宵の南天は寂しい秋の星座  2001年10月

南天の寂しい秋の星座

 10月ともなると秋も深まり、夜の長さも長くなります。秋の夜長で星空を観測できる時間が長くなるのはうれしいのですが、その分疲れます。また、この頃になると夜間は気温が下がって夜露がつきやすくなります。夜露はレンズなどにもつくので天体観測の妨げになりますし、濡れたまま放置すると観測機材を傷めることにもなりますので注意しましょう。

 そんな秋まっただ中の宵の空を見てみましょう。南天には秋の星座が勢ぞろいしています。しかし明るい星は少なく、夏の星座がにぎやかだっただけにどこか寂しげに感じます。

やぎ座の逆三角形

 まず南南西の空を見てみましょう。高度30度くらいのところにやぎ座の星々が逆三角形の形に並んでいるのが目にとまります。暗い星が多いので、街明かりの明るい場所では見つけにくいかもしれません。しかし、空が暗い場所では星の並びがはっきりわかり、秋の星座の中では結構見つけやすい星座です。やぎ座の南西方向には火星も赤く光っています。

ペガススの四辺形

 南東から南の空高くにはペガススの四辺形が見えています。秋の星座はさびしい星座が多いのですが、その中にあって、ペガススの四辺形だけは目立っています。

アンドロメダ座

 ペガススの四辺形の東側(左側)から2等星が3つ連なっていますがこの付近がアンドロメダ座です。アンドロメダ座には有名なアンドロメダ大星雲が肉眼でもボーッと見えています。

みずがめ座

 秋の星座は暗い星座が多いのですが、その代表がこのみずがめ座でしょう。暗い星ばかりでイメージが全然つかめません。その中にあってYの字に並んだ三ツ矢と呼ばれる部分だけが目立ちますので、これを頼りに暗い星をていねいにたどってみましょう。しかし、つるちゃんには美少年ガニメデスが水瓶をたずさえている姿などとても想像できません。みなさんはいかがでしょうか。

みなみのうお座

 秋の星座の1等星はみなみのうお座フォーマルハウトひとつだけしかありません。このためフォーマルハウトは秋のひとつ星と呼ばれています。フォーマルハウト以外は付近に明るい星は少なく、みなみのうお座も形がよくつかめません。

うお座

 ペガススの四辺形の南から南東にかけて、小さな星たちがウネウネとつながっていますが、これがうお座です。これまた暗い星ばかりですので、少し空が明るいだけでも星たちを探すのに骨が折れます。2匹の魚がひもでつながれた姿を思い浮かべるのは難しいかもしれません。

くじら座

 南東の空から昇ってきている星座はくじら座です。くじら座はアンドロメダ姫を襲った秋の星座の悪役スターです。くじら座もあまり形がはっきりしませんが、秋の星座の中にあってはましな方です。いちばん右はしの2等星、デネブ・カイトスが比較的目だっていますので、これを頼りにお化けくじらの姿を想像してみましょう。