クリスマスが近づくと、街はクリスマス一色になりますね。きれいに飾られたクリスマスツリーや、点滅するネオンサイン。どれも綺麗で見とれてしまいますが、そんな中、ちょっと夜空を見上げてみてください。夜空の綺麗な星たちのきらめきが、優しくあなたを包んでくれることでしょう。なになに、「私にはもっと優しく包んでくれる人がいます」だって? バカタレめ。そういう人はこのページを読まんでもええ。
クリスマスの夜、北の空にはいつものように、不動の北極星(上の絵ではポラリスと表示)が2等星で光っています。そのずっと上方を見上げると、W字型で有名なカシオペア座が見えています。でも、こ時のカシオペア座は空高くに昇っているので、W字型ではなくてM字型に見えています。
カシオペア座
カシオペア座のカシオペアは古代エチオピアのケフェウス王(ケフェウス座)の王妃です。カシオペアの高言によって、娘のアンドロメダ姫(アンドロメダ座)をいけにえとして差し出さねばならなくなった話は有名です。結局アンドロメダ姫はペルセウス(ペルセウス座)によって救い出されました。しかし、その高言のむくいとして、カシオペアは椅子に座って両手を上げたまま、今でも休むことなく、グルグルと北極星の周りを回り続けなければならなくなったのだそうです。
今度は西の空を見てみましょう。
ペガスス座
西空の中ほどあたりからやや上方には大きな四角形が見えています。これは秋の大四辺形と呼ばれ、星座でいえばペガスス座になります。付近には秋の星座がたくさん見えるのですが、秋の星座は暗い星が多いため、この四角形が一番目立って見えます。ギリシャ神話の星座絵で見ると、羽の生えた馬、天馬ペガススの姿が描かれており、四角形は天馬の胴の部分になります。今の時期は、天馬が地平線めがけて、まっ逆さまに落ちてくるような格好をしています。
はくちょう座
今度は視線を大きく右下方向へと移動して、北西の空を見てみましょう。大きな十字型が目に止まることと思いますが、これははくちょう座です。南半球から見える南十字星に対して、はくちょう座は北十字星と呼ばれる場合があります。この時間帯は、本当に十字架のように見えていますね。キリスト誕生のこの日、はくちょうの十字架を見つめながら、二千年前に思いをはせてみるというのはいかがでしょうか。
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(あれがはくちょう座の十字架か・・・。天にまします我らの父よ、願わくば、我らを尊ばんことを・・・。アーメン。)
つる: お前、キリスト教やったんか。
(チーン!!)
つる: チーンって鳴らすのは仏教や!
-------------------2000年前の夜空
ここで変わったお話をしましょう。先ほどチラッと出てきた南十字星ですが、実はキリストが誕生した頃には、東京をはじめとした日本付近からでも見ることのできる星座だったんですよ。上の絵を見てください。明け方、南の空低くには南十字星が見えていますね。これは地球自転軸の歳差と呼ばれる現象によるものです。地球の自転軸は約2万6千年の周期で大きな円を描きながら移動しているのです。何だかわかったような、わからないような、難しいお話でした。
2000年前の北極星は、今の北極星と違っていました。北極星がどのように見えたのかを知りたい人は、「つるぷら for Javaアプレット」の中にある過去と未来の星座−1−を表示し、過去・未来のスライドバーを動かして、北極星の動きをシミュレーションしてみましょう。
今度は東の空を見てみましょう。東の空からは冬の星座が昇ってきています。
オリオン座
まず、東からやや南よりの空を見てみましょう。鼓の形をしたオリオン座が高度30度付近まで高度を上げてきています。といってもまだ昇ってきている途中ですから、鼓の形を横に倒したような形をしています。オリオン座はリゲルとベテルギウスという1等星が2つもある上に、2等星が5つもあります。こんなに豪華な星座はオリオン座以外にはありません。
ギリシャ神話では、オリオンは当時右に出るものがいないほど名高い狩人でした。しかし、「この世で俺様より強い者はいない」と、いつもいばりちらしていました。そのため女神ヘラの反感をかってしまい、ヘラはオリオンのもとへサソリ(さそり座)を差し向けたのです。さすがのオリオンもさそりの毒にはかなわず、息絶えたのだそうです。
おうし座
オリオン座の上方にはおうし座が見えますが、おうし座で一番目立つ星は1等星アルデバランです。アルデバランをよく見ると、青白い色をしたオリオン座のリゲルなどと比べると、明らかに赤っぽい色をしているのがわかります。また、オリオン座のベテルギウスほども赤くはなく、だいだい色に輝いて見えます。なにげなく見える星も、少し注意してみれば、いろいろな色をした星があることがわかります。といっても色を肉眼で識別できるのは2等星くらいまででしょうか。それ以下の暗い星はみんな白色に見えてしまいます。
アルデバラン付近を注意してみると、小さな星が英語のVの字を横倒しにしたような形に並んで見えるのですが、これはヒアデス星団と呼ばれる大きな星団です。双眼鏡でのぞくと肉眼では見えないような暗い星まで見えてきて、非常に美しい眺めとなります。このVの字あたりがおうしの顔の部分になり、そこから左側へ2本の大きな角がニョキッと伸びています。
すばる
ヒアデス星団のさらに上方を見上げると、数個の星が群れているのが目に付きますが、これが有名なすばるです。すばるは星座だと思い込んでいる方もおられるようですが、すばるは星座ではなくておうし座の一部です。普通の視力の持ち主なら、暗い夜空ですばるを見ると6個か7個の星が見えるのですが、特別視力が良い人は10個以上見えるという人もおられるようです。果たしてみなさんはいくつ見つけることができるでしょうか。
今度は時間を置いてからもう一度東の空を見てみましょう。冬の星座たちは南東の空の方へと移動しました。冬の星座のしんがりとなるふたご座のカストルとポルックスも空の中ほどまで高度をあげてきました。そして、東の空からはしし座が顔を出し始めていますが、しし座といえば春を代表する星座。季節はこれから冬本番を迎えるのですが、遅い時間に夜空を見ると、春の星座を楽しむことができます。
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男:ほら、あれがふたご座のカストルとポルックスだよ。
女:わーっ、ふたつ並んでいてキレイ!
男:君はカストルで、僕はポルックス。でも、僕らはもっと接近して、いつも仲良く並んでいたいな。
女:うっとり・・・。
つる: てめーら。カストルとポルックスは男の双子の兄弟なんじゃ。
ケッ、ケッ、ケッ。それに接近し過ぎるとこうなる!
ポルックスからカストルへ接近する
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寒い時期ですから、カゼなんかひかないようにしてくださいね。
それでは楽しいクリスマスを!