近畿地方

 近畿地方の各府県での日食の見え方を掲載しますので参考にしてください。近畿地方では金環帯が全く通らない府県はありません。奈良県と和歌山県の全域、および大阪府のほぼ全域で金環食が見られます。また、北の限界線が琵琶湖を通る滋賀県の南東半分と京都府の南東部、兵庫県南東部のごく一部でも金環食となりますが、それ以外の地域では部分日食で終わってしまいます。

 県のリンクを選択すると、市町村別の日食時刻表を表示します。

大阪府

 2012年の日食では、金環帯の北限線が大阪府の北部、豊能町と能勢町の境界あたりを通ります。したがって最北端の能勢町を除き、府内大半の地域で金環日食が見られます。大阪市は限界線に近いだけに、2分台半ばという短い時間ですが、いちおう金環日食を観察できそうです。府内各地とも金環帯の端に近いだけに、少し南へ移動するだけでも10秒単位で金環継続時間が長くなります。例えば大阪市よりも少し南側に位置する岸和田市では、大阪市より41秒も長く継続します。

大阪市

大阪で日食が見える位置

大阪の日食・前半

大阪の日食・後半

滋賀県

 滋賀県では県の中央に位置する琵琶湖を金環帯の北限線が通ります。琵琶湖を南西から北東へ斜めに結んだ直線よりも南側では金環日食が見られますが、北側では部分日食しか見ることができません。南側の大津市、野洲市、近江八幡市、彦根市、米原市などでは金環日食となりますが、北側の長浜市、高島市などでは部分日食です。このうち大津市は、ギリギリ限界線よりも南側に位置しますので、2分に満たない金環日食をかろうじて観察することができます。

 下に示した大津市での欠け方の図では金環日食に見えませんが、実際は金環日食です。ご注意ください。

大津市

大津の日食・前半

大津の日食・後半

京都府

 2012年5月21日の日食で、京都府は近畿地方の中にあってはあまり条件が良くありません。それは南部の一部エリアだけしか金環帯がかからないからです。それ以外の地域では、残念ながら部分日食にしかなりません。

 人口が多く集まる京都市はギリギリ金環帯の端がかかります。といっても本当にギリギリで、市内の北部の鞍馬や貴船は圏外です。京都市中心部の金環継続時間は1分半に満たない短時間で、かろうじてといった感があります。また、月面の高い山まで考慮した詳しい計算によると、継続時間は29秒しかなく、実際に金環日食として確認できるか微妙なところです。

 なお、下に示した京都市での欠け方の図では金環日食に見えませんが、実際は金環日食です。ご注意ください。

京都市

京都の日食・前半

京都の日食・後半

奈良県

 2012年の日食では、金環帯の北限線が京都府の南部を通ります。したがってこの南側に位置する奈良県は、全域が金環帯の中に入ります。近畿地方の中では和歌山県に次いで恵まれた県といえます。県内では南へ行くほど本影の中心に近づき、条件面で有利です。県南部の地域では、4分台の金環継続時間を確保できます。北の端に位置して条件が悪い奈良市でも、3分以上にわたって金環日食を観察できるでしょう。

奈良市

奈良の日食・前半

奈良の日食・後半

和歌山県

 和歌山県は近畿地方で唯一、食の中心線が通る県です。といっても紀伊半島の南端をかすめる程度で、中心線付近から観測できる場所は限定されます。和歌山県は近畿地方では最も恵まれており、県内全域で金環日食を観察することができます。

 気になる金環継続時間ですが、食の中心線に近い南の地域ほど長くなります。中心線付近では5分にせまる4分台後半です。中心線から70Kmほど離れた和歌山市では3分台後半継続します。

和歌山市

和歌山の日食・前半

和歌山の日食・後半

兵庫県

 兵庫県は南東部のごく一部と淡路島だけが金環帯に入ります。それ以外の地域では部分日食で終わってしまいます。兵庫県南東部は神戸市をはじめとした人口密度が高いエリアですから、人工比率で考えると、意外に多くの方にご覧いただけるかもしれません。

 神戸市では金環帯の端の方がかかるだけですので、1分台後半という短い時間の金環日食となります。しかし別の詳しい計算では1分間だけしか継続せず、太陽の右下部分が極めて細い太陽リングになりそうです。また神戸以西の明石市など、限界線に近いエリアでは、ベイリービーズ状態での金環日食となるでしょう。

 下に示した神戸市での欠け方の図では金環日食に見えませんが、実際は金環日食です。ご注意ください。

神戸市

神戸の日食・前半

神戸の日食・後半


つるちゃんのプラネタリウム 各地の見え方|金環日食2012年