土星の見つけ方

 ここでは、土星を見つけるための方法や、さらには天体望遠鏡で土星を見る場合のポイントなどを解説しますので、みなさんもぜひ土星を探してみてください。

土星のマメ知識

 まず土星を探す前に、土星とはどんな惑星なのでしょうか。土星に関するマメ知識ということで、ごく簡単にですが復習をしておきましょう。

太陽系の第6惑星

 太陽系には9つの惑星があります。太陽に近い方から、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の順ですね。土星は内側から数えて6番目の惑星です。

ガリレオの見た土星

 人類で初めて土星へ天体望遠鏡を向けたのは、ガリレオ・ガリレイです。ガリレオの観測結果によると、「土星には耳がある」とのことでした。当時の性能の低い天体望遠鏡では、土星の環が耳のように見えたのも、いたしかたがないことでしょう。

ガスでできた惑星

 土星の大部分は水素やヘリウムなどのガスでできた木星型惑星です。そういう意味では、土星は岩石でできた地球よりも、ガスでできた太陽に似ています。土星の比重は0.7ほどしかありません。大きな水槽に土星を入れたとしたら、水の上にプカプカと浮かんでしまいます。

土星の環

 土星といえば何といってもその環でしょう。1675年に環を発見したのはオランダのホイヘンスです。ガリレオが「土星には耳がある」と言ってから45年後のことでした。

 環は小さな岩石や氷のかけらからできていると言われています。今ではボイジャー探査機などによって、環は何重もの細い環からできていることがわかっています。「天文用語ミニ解説」の中にある土星の環を参照してください。

土星の詳しいデータ

 土星に関する詳細データは、「天文用語ミニ解説」の中にある次の項目を参照してください。

    惑星の諸元表

    環の諸元表

    衛星の諸元表


土星は肉眼で見える惑星のひとつ

 地球から見た惑星のうち、水星、金星、火星、木星、土星の5つの惑星は明るく輝くので、その存在は古くから知られていました。

 地球から見た土星は0等星くらいの明るさで見えます。0等星といえば1等星よりもさらにワンランク(約2.5倍)明るいので、明るい都会の夜空でも簡単に見つけることができるというわけです。

土星の見える位置

 先に、土星は0等星くらいの明るさで見える明るい惑星で、簡単に見つけられると書きましたが、トンチンカンな方向を見ていては、簡単に見えるものも見えません。空を見上げる前に、次のことがらを確認しておきましょう。

星座で言えば何座?

 土星は日々少しずつ位置を変えているのですが、地球との距離が遠いために、1日や2日でそんなに大きく移動するわけではありません。ですから、「土星は何々座の方向に見える」と1度覚えておけば、半年から1年くらいの間はその知識を使うことができます。土星の明るさは明るいとはいえ、やはりどの星座の方向に見えるかぐらいは事前に調べておきたいところです。

日付や時刻による位置変化

 先にも少しふれましたが、地球も土星も太陽の周りを公転しているために、地球から見た土星の位置は日々少しずつ変化しています。しかし、両者の距離は離れているため、その動きはあまり大きなものではありません。

 これに対して、時刻による位置変化は大きなもので、1時間の間に15度くらいも移動します。これはもちろん地球の自転によるもので、太陽が東から昇って西へ沈むのと同じ理屈です。

 ですから、日付と時刻が決まらないことには、土星の見える位置も決まりません。逆に、日付と時刻(他には観測地点もですが)が決まると、土星はどちらの方角に見えてその高度は何度だと、ピタリと言い表すことができます。

「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「万能プラネタリウム」で日付と時刻と観測地を指定し、土星の見える位置を確認してみましょう。

土星を探してみよう

 それでは、実際に星空を見上げる際の注意点などをあげておきましょう。

観測場所探し

 土星は明るい天体なので、多少街明かりの激しい場所で見たとしても、見ることはできると思います。しかし、せっかく夜空を見るのですから、少しでも綺麗な星空を見たいものですね。それにはやはり、空が暗く光害の少ない場所から眺めるのが一番です。できれは田舎の方まで移動できればよいのですが、必ずしもそうはいきません。そんな時は近くに水銀灯などの人工の光が少ない場所を探しましょう。

方角の確認

 観測場所は決まりましたか。次に観測場所から見た方角を確認しておきましょう。アホらしいと思われるかもしれませんが、方角の確認は非常に大事なことです。東の方角は、太陽が昇ってくる方角ということからも、およその見当はつきます。(季節によって真東からズレがあります。)

満月の頃は避ける

 さらに注意点があります。それは月明かりです。できれば大きな明るい月が見えない日を選びましょう。もちろん、土星は明るいので、月明かりがあっても見えないことはありませんが、月明かりのない場合と比べると、やはり見にくくなるのも事実です。初めて見る場合には、暗夜で見るにこしたことはありません。

「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「月齢カレンダー」で、月の満ち欠けや、月の出没時刻などを確認しておきましょう。

いざ、観測!

