そろそろ春の星座が見えてくる 2003年2月

 2月といえば年間を通して一番寒い月かもしれません。しかし、夜空の方は、早くも春の星座がボチボチと見えはじめてきます。寒いのをがまんして、今月もちょっと空をのぞいてみましょうか。

 あっ、それから大事なことを言うのを忘れていました。2月5日はつるちゃんの誕生日ですよ。

(どうでもええことを書くなっちゅうねん。どうせ女の子にお祝いのメールでももらおうと思ってるんやろ)
−−>ち、違うぞ!
(どうしてん、顔が赤くなってるぞ)
−−>ポッ。

注)このページの星空の様子は2月15日21時を基準としていますが、下の日時でもほぼ同様の空を見ることができます(月や惑星は除く)。また、明石以外でも日本国内であれば、見え方にさほど違いはありません。

  1月15日23時
  2月 1日22時
  2月15日21時
  3月 1日20時
  3月15日19時

2月15日21時 全天のようす
2月15日21時 全天のようす

 今月の星空は、西の空に秋の星座、南から天頂にかけては冬の星座、東の空には春の星座という具合に、3つの季節の星座が同居した格好になっています。

 まず、西の空ですが、先月までがんばっていた秋の星座も、さすがに2月となると、その多くは見えなくなってしまいました。それでも、ペルセウス座やカシオペア座といった、比較的天の北極寄りに位置する星座は、まだなんとか見えています。

 次は南の空を見てみましょう。

2月15日21時 南の空のようす
2月15日21時 南の空のようす

 この頃は、南の空でちょうど冬の大三角が南中しています。1等星3つでてきた大きな正三角形ですから、すぐにわかります。色に注目してみると、右上のオリオン座のベテルギウスは赤色、左上のこいぬ座のプロキオンは黄色(実際には白っぽく見えると思いますが)、下側のおおいぬ座のシリウスは白色をしていますので、それぞれ注意して見てみましょう。

 ここで、南の地平線付近に注目してください。カノープスという星が見えています。これはりゅうこつ座の1等星で、全天でシリウスに次いで2番目に明るい星です。その明るさはマイナス0.7等ほどあるのですが、高度が低くて大気の減光を受けるので、意外と暗くなってしまいます。また、観測できる時間も短いので、非常に見づらい星として知られています。東方地方よりも北の地域では、この星は地平線に昇ってきません。そんなわけで、この星を見ることができると、天文ファンの間でもちょっと自慢できるのですよ。南の開けた場所で、あなたも一度試してみられてはいかがでしょうか。

 次は視線をググッと真上に上げてみましょう。

2月15日21時 天頂の空のようす
2月15日21時 天頂の空のようす

 頭の真上方向を見上げると、こちらも冬の星座がいっぱいです。西寄りには土星のいるおうし座、5角形の形をしたぎょしゃ座、カストルとポルックスのあるふたご座が見えています。これらは、きれいで形のわかりやすい星座なのですが、空を見上げすぎて、首が痛くなりそうです。

 今度は首を下ろしてグルッと反対側を向いて、珍しく北の空を見てみましょう。

(おい、なんで今月に限って北の空の説明をするんや?)
−−>説明したい星座があるからや。
(うそつけぇ、ホンマはいつもは手抜きしてるだけやろ。今月はたまたま時間があるから説明するだけやろ)
−−>・・・。 イジイジ・・・。
(やっぱりいじけよったわ)

2月15日21時 北の空のようす
2月15日21時 北の空のようす

 北の空では、真北の方角にはいつものように、不動の北極星が2等星で光っています。その北極星を両側から挟むように、北西の空にはW字型で有名な秋の星座のカシオペア座があり、北東の空からは春の星座の北斗七星が昇ってきています。ちなみに、北斗七星は星座ではなくて、おおぐま座の一部ですから間違えないようにしてください。

 このふたつの星座から北極星を見つける方法はご存知ですか? 「知っていたけど忘れちゃったよ」という方もおられるかもしれませんね。「探そう・・目印/惑星/星雲・星団」から「星空の目印を探そう」の中にある「北極星」を参照してみてください。

