いて座

南の空に高度30度で南中する日時のめやす

7月1日0時、8月1日22時、9月1日20時

いて座の様子(7月・南の空)

いて座の見え方

いて座の見え方

いて座付近の星図

いて座

南斗六星

 いて座は夏を代表する星座のひとつです。北天のおおぐま座にある北斗七星が作るひしゃくの形は有名ですが、いて座にもよく似た星の並びがあります。ζ星、τ星、σ星、φ星、λ星、μ星の順に6星をとたどると南斗六星のできあがりです。なるほど、確かに北斗七星の形によく似ています。ただし、北斗七星に比べると南斗六星は少し暗いめの星が多く、大きさも小ぶりなので、ちょっと探しにくいかもしれません。

かじ星

 いて座は江戸時代には「なんじゅ」と呼ばれていましたが、舵のに見立てて「南のかじ星」「南の小かじ」などと呼ぶ地方があります。また、南斗六星を除いたいて座の一部は箕の形を連想させることから、「みぼし」と呼ぶ地方があります。

古い星座

 いて座は古くから存在する星座です。紀元前1700年頃の古代バビロニア時代から原型が存在していました。もちろんトレミーの48星座の一つです。

ティーポット

 いて座が作る南斗六星は、欧州ではミルクディパー(milk dipper、ミルクのさじ)と呼ばれますが、これに隣の4星を加えてティーポット(teapot)と呼ばれることもあります。ポットの口から噴出した湯気を、いて座の濃い天の川に見立てたわけです。

いて座の神話

 星座絵で見たいて座は弓を引き、さそりの心臓を狙う姿が描かれています。その上半身は人間ですが、下半身は馬の格好をしています。これはケンタウロス族に属する、ケイローンという優れた馬人の姿です。ケイローンはヘルクレス(ヘルクレス座)に武術を教えたり、アスクレピオス(へびつかい座)に医術を授けたり、カストル(ふたご座カストル)に武術を教えたり、ギリシャ神話に登場する多くの英雄を育て上げたと言われています。

寿命を決める神様

 中国では北斗は死を司り、南斗は生を司る神様だと考えられました。そして人が生まれてくると、北斗の神と南斗の神が相談して寿命を決めるのだそうです。

銀河系の中心方向

 わたしたちの太陽系は銀河系の中心を約2億2600万年かけて、秒速220kmという凄い速さで回っています。その銀河系の中心方向がいて座の中にあります。このため、天の川はいて座付近で最も幅が広く、濃くなっています。双眼鏡や天体望遠鏡で付近を見てみますと、小さな恒星が非常に多く見えますし、星雲や星団もたくさん見つかります。

スタークラウド

 夏の天の川はいて座付近で最も幅が広くかつ、濃くなっていますが、中でもとりわけ明るい部分はスタークラウドとよばれています。これは最も星が密集した部分であり、M24というメシエ番号がつけられています。双眼鏡で見ると無数の星が見えて非常に美しい眺めとなります。写真で撮影すると何やら動物の横顔に見えることから、バンビの横顔と言われることもあります。しかしながら小鹿の姿を思い浮かべるのは少し難しいかもしれません。

α星ルクバト

 いて座のα星はルクバトとよばれる4等星です。この星名はアラビア語のルクバト・アッ・ラーミーからきており、射手の膝という意味です。それにしても1.8等星のε星や2.1等星のσ星など、他に明るい星があるにもかかわらず、どうしてルクバトがα星なのか、よくわかりません。

干潟星雲 M8

干潟星雲(M8)
干潟星雲(M8)
HSTによる干潟星雲

 冬のオリオン星雲に対して夏の散光星雲といえば干潟星雲でしょう。μ星の少し南西に肉眼でもぼんやりと見えています。双眼鏡や天体望遠鏡で見てみると、星団を背景にほんのりと赤みを帯びた星雲がうっすらと浮かび上がり、なんとも言えない美しい眺めとなります。

三裂星雲(M20)
三裂星雲(M20)
HSTによる三裂星雲

三裂星雲 M20

 干潟星雲のやや北側には三裂星雲があります。天体望遠鏡で見ると、その名の通り3方向に裂けた星雲の姿がうっすらと浮かび上がります。以外と淡いので、空が悪いと見えないかもしれません。

オメガ星雲(M17)オメガ星雲 M17

 μ星の北側には湖に浮かぶ白鳥のような形に見えるオメガ星雲という星雲があります。小望遠鏡でも見やすい天体なのでオススメです。つるちゃんはこの星雲が好きで天体望遠鏡で何度も見ましたが、どうみてもギリシャ文字のΩ(オメガ)の形には見えません。

M22球状星団 M22

 いて座にはM22という大型の球状星団があります。大型で明るいので、双眼鏡で見てもスグに見つけることができます。大きさではヘルクレス座M13よりも勝っており、天体望遠鏡で見ると星々が分離して見えて、球状星団らしさを満喫できます。