 あとは晴れた夜を待つだけです。空が晴れたら空を見上げてみましょう。

 目指す方向に、1等星もしくはそれ以上に明るく、鈍く黄色っぽく光っている星が見つかれば、それが土星です。一般的に惑星は、普通の恒星と比べて、チカチカと瞬くことが少ないのも特徴ですので覚えておいてください。これは惑星に面積があるためで、光が地表に届くまでに大気の乱れによる影響を受けにくいためです。


天体望遠鏡で見てみよう

 さあ、土星は見つかりましたか。めでたく見つけられた方は、今度は天体望遠鏡で土星をのぞいてみたいものです。

どんな望遠鏡が良い?

 土星の環を天体望遠鏡で見てみたいと思う人も多いことでしょう。でも、「土星の環が見えるような大きな望遠鏡なんてとても買えない」、と思っている人も多いかと思います。でも実際にはそんなことはありません。土星の環の存在を確認するだけなら、一般に市販されているような小型の天体望遠鏡でも十分です。「望遠鏡なんて久しく使ったことがないよ」という方や、「よし、これを機会に天体望遠鏡を買ってみよう!」と思われる方は、天体観測入門のページを参考にしてください。

倍率についてひとこと

 天体望遠鏡に関して、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。それは、天体望遠鏡の性能は口径の大きさで決まるということです。口径の大きなものほど高い倍率で見ることができるのです。よく宣伝文句として「倍率360倍!」などと謳われていますが、惑わされないようにしてください。360倍の倍率を出せる点ではウソではありませんが、まともに見える保障はありません。

 観望会などで天体望遠鏡を見かけた時、「この望遠鏡は何倍?」と聞いてはいけません。天体望遠鏡の性能は、すべて口径の大きさで決まるからです。ですから、「この望遠鏡は何センチ?」と聞くのが正解です。そうすれば、「むむっ、こいつ多少の知識はありそうだ。もしかしてマニアかも・・・」と警戒されるかもしれませんよ(笑)。

望遠鏡がない方は観望会へGO!

 天体望遠鏡を持っていないからといって、あきらめるのはまだ早い。近くの天文台や同好会などで、観望会などがあるはずです。観望会では、見ものとして土星は外せないターゲットなので、観望会があれば土星を見せてもらえるものと思ってまず間違いありません。土星を望遠鏡に導入する苦労もなく、大きくて高価な望遠鏡で土星を見ることができるのですから、いうことはありませんよ。
 トップページからリンク集をたどり、お近くの天文関係施設のホームページをチェックしてみてください。

土星を見るときのポイント
まずはピント合わせ

 ピントが合っていないと土星や星の像がぼやけてしまいます。像がクリアでハッキリとわかるように、ピントをしっかり合わせてください。方法がわからなければ、係りの人に聞いてみると教えてくれます。早く見たい気持ちはわかりますが・・・。

土星の環
土星の環
 環が土星本体を取り巻くようにリング状に見えます。よく見ると、環は2重か3重に見えるのですが、気流の状態が悪いとわかりにくいかもしれません。一番明るい環がB環、外側の環がA環、内側の暗い環がC環と呼ばれています。A環とB環の隙間はカッシーニの間隙と呼ばれていて、比較的簡単に確認できます。

本体の縞模様

 土星というと美しい環の方へ視線が向かいがちですが、土星本体の方にも注目してください。木星ほどではありませんが、薄い縞模様が何本か見えることと思います。また、完全な円ではなく、少しひしゃげた楕円形をしている点にも注目してみてください。これは土星の自転による遠心力のために、赤道部分が膨らんでいることによるものです。

衛星タイタン

 土星にはいくつもの衛星がありますが、一番大きいものはタイタン(またはティタン)です。直径は月の1.5倍弱もある大きな衛星です。地球からは8等星くらいの明るさで見えますので、天体望遠鏡で見るには十分な明るさです。土星のそばでプチッと小さく光っている星がタイタンですので、見逃さないようにしましょう。 


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