春の大三角
春の大三角の見つけ方
真冬の寒さは和らいだとはいえ、夜風はまだ冷たい春先の夜に東の空を見てみましょう。下の星図は4月1日、21時の場合です。しし座のしっぽのデネボラと、純白色が美しいおとめ座のスピカ、それにうしかい座の明るいアークトゥルスの3個の明るい星を結ぶと、大きな三角形ができます。これを春の大三角です。
春の大三角へさらに、りょうけん座のコル・カロリーを加えると、春のダイヤモンドとなります。なお、アークトゥルスとスピカは春の大曲線からたどることができます。
デネボラ
春の大三角を作る3星のうち、デネボラは他の2星よりも1ランク暗い2等星に分類されています。位置はしし座のしっぽの部分にあたります。そもそもデネボラとはアラビア語でししの尾という意味だそうです。
スピカ
スピカとはラテン語で針とか穂先を意味します。おとめ座の女神デーメーテルが持った麦の穂先に位置しています。明るさは平均的な1等星です。スピカの色は純白または青白く見えて、女性的な輝きを放っています。しかし実態は表面温度が2万度以上もある高温な星で、非常に接近したところを4日周期というすごい速さで公転する連星でもあります。しかも赤道付近では秒速200kmという猛烈な速さで自転しており、このため本体の形はひしゃげた楕円形をしているそうです。おしとやかなスピカの輝きからその猛烈ぶりな実態は、ちょっと想像できません。見かけによらないものですね。
アークトゥルス
うしかい座のアークトゥルスはギリシャ語で熊の番人という意味です。おおぐま座の後ろをついてまわっているように見えることからこう呼ばれているのでしょう。アークトゥルスの明るさは0等星ですから、1等星よりも1ランク明るい星に分類されます。ですからアークトゥルスは、他の星よりもひときわ明るく輝いて見えます。星の色にも注目してください。スピカは女性的な純白または青白い色をしているのに対して、アークトゥルスは男性的なオレンジ色をしています。そんなわけで2つの星を「春の夫婦星」と呼んでいます。
アークトゥルスは大きな固有運動を持つ星としても知られています。1年間の間に2.3秒(1秒=3600分の1度)も移動するのです。2.3秒といえばごくわずかなように思いますが、長い年月が経つと話は違ってきます。5万年も経つと、なんとアークトゥルスはスピカの隣で輝くようになります。ですから5万年後には両星は名実ともに(?)夫婦となるのです。この様子は「つるぷらが描く珍しい天文現象」の中にある50000年後の星座を参照してください。
春の星座の目印
春の星座では、春の大三角の他に春の大曲線、春のダイヤモンドが良い目印になります。
他の大三角
全天では春の大三角の他に、冬の大三角と夏の大三角があります。