長い目です。
 
 地球との距離も重要です。当然ですが、地球へ近づくほど明るく見えます。レナード彗星の場合は12月12日に地球へ0.23AUまで近づいて、良い条件です。
 
 ※1AUは地球と太陽間の距離に相当する。およそ1.5億Km。

日心距離(太陽との距離)のグラフ

地心距離(地球との距離)のグラフ

軌道図

 下の軌道図は地球へ最も接近する日の太陽系です。レナード彗星の軌道は大きく傾いています。そして、レナード彗星が地球軌道面を北から南へ横切る手前にあります。この後は、12月17日に地球軌道面を横切って南側へ移動します。

軌道図

金星から見たレナード彗星

 少し変わった話をしましょう。地球最接近となる12月12日から6日後、レナード彗星は金星へ0.029AUまで大接近します。下の星図は金星の南半球にある、とある地点から彗星を眺めたようすです。ナント、南の空で-1等という明るさで、長い尾をたなびかせています。素晴らしい光景ですね!
 
 しかし残念ながら、金星はとても厚い雲に覆われています。地表から夜空を眺めるのは無理でしょう・・・。

このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を使用しています。
Windowsパソコン用の天文フリーソフト「つるちゃんのプラネタリウム フリー版」を使うと、このペーシのようなシミュレーション画像を表示することができます。つるプラへのレナード彗星設定方法からどうぞ。
※計算精度の関係で位置が多少ズレることがあります。ご了承ください。