4月1日0時、5月1日22時、6月1日20時
おとめ座の見え方 |
おとめ座付近の星図 |
おとめ座はギリシャ神話では、農業の女神デーメーテルを描いた姿だと伝えられていますが、デーメーテルの娘である冥界の女王ペルセポーネを描いた姿だとする説や、正義と天文の女神アトライアーではないかという説もあります。
あまり知られていませんが、おとめ座はうみへび座に次いで全天で2番目の面積を持つ広い星座です。しかしその割には、明るい星といえば1等星のスピカくらいしかなく、今ひとつ形がはっきりしない星座です。
おとめ座は星占いにも登場する黄道12星座のひとつとして有名です。おとめ座は春の星座に分類されますが、黄道12星座の中では、かに座、しし座に続いて春の最後に登場します。おとめ座は紀元前3200年頃にはすでに形作られており、起源が古い星座のひとつです。もちろんトレミーの48星座のひとつです。
麦の穂を持った女神デーメーテルの穂先付近で輝く青白色をした1等星はスピカです。春の夜空でオレンジ色に光る男性的なうしかい座のアークトゥルスに対して、おとめ座のスピカはどことなく落ち着いた女性的な輝きを放っています。そんなわけで、両者をカップルに見立てて「春の夫婦星」と呼んだりしています。また、スピカとアークトゥルスにしし座のデネボラを加えると春の大三角になります。
からす座との境界付近にはM104という銀河があります。天体望遠鏡で見ると、中心部がふくらんでおり、中央部付近には細い暗黒帯がみられます。これが縁の広い帽子のソンブレロに似ているので、ソンブレロ星雲と呼ばれています。
かみのけ座で紹介していますように、おとめ座からかみのけ座にかけては銀河が密集しています。この多くは、おとめ座銀河団とよばれています。大型の天体望遠鏡でのぞくと多くの銀河を観測することができますから、機会があれば、ぜひ銀河散策を楽しんでみてください。
おとめ座銀河団は5900万光年離れたところに位置しており、およそ2500個もの銀河が集まっています。おとめ座銀河団の引力は強大なもので、私たちの銀河を含めた局部銀河団は、おとめ座銀河団に引き寄せられているのだそうです。
4月中旬頃を中心に前後約1ケ月の間、おとめ座方向からゆっくりした流星が流れることがあります。これはおとめ座流星群ですが、出現数は多くても1時間に1〜2個程度です。しかし、よく火球が出るので目をひく流星群のひとつです。