金星の満ち欠けを観測しよう 2009年1月〜3月

2008.12.13 新規

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金星の満ち欠けの天体観測を楽しもう

 金星は地球よりもひとつ内側の軌道を回るお隣の惑星です。金星は満ち欠けをする惑星として知られていますが、満ち欠けを楽しく観測するためには時期を選ばなくてはなりません。それというのも、地球から離れている頃は小さくしか見えない上に、ほとんど円形をしていて形にあまり変化が見られません。ところが金星が地球へ近づく頃になると、大きさが大きくなり、形も半月形や三日月形に見えて、金星の満ち欠けを楽しむことができます。

 金星の場合、地球へ接近してから次に地球へ接近するまでの会合周期は584日と非常に長いのが特徴です。ですから、金星を楽しく天体観測するチャンスを見逃してしまうと、1年半以上はお預けとなってしまいます。

 そんな金星ですが、2008年の年末から2009年3月にかけて、金星の満ち欠けを観測する絶好の機会がおとずれます。これを機会に、あなたも天体望遠鏡を使って金星を天体観測してみませんか?

金星は明るい天体 −宵の明星

 今、夕空で最初に見つけることのできる一番星は金星です。金星は宵の明星と呼ばれるだけのことはあってその明るさは非常に明るく、最も明るくなる頃には−4.6等星に達します。−4.6等星といってもピンとこないかもしれませんが、仮に金星を1等星だとすると、普通の1等星は肉眼では見ることのできない6.6等星にしかなりません。金星は大変な明るさなのですね。事実、金星は宵の明星の名の通り、夕空でひときわ目だって輝いています。時にはUFOと間違えられたりすることもあるくらいですが、皆さんはUFOだなんて言わないでくださいね。

夕方見られるのは3月まで

 下の絵は2008年後半から2009年3月まで、日の入り時刻における金星の位置変化です。金星は2008年後半から少しずつジワジワと高度を上げてきました。そして、2009年1月15日に太陽から最も離れる東方最大離角となります。高度が最も高くなるのは1月下旬から2月上旬にかけてですが、その後は急速に高度が下がってきます。そして3月25日に内合となり、太陽と同じ方向へやってくるので観測ができなくなってしまいます。そして、以降は明け方の東天へまわります。

日の入り時刻における金星の位置変化
日の入り時点で高度が最も高くなるのは、1月下旬から2月上旬頃

星座間での金星の動き

 惑星である金星は、星座の間をどんどんと移動していきます。下の絵のように2008年の年末頃にはやぎ座の東端にいますが、その後はみずがめ座うお座と移動します。そして、内合となる3月25日前後には、宙返りをするような動きを見せます。これは、金星が地球へ近づいた時に地球を追い越すためですが、このような動きは惑星ではよく見られます。

金星の経路
内合となる3月25日をはさんで、金星はうお座付近で宙返りをするような動きをする

公転軌道上での金星と地球の動き

 金星は地球よりも内側の公転軌道を回る内惑星ですから、太陽から一定の角度以上離れることはありません。最も太陽から離れるのは2009年1月15日で、この日は太陽から東側へ最も離れて東方最大離角となります。以降の金星は太陽へ近づく動きを少しずつ早めていきます。

 下の4枚の絵は、2008年の年末から2009年3月末まで、金星と地球の位置関係を示したものです。最初の絵では、2008年の年末頃、金星は地球から少し離れた位置にいます。また、地球−金星−太陽が作る角度は90度を超えています。

 これが、1月28日、2月28日と日がたつにつれて、金星は地球へ次第に近づいてきます。そして、地球−金星−太陽が作る角度も小さくなっていきます。地球から見た金星は次第に大きく見え、太陽の影になる部分が増えてきて、細く欠けた状態になっていきます。

 最後の4枚目の絵、3月28日になると、金星は地球へ最も接近するとともに地球を追い越しました。この頃に地球から見た金星は、太陽が位置するのと反対側を見ることになるので、金星の影の部分しか見えませんから、新月のように見えます。

12月28日 太陽系のようす
地球めがけて金星が接近を開始


1月28日
少し近づく


2月28日
だいぶ近づく


3月28日
金星が地球へ追いついた

天体望遠鏡で金星の満ち欠けを観測しよう

 最初に書いたように、金星は地球よりも内側の軌道を回る内惑星ですから満ち欠けをします。天体望遠鏡を使うとこの様子を観測することができます。下の絵は金星の満ち欠けと大きさが変化する様子を1週間ごとに描いたものです。年末頃は直径も小さくて丸みを帯びた形をしています。年が明けると少しずつ大きくなって、半月形に近づいていきます。東方最大離角となる1月中旬頃には半月形となり、その後は少しずつ細くなります。3月に入ると三日月のような形に変化し、大きさもだいぶ大きくなります。内合となる3月下旬頃に大きさは最も大きくなりますが、光る部分がなくなって新月のようになります。

 金星の満ち欠けを観測するポイントは、3ヶ月程度の期間、1週間から半月程度の間隔を開けて、定期的に連続して観測することです。観測するたびに形や大きさが変化しますから、観測も楽しくなることでしょう。天体望遠鏡の倍率ですが、50倍程度でも形や大きさがわかりますが、できれば100倍くらいの倍率をかけたいところです。金星の満ち欠けがハッキリとわかって、天体観測の楽しさを十分に味わうことができるはずです。この機会にぜひ、金星へ天体望遠鏡を向けていただきたいと思います。

金星の満ち欠けと大きさが変化するようす
金星は少し丸みを帯びた半月形から細い三日月形へと大きく変化する。

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