おおぐま座

 北東の方角に目をやってみましょう。かの有名な北斗七星が昇ってきています。北斗七星を含んだおおぐま座は一般には春の星座に分類されていますが、意外と早い時期から見えていますね。北斗七星から北極星をたどる方法は有名ですが、春の大曲線の出発点もこの北斗七星になります。また、昔目試しに使われた2重星ミザールや、多くの星雲などもあり、何かと話題が尽きない星座のひとつです。リンクをたどって調べてみてください。

 ギリシャ神話では、熊にされた母親とも知らずに、その子供が熊を殺しかけた時、大神ゼウスがふたりを天に投げ上げてできた星座だといわれています。

こぐま座

 真北の空には北極星がありますが、その北極星はこぐま座に属してします。こぐま座の星をていねいにたどると、おおぐま座同様に、小さなひしゃくの形ができあがります。

 星座絵を見ると、おおぐま座もこぐま座も、ひしゃくの柄の部分が熊のしっぽに描かれています。いずれのしっぽも長さが長いのですが、これには理由があります。ギリシャ神話では、おおぐま座とこぐま座は、親子が天に投げ上げられてできた星座なのですが、天に投げる時にしっぽをつかんで投げ上げられたので、しっぽの部分が長く伸びてしまったのだそうです。そんなことを考えながらこのふたつの星座を見ると愉快ですね。


それでは、最後に東の空をのぞいてみましょう。春の星座が昇ってきていますよ。
    

2月15日21時 東の空のようす
2月15日21時 東の空のようす

 東の空からは、早くも春の星座が登場してきました。

かに座

 春の星座のトップバッターはかに座です。冬の星座のしんがりであるふたご座のすぐ東隣に位置していますので、当然かもしれません。かに座は黄道12星座のひとつに数えられているので、有名な星座のひとつですが、明るい星が少なくて形もいまひとつはっきりしません。上の絵では南南東の空、高度60度付近に見えています。

 それでも、かに座を一躍有名にしている天体があります。それは蜂の巣を意味したプレセペ星団(M44)です。プレセペ星団は非常に明るくて大きな星団で、空が暗い場所でこの付近を見ると、雲のような光の塊ががボーッと見えています。上の絵では星座名の「かに」が表示されている付近です。でも肉眼では星に分解するまでには至りません。しかし、双眼鏡でもあれば数十個の星が見えてきて大迫力です。一度は見ておきたい天体のひとつです。

 ギリシャ神話では、ヘルクレスがヒドラ(うみへび座)と戦う際に、女神ヘラがヒドラに加勢させるために送り込んだお化け蟹ですが、あっという間にヘルクレスに踏み潰されてしまったそうです。

うみへび座

 かに座の下あたりから南東の空に上下方向に星がウネウネと連なっている部分がありますが、これがうみへび座です。目印はうみへびの心臓部に位置した2等星のアルファードでしょう。付近には明るい星が少なくて、結構目立っていますからあまり迷わないと思います。うみへび座は全天で最も大きな星座で、頭からしっぽまで全部が東の空から上がりきるのに7時間もかかってしまうんですよ。さすがはギリシャ神話の英雄ヘルクレスを苦しめただけのことはありますね。うみへび座を端から端まで全部見ようと思えば、大きいが故に時を選ばなければなりません。21時頃に見ようと思えば、もっと先のゴールデンウィーク頃が最適でしょう。

 うみへび座はギリシャ神話では、ヒドラだとされています。ヘルクレスによって退治されることになるのですが、首が9つもある上に、ひとつは不死身の首でした。おまけに首を切り落としても、そこから首が2つ生えてくるので、たいそう手を焼いたそうです。

しし座

 2001年11月に世間を騒がせたしし座流星群の輻射点のある星座が、まさにこのしし座です。
 しし座を探すには1等星のレグルスを目印にするとよいでしょう。この時期と時間なら、東の方角で高度30度くらいのところに光っています。そこから?マークを裏返したような星の配列がすぐ見つかるかと思いますが、これはししの大がまと呼ばれています。ししのしっぽの星は2等星のデネボラですが、こちらは春の大三角を構成する一員となっています。しかし、残りの2星を見るにはまだ少し時期が早いようです。なんといってもまだ2月ですから。

 しし座はヘルクレスによって退治されたお化け獅子とされています。ヘルクレスは毛皮を剥ぎ取って、いつも身につけていたそうです。